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第6話 言動の矛盾

結局加藤は結局その謎の男についていくことにした。


あまりに怪しい誘いであった。しかし,気になっていた美華について何か知っていそうであったからだ。

加藤はせめて美華の口からなぜあんなことをしたのかを聞きたい。


それは加藤自身をまた傷つけるかもしれない。それでも傷ついたとしても加藤はまた立ち上がるために聞かなければならない。加藤は立ち上がらなければならないのだ。加藤を信じてくれている家族のために.。


そのためにこの男についていけばどこにいるのかよくわかっていない美華の居場所がわかるかもしれない。

そう加藤は決意し,とりあえず自分の部屋にかかっていた制服に着替え,その男が乗ってきたであろう車に乗り込む。

そう決心して乗ったところまではよかったのだが,加藤の人見知りが微妙な空気が流れかなり気まずい。


「あの名前聞いていいですか?」


「四宮和也だ」


一応話をきりだしてみたのだがまた沈黙が訪れる。何とか話を続けようと次の話題を考えて,


「………あのどこに向かっているんですか」


「うちのサークルだ」


「………サークル………ですか」


そして,そう話しかけたりはしたのだがどうしてもこれ以上はなすことが見つからず,少しの間,ボーッと外を眺めているとどうやら近所の大学の第一大学に向かっているようだ。第一大学とは変わり者ばかり集まっているといわれていてあまり人気のない大学だ。


「あの第一大学に向かっているんですか」


「ああ,うちのサークルは大学の一室にある」


もしかしたらこの四宮という男はそう言いながら加藤が乗っている車は第一大学に車は入っていきその四宮という男は車を降りる。


「ついてこい」


四宮はそう言い捨て歩き出したので加藤はいろいろと聞きたいことはあったのだが黙ってついていくことにした。



―――そうして何の会話のないまま歩いていくとたくさんの教室がある大学のまったくの人気のない何が行われているのかわからない教室が続いている。すると,加藤の前を歩いている男はとある一室で立ち止まりガラガラと扉を開ける。


「帰ったぞ」


四宮はそうつぶやき部屋の中に入っていく。加藤もおそるおそるその部屋の中に入っていく。その部屋は広くも狭くもない一室で,そこには大きな机が一つあり机には三人が座っている。その机で完全に各々別のことをやっているようだ。


「どうだった?」


席に座りながらお茶でも飲んでいたこの部屋にいた唯一の女性が立ち上がり加藤を迎え入れた。


「うむ,見ての通り成功したぞ」


「本当?四宮は連れてこられたの?」


「おい,涼香は俺を馬鹿にしているのか」


「どうせ四宮だったらいつもの中二病が出て,意味不明なこと言って絶対怖がらせてついてこないと思っ

たじゃん」


「質問に答えてないぞ。やはり馬鹿にしているのか」


「ねえ加藤くん変なことを言われて連れてこられなかったの?」


そう加藤に尋ねてきた。突然話を振られたこととその女性が黒髪のロングでかなり美人だったことに動揺してしまい顔が少し赤くなってしまう。


「い,いえ。なんとか」


「ほらみろ。別に変な事なんかしていない」


「いや加藤くんが気を使ってくれてるだけだと思うよ」


加藤は自分をほっとかれたことに耐えきれない。


「あ,あの」


「あ,私の名前は海鳥涼香。よろしく。あとそっちが志摩あきらね」


その海鳥という女性がさしたほうを見るといかにも体育会系といった短髪で体はかなりがっちりしている男がいた。その男が志摩という男らしい。


「おう,よろしく」


「で,あっちでパソコンをしてるのが竹下歩ね」


部屋の奥にはパソコンが配置されておりそこに一人黙々とパソコンを操作している眼鏡をかけ,集中してパソコンをいじっている。

 その竹下という男はこちらが竹下の話をしていることに気が付いたのかこちらを向いてくる。


「お紹介にあずかりました竹下歩です。竹下とお呼びください。よろしくお願いします。いきなりこんな

ところに連れてはこられて驚かれていられるかもしれませんが一緒に頑張っていきましょう。しかしあなた幼馴染がいるらしいですね。うらやましいかぎりですねえ,はい。ところで何か聞いていないことはあるでしょうか。私が答えられることがあればお答えしますよ。まあ私が答えられることはかなり限られているのですが。しかし,」


突然その竹下という男は長く話し出したので加藤はあっけにとられていると


「「「長い」」」


きっといつものことなのだろう加藤を除いた3人はそろって竹下を黙らせる。すると,志摩が口を開き,


「はぁーもう竹下は黙っとけ。どうせ四宮は説明できてないだろうしそれで加藤くん何か聞きたいことはないかい?」


そう尋ねられると今まで積もっていた疑問が爆発した。


「あの,あなたたちは何なんですか,どうして美華のことについて何を知っているんですか。助けてみないかってどういうことなんですか。ヒーローになってみないかってどういうことなんですか」


