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第10話 走れ

また加藤英雄視点に戻ります

俺―――加藤英雄は走っていた。

 心地よい夜風が肌をなでる。

 焦る気持ちもあるのだがもうすぐ美華に会えるという

ちなみに今は四宮と会い美華が無実だと知ってから3日たち、現在、国立病院で美華を助けに来ている最中である。

体力には学校の体育や日頃遅刻しそうになった時などよく走ったりしていたために学校の中でも自信があるほうではある。

 体力に自信があるほうではあるがもうすでに300メートルほどかなりのスピードで走っていたせいで「はあっ!はあっ!」と息が切れてくる。

だが立ち止まるわけにもいかず走り続ける。

 ふと現在地を確認しようと地図を取り出しながらふと四宮たちとこの襲撃の計画を話した時のことを思い出す。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 それは今日の午前中のことだ。その作戦会議はまた第一大学の同じ部屋で行うとメールが届き,加藤はそこに赴いた。


「この作戦は時間が重要になのはとにかく時間だ」


 加藤がその教室に到着して,席についてから四宮がそう切り出した。


「時間ですか?」


「ああ時間だ。なぜならまず初めに防犯システムにハッキングを仕掛ける。いくら竹下のハッキングの腕が優れているとはいえ稼げる時間は限られている。」


 たしか竹下はどんな腕でもハッキングすることができるということを言っていた。


「なるほど。それでいくらぐらい時間稼げそうなんですか」


 そう言って加藤は竹下のほうを向き尋ねる。


「そうですね・・いくら僕でも政府が金を費やして作られたスーパーコンピュータによる防犯システムです。20分いや30分といったところでしょうか」


「ハッキングした結果,ある程度国立病院の地図とおそらく実験体たちがとらえられている場所も予測できてはいる。その地図がこれだ」


 そう言いながら四宮はがさごそと持っていた鞄に手を突っ込みその地図を目の前の机に広げる。


「30分ですか。厳しいですね」


 国立病院は国の施設というだけあって広い。その中で30分かけないで連れ出すのは難しい。

 加藤はそんなことを考えていると,四宮が口を開き,


「ただな。牢獄への鍵だけは電子錠ではなく警備室に鍵があるらしい」


「それだったら警備室へと忍び込まないといけないんじゃ」


「ああ,そこで柔らの鬼の出番だ」


「柔らの鬼?」


 加藤は突然知らない単語が出てきたことに驚き聞き返してしまう。


「おい四宮,別にその名前ださなくてもいいだろ」


 そう志摩が言った。


「ということは志摩さんが柔らの鬼って呼ばれているんですか」


 志摩はがたいが大きくはあるが性格的に鬼と呼ばれそうな雰囲気ではないので俺はつい聞き返してしまった。


「あ,えーとまあ少し前に柔道をしていただけだよ」


 そう志摩はうなずく。すると,竹下が口を開き,


「僕は昔の志摩くんの柔道の試合を見に行ったことがありますけどあれはまさに鬼というのがふさわしいでしょう。僕には志摩くんが負ける姿が想像できません」


「そんなに強いんですか」


 志摩の優しそうな雰囲気からは想像できない。


「まあ一応全国で優勝した」


「すごいですね」


 そうだとしたら本当に出来るかもしれない。


「うむ,その志摩の強さを利用して途中で二手に分かれこの警備室にいる警備員を志摩に奇襲を仕掛ける」


「志摩さんがそんなことできるんですか?」


 いくら柔道の達人だからと言って訓練を受けた警備員だ。そう簡単に倒せるとは思えない。


「まあできるな暗闇の中音をたてないように近づいて後ろから襲えばいいだけだからな。もし気づかれてもこちらが攻撃を仕掛ける側なんだ。負ける気はしないな」


 奇襲をかける側とむかいうつ側で有利なのはどう考えても前者である。それに実力が同格であればほぼ負けることはないのであろう。


「時間的に連れ出すことは可能な時間ではあるがバッファが持てない。何が起こるかわからないだが何か

不具合が起こってしまえばすぐに見つかってしまいかねない。」


「なるほどそれで時間ですか。」


「ああ,とにかく急いでくれ」

 

