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第7話 MVウイルス


「うむ,その理由とは。MVウイルスというウイルスが原因だ」


「MVウイルス………ってなんですか?」

 

 聴いたことのないような単語が突然出てきた加藤は思わず聞き返してしまう。


「うーむ。まず何から話すべきか?」


そう言って四宮は志摩を見て返事を求めている。


「初めから話したほうがいいんじゃないか。加藤くんには分かりづらいだろうし」


そう志摩は加藤を心配してくれているようだ。加藤としてはとてもありがたい。


「それでははじめから話すとしよう。加藤くん,君は最近とてつもなく事件が多いように感じなかったかい?」


 そう言われて最近のニュースなどを見たときの記憶を思い出してみる。言われてみればたしかにネットニュースなどで事件や事故であふれておいて,最近は物騒だなと思ったことがあった。


「そういえば多かったですね事件。」


「そこで何故とは思わなかったのかい」


「思ってはいましたけど………」


「私もそう思った。そして私は事件が思った理由が何かあるのではないかと思い調べることにした」


 四宮は普通にそうは言ったがそれは科学者の才能を持っているということだと思う。いくら不思議に思ったところで普通はわざわざ調べようと思ったりはしない。それは一つの才能と呼べるのではないだろうか。


「あの何で調べようと思ったんですか?」


「疑問に思ったことは調べるそれが科学者というものだろう」


四宮はそれを自然のようにして言う。


(意外とこの四宮という男は意外とすごい人なのかもしれない)


常識を疑うのが科学者の条件などと聞いたことがある。加藤はそんな条件に当てはまる四宮という男を少し見直した。


「だがどう探ってみても見つけることができなかった」


 確かにいくらやる気があったとしても簡単に事件の原因名で見つかるわけがない。それだったら加藤だったタラあきらめてしまうかもしれない。


「あきらめたんですか」


「あきらめるはずがないだろう。あきらめきれずにタイミングをうかがい続けているとようやくチャンスが回ってきた。その時私は本当に運が良かった。」


「運が良かった?何かあったんですか?」


「まあな。ある日突然私の記憶が飛んだのだ。」


「それって頭をうたれただけじゃないんですか?」


「いや,記憶が飛んだ後必ずまわりはひどい状態になっていた,何者かに襲われた可能性を考えたが,何

かを盗まれた形跡もなかった。」

 

そこで四宮は一区切り置いてから,


「そこで私は一つ仮説を立てた。もしかしたら一連の事件について菅家しているのかもしれないとそう

思ったわけだ」


「なるほどそれは可能性ありますね」


「そして私の体を少し調べた結果,私には人には存在していないウイルスに感染していることが分かった。そのウイルに感染している患者は,ある一定の条件を満たせば感情を司る脳の前頭葉部分が明らかに異常な動きをすることが分かった。」


「……つまりどういうことですか?」


「簡単に言うとするとだな……感情が暴走してしまうというべきだろうな」


「感情が暴走する!?」


「私の症状をみるにそのウイルスの発症中は記憶がなかった。つまり発症中には記憶がとぶらしいことが分かった。それならどうだ。そうすると我妻美華さんがそのウイルスにかかっていたとしたら事件を起こした説明がつくだろう?」


「ちょ,ちょっと待ってください」


そう言ってから加藤は頭に手をやり考えを整理する。

感情が暴走すると,あまりにも普通過ぎた美華の様子も説明できる。美華はたまに殴ることがあるためおそらく加藤を殴ろうとしたのだろう。そのタイミングで発症し,机に乗っていたカッターナイフで刺した。そうだとすれば,一応美華がさしたことンついての説明がついている気はする。


「たしかに辻褄はあってる……」


「そうだろう。やはり我妻美華さんもMVウイルスの感染者だったか」


「MVウイルス?」


「MVウイルスとは,その感情の暴走している原因のウイルスだ。まあ私が勝手に名付けた名前だが。」


 生物学では発見者がその生物を名付けていいと聞いたことがある。きっとそれが当てはまるのだろう。だがMVウイルスと名前のネーミングセンスはみじんも感じないが。


「そこで我妻美華についてなのだがおそらく今そのMVウイルスの研究のために利用されている。」


「利用されている………?美華は今どこで何をされているというんですか」


「うむ,とある施設でな。人体実験のまあ実験動物とでも言える待遇を受けているのではないか」



「美華が………実験体にされてる?」


この男は確かに実験体とそう言った。人を実験の対象にするなどあってはならないことだ。それはこの平和な日本ではありえないと思っていた。

そう思っていたのに、自分の大切な人がそんな状況にさせられているという。それはあまりにも突飛すぎていて,加藤は簡単には信じることができない。


「そうだ。」


「なぜそんなことをさせられているんだ?いくらその研究者がおかしくても普通の動物ですればいいんじゃないか?」


「それがこのウイルスの厄介なところでな。単純な感情しか持たない動物にはあまり効果は得られない。私は運が良く発見することができたがそれを持たない研究者だとすれば何をもってしてもおかしくはないだろう」


「なる・・ほど・・」


 もしそれが起こっているとすると気になることが一つある。


「それで美華は今どこで何をさせられているんですか?」


「我妻美華は近くの国立病院の地下に閉じ込められている」


「国立病院?」


国立病院とは家から少し離れた隣町に存在している。それは完全に公の施設である。それが表すところはつまり………


「もしかして美華は………」


「そうだ。我妻美華さんを連れ去ったのは政府もしくは政府の息のおかかった組織と言えるだろう」


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