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~ブレスト男爵邸~
私は、王都に避難する家族が乗っている馬車を見送っていた。父上としては、跡継ぎには、兄上がいるのだから、私が、いなくなったところで男爵家が家が断絶することがない。せいぜい政略の駒が一つなくなる程度の、認識だったのであろう。兄上は最後まで、一緒に王都に避難するように言っていたけど。兄上の領民に対する認識には驚いたが、家族に対しては優しい人だったということだろう。
ちなみに、男爵邸で働いていた使用人50人の内40人が、家族と共に王都に避難する。では、残りの10人は、どうするつもりなのかといえば。
「本当に私と一緒に城に行くのですか?」
「はいっ!お嬢様を見捨てることなど、出来るはずがございません!ぜひお供させてください!」
この10人は、使用人の中でも特に私と仲の良かった使用人達だ。一緒に城に来てくれるのであれば心強い限りだ。
「では、城に参りましょう。準備をしてください。」
「はいっ!」
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私たち、男爵家が伯爵様から管理を任されている村から、片道1時間ほどの歩いた所に伯爵様の城がある。
城の門番が私たちを見つけて目を見開いたのが分かった
「シルフィー様、いかがなされたのですか!?王都に避難なされないのですか!?」
「私は、城に残ることにしました。家族は王都に避難をするため馬車で王都に向かっているはずです。」
「なぜですか?なぜ残ってくれるのですか?」
よく見ると門番の目には涙がたまっており、今にも泣きそうになってるのが分かった。だから、私は、自分に出来る限りの優しい笑顔で。
「理由なんてありません。強いて理由を上げるなら、領民を見捨てられなかっただけです。」
門番は、ついに泣き出してしまった。
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私が、城下町に入ると領民や兵士が驚愕の視線を私に向けているのが分かった。伯爵様の領地内にいる貴族が皆、逃げ出したはずなのに、男爵令嬢たる私がいれば誰だって驚くだろう。
「シルフィー様だ」
「じゃじゃ馬令嬢だ」
じゃじゃ馬って言った奴は後で一発殴る!そう心に決め、城に入城した。
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城に入城した私を迎えてくれたのは、城に残っていた使用人たちと兵士たち歓声と、跪く騎士たちだった。
私が呆然としていると、跪いている騎士のうちの一人が立ち上がった。
「シルフィー様、私は城の残っている者たちをまとめております。クラウドと申します。よくぞ、来てくださいました。正直申せば、この城は落城し領民たちもただではすまないのではと思っていたところに、あなた様が城に来てくださった。絶望の中にいた我々には救いの女神様のように見えました。」
クラウドは、大声で城の使用人や兵士や騎士に語りかけた
「私は、シルフィー様をこの城の総大将にしたいと思う!反対する者はいるか!?」
「否!」
「侵略者共をニノキアからたたき出すぞ!いいな!」
「応!!」
こうして、私はこの城の総大将になった。