 そう言われて加藤はうなずいた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「よしこっちか」


 地図で行き先を確認し終え独り言をつぶやきながら鞄に地図をしまいまた走り出す。

 今はもうすでに志摩と別れた後だ。加藤は一人美華を救出しに向かっている途中だ。

 志摩とは警備室を襲うまでは一緒に来ていた。

志摩は警備室に忍び込んだと思うと4・5人の警備員をあっという間に制圧し縛り上げた。

その後,志摩はこの実験の証拠を手に入れるために別の棟へと向かったので,二手に分かれて加藤は美華の元へと一人走っている途中である。


 

かなりのスピードで走り続けてきてかなりたつ。

息が荒れもう立ち止まってしまいたい。

だけどもうすぐまた彼女に会える。その思いが体を動かし続ける。

心が体を追い越す。

そうとある大ヒット映画の曲の歌詞であったがきっとその気持ちは今俺のこんな気持ちを言うのだろう。

早く彼女に会いたい。

早く彼女の声を聴きたい。

そして,伝えるのだ。あの時美華に告白されたときに伝えられなかった言葉を。

君が好きというという言葉を。


「ここで間違いないよな」

 

 必死に走っていると,ようやく目的の建物が見えてきた。地図を見ながらひとりでそうつぶやきその建物に入ろうとする。鍵がガチャと開いた音がした。


「お,本当に開くんだな」


 鍵については防犯システムとつながっており監視カメラでこちらを見ている竹下達が開けてくれる。そう聞いてはいたのだが少し疑ってしまっていたのだ。

 ドアを開けて中に入っていくと周りを見渡すとそこには受付があり健康管理についてのポスターなどが大量に張られている。そこはあまりにも普通の病院の受付であった。


「本当にここなのか?」


 あまりにも普通過ぎてついまたそうつぶやいてしまった。


「たしかこの奥だったよな」

 

 そうつぶやき地図を見ながら受付から病院の事務所らしき場所に入っていく。

 すると,突然ガチャと鍵の開く音がした。おそらくまた四宮達が開けてくれたのだろうと思いながらそちらを振り向くと,何年も使われていないように見える古い扉がある。


「この扉なのか?」


 あまりにも開きそうもないのでそうつぶやきながら近づいていくと,その開きそうもない扉が突然開いた。


「うおっ!・・びっくりしたー」


 あまりにも開きそうもない扉が自動で開いたことに驚き思わず声が出てしまった。

どうやらこの扉は自動ドアだった。しかもドアノブがついていたのでてっきり開き戸だと思っていた。しかし、スライド式のドアになっていることにさらに驚く。

 それからおそるおそるその扉を除くとそこは会談になっていてどうやら実験が行われている地下につながっているらしい。


「ふう・・よしいくか」


 あまりにも驚くことが多すぎて少し進むことに躊躇し,息を吐き出す。思った以上に入り口で時間を使ってしまった。急がなければならない。

 そう思い急いで階段を降り始めた。




 階段を下り終えるとそこも見た目はただの病院に見える。

 本当にここなのだろうかという疑問を振り払えないまま周りの様子をうかがいながら地図の通り進んでいく。

すると確かに実験室のような器具や部屋名などが続いている。本当にここなんだななどとすこし感心した。

どうやらここで間違いないらしい。


「ついたな」


地図によるとどうやらそこが実験体にさせられている人が閉じこめられている部屋らしい。


「よしとりあえずこの部屋からと」


そうつぶやき部屋に近づこうとする。

 すると,突然明るくなった。


「うっ」


 今まで暗いところで暗いところばかりで作業をしてきたので突然明るくなったことに驚きそんな声が出る。


「手を挙げろ」


そちらを向くと白衣を着た男が拳銃をこちらに向けて立っていた。


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