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第2話 平凡な学校生活

今回まで話は特に動かないと思います。次回から動きだす予定なのでしばらくお待ちください。おそらく今日中に次回を更新できる予定ですので少々お待ちください。

それからうだうだと歩いていくとようやく俺たちが通っている清水高校へと到着した。


 清水高校は,戦国時代の城跡にできており,その影響をうけてか校門に城壁が築かれているところが特徴的である。

 歴史は一〇〇年ぐらいの比較的歴史の古い高校ではあるが,歴史が古い以外特には特徴がない進学校である。


校門を通り,階段を上り俺は美華とわかれようとする。


「そういえば私,昼休みにクラスでやらなきゃいけないことがあるんだよね」


美華はそう言いながら俺をチラッチラッとみてくる。


 美華は面倒見がよくいろいろなこと頼まれて断れない性格のせいでたくさんの仕事をひきうけてしまっている。その引き受けられた仕事をよく俺は美華のことを手伝っている。ついでに高校に入ってから,学級委員長まで引き受けてしまってからは昔以上に仕事がふえてしまっている。それが少し忙しいのだろう。


「なんだよ」


「ああ手伝ってくれる人いないかな」


そう美華はわざとらしくいってくる。


「はあ」


 あまりにもわざとらしいがこんなかわいい女の子に頼まれてしまえば,思春期の男子としてはことはれるはずもなく加藤はどうやら引き受けなければならないようだ。

 そんな自分自身にあきれついため息をついてしまう。


「ほらため息つかない。幸せが逃げて行っちゃうよ」


「誰のせいだよ。誰の。」


そう加藤がすこし嫌そうに言うと


「だめ?」

 

 美華は加藤を上目づかいで見てくる。。

 美華の誘い方はいつも以上にわざとらしいが手伝っているのはいつものことなのだ。別に断る理由もないため俺は引き受けることにした。

それにこんなかわいい女の子の誘いを断れるはずがない


「はあわかった。わかった。手伝えばいいんだろ。手伝えば。」


「ふふーん。ありがと(ひで)くん」


「なっ,英くんなんて呼ぶなよ。恥ずかしい」


 英くんとは幼い時に呼ばれていた呼び名である。そう呼ばれることは何となく恥ずかしく,いつもそう呼ばれているのだが他人の目が少し気になってしまう。

 そう呼ぶなと何度も言っているのだが聴く様子が見えない。


「じゃあ昼休みよろしくね~」


美華はそう言いながら手を振り走りながら彼女自身の教室へと向かう。

 俺は美華のせいで少々無駄な予定が履いてしまったことに辟易しながら自分の教室へと向かうことにする。

ちなみに,俺のクラスは一組で,美華のクラスは三組ですこし離れている。

俺は自分の教室へとたどり着いた。もし俺がリア充だったとしたら友達とくだらないことを話していたのだろう。

しかし加藤にはそんな友達はいない。

 清水高校に入学して三ヶ月たつが,俺はクラスで浮いてしまっている。

 理由を挙げるとするならば入学して間もない頃,ほかの新入生は友達作りにせっせと励む中,加藤はひとり誰にも話しかけることをしてこなかったからである。

 

 またその話しかけなかった理由を挙げるとするならばもともとのコミュニケーション能力の低さもあるのだが,その低くなってしまった理由はきっと昔のいじめが原因なのだろう。

 

 あの時から加藤は過去の呪縛から抜け出せず友達を作れないままだ。

 ホームルームが始まるまで少し時間がある。ボーッとしても仕方がないのでポケットに入っているスマートフォンを取り出して,いじり始める。

 

 そうしてスマホをいじっているとふと通学路にあった事件現場がニュースになっていないか気になった。そのためとあるSNSを開き,ネットニュースをあさりその事件のニュースを探し始めた。だがネットには大量の事件や事故のニュースがあふれている。

 