「ちょっ,ちょっと落ち着いてくれ加藤くん。四宮。おまえほとんど何も事情話してないのか。」


「ああ,今そいつが話したことが全部だが?連れてこれたし,問題はないだろう」


四宮は当然のように言う。


「はぁー和也が行きたいって言ったからまかしたけどまかした俺が馬鹿だったよ。」


そう言って志摩という男は,そう言いながら頭を抱えている。

この志摩という人は個性的なメンバーばかりに囲まれて苦労してそうだ。加藤はそんな志摩に少し同情してしながら様子を見ていると,


「ええと加藤くん少し話が長くなるからそこに座ってくれないか」


「は,はあ」


加藤はそう言いながら指定された席へとすわる。


「それに別に敬語じゃなくても構わないよ。たいして年が離れているわけでもないしね」


「はあわかりました」


敬語じゃなくても構わないといわれているが加藤はつい敬語が出てしまいながら答える。


「ええとまず何から話しはじめればいいか?」


「では私から話そう」


黙っていればいいのに四宮は口を開いた。加藤は別の人が説明してくれることを望んでいた。だから四宮を無視して,志摩にという男に頼むことにした。


「あの志摩さんでしたっけ。あなたから話してもらいませんか」


「うーん………四宮にしか話せないようなことも多いしな」


志摩はそうやって少し考えていると,


「ふん,俺に任せておけ」


さすがに四宮という男が話そうとしているのに無視したのはさすがに機嫌を損ねたかもしれない。四宮が怒り気味にいった。


「わかった四宮おまえから話せ。ただし余計なことを言うなよ」


志摩はそういい四宮が話すことを促す。そういうことならば仕方がないとため息をついて四宮の話を聞こうと決めすこし姿勢を整える。


「君の幼馴染の我妻美華さんは無罪だ。」


四宮はそう切り出した。


「はい?」


 加藤はその言葉の意味がまったくわからずそんな言葉がこぼれ出た。

四宮は,確かに我妻美華は無罪そうたしかに言った。それが真実だとしたら加藤の認識がくつがえることになる。だがそれは絶対にありえるはずがない。加藤は確かに美華に刺されたそれだけは忘れるはずがない。


「何を言ってるんですか?俺は確かに………」


「確かに刺されたといいたいのかい?それでは君はそんなことをするはずがないとすら思ったことはな

かったのかい?」


もちろんそんなことは何度も考えた。しかし事実だけは絶対に変わらない。


「思ったに決まってる!それでも俺は確かに美華に間違って刺したとは絶対に言えないくらいに強く刺されたんだよ。その事実だけは変わらない」


加藤は『あの時』を思い返し,顔をゆがめながら自分に言いかけるように言った。だがそれを四宮は何でもないとでもいうように笑う。


「それならもし我妻美華さんが普通とは言えない状況ではなかったとすれば無罪とはいえるのではない

か」


「は?」


『あの時』をさっともう一度思い返そうともう一度思い出してみるが美華が特に狂っていることのなかったように思える。おかしかったことと言ったら突然持っていたカッターナイフを手に取り腹部に向かって刺されたそれだけだ。


「美華は狂っているっていいたいのか?だけど十年以上一緒にいる俺から見ても美華はどう見てもまともだったと思いますけど」


加藤はもうあきれてしまいながら言う。すると四宮は急に真剣な顔をして


「まとも過ぎるとは思わなかったのかい?」


(まとも過ぎる?)


そうやって『あの時』何があったか頭に手を当て加藤は考え込む。

加藤はいままで思い出すことすら恐れ記憶にふたをしていた。しかし,美華がどうして刺したのかわかるかもしれないと思うとどうしても思い返さざるを得ないため,正確に思い出すことにする。たしか美華に刺されてから……


「ツッ!」


突然頭痛が走り加藤の思考が中断される。それでも思い出すことをやめるわけにはいかなない。加藤は頭痛を黙らせ無理やり思い起こす。


『何が?』


『そんなに痛かった?』


『ねえ大丈夫?』


たしか美華はそんなことを言っていたはずだ。


(おかしい。明らかに言ってることとやってることが食い違ってる?)


加藤は刺しされてすぐは完全に正気を失っていて築くことなど到底できなかった。それに今まで思い出せなかったのは思い出すことを恐れていたため記憶にふたをしていたためである。そのせいでたった今になってようやく気が付いたのだが明らかに言動が食い違っているように思える。美華は明らかに殺意を持っているとしか思えないくらい強く加藤の腹に突き刺してきた。しかし言っていることは加藤のことを心配しているというようなことを言っていた。


(だったらなぜ?)


 自分のしていることと思っていることが食い違うことなどあり得ない。その原因が分からない。

 そうやって考えれば考えるほどり合いが出来なくなり思考が止まってしまい,前を向くと黙ってこちらをみている人たちが目に入る。


(この人たちは何か知ってるのか?)


明らかに何か知っているような口ぶりをしていた。加藤がそんなことを考えていると,四宮はにやりと笑い,


「気が付いたかい?」


四宮は加藤の様子を見て思い出したことが分かったのかもしれない。何かを知っているのだろうと思い口を開きだす。


「はい。あの美華の様子がおかしかった理由を知っているんですか?」


「ああ知っているといえば知っている。知らないといえば知らないな」


「はい?それはどういう意味なんですか」


「我妻美華さんがそうであるという確証はない。だが我妻美華さんがそうであるという可能性が存在することを知っているというべきだろうな」


四宮が言っていることの意味がよくわからない。四宮は遠回しに言う癖があるようだ。それは正直言って面倒くさい。


「あの理由って何ですか。初めから説明してもらえてもらえると助かるんですけど」


「うむ,その理由とは。MVウイルスというウイルスが原因だ」


あと少しは毎日の更新を続けられると思います。応援よろしくお願いします。

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