しかし,最近やけに事件が多い気がする。


 そんなことを思いながら今日見た事件を探していくがなかなか今日見た事件に関するニュースが見当たらない。

 そうやってスマホをいじっていると学校のチャイムがなってから扉があき,担任の教師が,入って来る。


「ホームルームをはじめるぞ」


そうするとクラスメイトは席に着き,クラス中が静まり返る。

なんというか,今日もいつもと同じようなつまらない一日になりそうで,憂鬱になり,


「ふう」


加藤はそうやってため息をついてしまった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 今日一日は昨晩とりためていたアニメを一気に見てしまったせいで夜更かししてしまったためかとてつもなく眠かった。

 眠たい目を必死にこすりながら授業を受けていたのだがやはり授業に集中することはできず,授業内容は全然頭に入ってこない。

 

 そうしてひたすら眠気と闘いながら授業をこなしていくと気が付くと昼までの授業が終わっていた。

やっと昼休みまで終わったという安堵でため息を一つ付き,昼食をとろうと弁当を取り出す。しかし美華の手伝いをしなければならないことを思い出し,またため息をつきながら美華のもとへと向かう。

 

 美華がいる教室にいくとなぜか不穏な空気が流れている。その中心には教室でよく美華と一緒にいる金髪で派手目の女子と一緒にいる。たしかその女子は金城という名前だったはずだ。


「ねー我妻さんーまた外でご飯食べるのー?」


「そうだけどどうかしたの?」


「やっぱりー幼馴染の彼氏さんと一緒にー食べてるの?」


金城の甘ったるい声で教室に響く。


「英くんとは幼馴染なだけで,べ,別に付き合ったりはしてないわよ」


 本当のことなのだから慌てなければよかったものを美華は思いっきり慌てながら言っている。それでは誤解を生んでしまうのではないかと加藤はひやりとしながら見ている。

 

 すると,案の定金城はにやりと悪意が感じられる笑みをじっと見ていなければわからないくらい一瞬そんな顔をして,


「ほらーそんなにあせってーやっぱりー付き合ってるんじゃーないの?」


「つ,付き合ってないって」


「じゃあー一緒にご飯を食べようー」


 そう言いながら金城は弁当を準備して美華の前の席へとすわろうとする。


「ごめんね。やんないといけないことあるの」


「ふーん。でもー今日ぐらいはー私たちと一緒に食べてもいいんじゃないー」


 美華たちはそんなことを言ってもめている。これではなかなか仕事に入ることができず短い昼休みの間に仕事を終わらせることができない。

 美華はかわいい上に,かなり高いコミュニケーション能力でトップカーストといえるグループに所属している。そんな美華が友達のいない俺と一緒にいることはあきらかにおかしい。

 

 その違和感はスクールカーストに明らかなゆがみが生じさせる。それはそのカースト制度に縛られているクラスメイトたちにとってそれは見逃せないゆがみだ。

 今までは美華の高いコミュニケーション能力で何とかごまかしてきた。だがいよいよごまかせなくなってきてしまったのだろう。

 

そうだとしたらこうなることを予想がついていながら美華と一緒にいることを拒めなかった俺の責任だ。

 

 これ以上美華に迷惑をかけるわけにはいかない。だが今からすることが後々面倒くさいことになりそうで憂鬱になる。だが放置しておくわけにもいかない。


「はあ~」


深いため息をついてから,ずしずしと教室内に入り美華のところに向かっていって美華の手を取る。


「いくぞ」


「ちょっと?英くん?」


そうやって美華の手を引いて教室を出ようとする。


「ちょっと待ってよー話―まだ終わってないよー」


金城が加藤の背中に向けて言ってくる。


「すみません。やることあるから我妻さん借りてきます。」


そう言い捨てて急いで教室を出て出来るだけその場から離れる。

ある程度離れてくると後ろを振り返ってみても特に追いかけてくる人はいない。俺達はようやく立ち止まる。すると美華は俺の手を振り切る。


「もう英くん助けてくれたのは嬉しいけどびっくりしたじゃん」


何故か美華は顔を真っ赤にして言った。


「悪かった」


 加藤は真剣な声色で謝る。

 美華は加藤がいきなり本気で謝っていることがおかしく感じたのかもしれない。不思議そうな顔をしている。


「そ,そんなに謝らなくていいよ。わたし嬉しかったし」


「いやおまえだったら一人で解決することもできただろ。」


 落ち着いて考えてみると実際に俺がいなくても最終的には解決できただろう。なぜならいままで美華は俺の手をあまり借りずことはなく,クラスでトップカーストの位置を守ってきたのだ。それだったら加藤の手を借りることなく解決することができたはずだ。

むしろ俺が途中で美華と金城の間に入ったせいで途中で会話が止まることで誤解を与えたままになってしまって,余計に誤解が深まってしまったかもしれない。

あんなのは俺のわがままだ。俺はただ美華がこれ以上責められる姿を見たくなかった。だからつい手を伸ばしてしまった。

俺はそんなことを思っていると,美華は加藤を励ますように,


「そ,そんなことないってほんとに嬉しかったんだから。それに英くんだってあんなことしたらクラスの

人たちに余計仲間外れにされるよ」


「いやどうせ俺はぼっちだからいいんだ」


 加藤はいままでもこれからも友達なんて作れそうもない。もし友達をつくるとするならばその人を信頼しないと友達など出来るはずがない。

 そして,加藤には人を深く信頼するというリスキーな行為出来るとは思えない。人なんて気分次第でどちらの側でもつくような人すらいる。

 そして,人の気持ちなんてわかりようもない。もしそんな人を信じてしまったら簡単に裏切られてしまう。それほど怖いものはないのだろうか。


 だから俺には友達なんて作ることなど出来ないままだ。


そんなことを思っていると美華がじとーとした目で加藤を見てくるのが分かる。


 「むー」


「どうした?」


「そんなことだから友達出来ないんだよ。それに今また変なこと考えてたでしょ」


完全に今加藤が思っていたことを当てていたことに少し驚く。



「なんで俺が考えていたことが分かるんだよ」


「幼馴染だからに決まってるでしょ。いいから友達ぐらい作りなさいよ」


「いいんだよ。俺に友達なんていらないんだ。それに………」


俺には美華さえいればいい。


 加藤はそう続けようとした。だがどうしても口からその言葉が出てこない。

 

 言葉が出家来なかった理由は。もちろん恥ずかしくなり,言葉が出てこなかったということもある。

でもそれだけではない。そんな明るい感情ではなくそれはもっと薄暗く汚い感情だ。

 

 加藤は怖いのだ。この関係が壊れ消えることが。そして人を信じて踏み込むことが。

だからいつまでも告白なんてできないままなのだろう。そうやって俺はいつまでも待っているだけだ。

そんなことを思っていると俺が途中で言葉を切ったことを美華は不思議そうな顔をしてこちらを見ている。


「それに・・何?」


そうやって美華は首をひねる。


「い,いやなんでもない」


 加藤は美華に赤くなった自分の顔が見えないように顔をそらしながら言う。


「まあいいけど,友達は大事だよ。もしちゃんと英くんに友達がいたらさっきみたいなことにならなかっただろうし。」


「いままで大丈夫だったろ。それにさ,もしもダメな時があったら今度は俺に言え。今度はちゃんと助けてみせる」

 

 加藤は真剣な顔をしてそう誓う。


昔,俺は約束を守れなかった。だから今度の約束は守ろうと思い,誓う。


「う,うん」


美華は下を向き,顔を真っ赤に染めてうなずく。

それが本当に真っ赤だったため,俺はすこし気になり,


「どうした?顔が真っ赤だぞ?」


そう尋ねる。すると美華は焦って


「ほ,ほらちょっと走ったせいで赤くなっただけなんだから。ほらもうこんな時間だよ。いそいでご飯食べて仕事しないと」


美華は焦りながらそんなことを言い捨てて,廊下を歩いていく。

そんなに焦らなければならないほどの量の仕事があるのかと思うとまたも憂鬱になりため息をつきながら美華についていくことにした。j



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