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6.

「レヅィールの話は偽りか、真実か答えよ。アデライド公爵令嬢」


冷淡な宰相の眼差しが私を捉えます。


事実が……巧妙に悪意の言葉で導かれています。

殺人等犯していないけれど、私は自らが放ってしまった言葉に打ち震えました。


「あ……真実と、偽りがございます」


「なぜ⁉︎なぜ、何もしていないあの子を‼︎リリアナを殺したのですか⁉︎」


悲嘆にくれた伯爵夫人の言葉に遮られます。


「あの誰からもに愛されるあの子の代わりに、私を殺せばよかったのです‼︎答えて、ーーアデライド公爵令嬢」


悲痛な言葉が私の心の奥底に突き刺さります。


宰相は視線を近衛兵と交わし、興奮する夫人を控えの間に通されました。

ブレインが共に付き添いを申し出ました。


静寂が満ち、王の、宰相の、王子の、レヅィの、ライルの、近衛兵達の痛い程の責める様な視線が私を見据えます。


「っ」


両腕を支える兵の力がにわかに強くなり、軋みだしました。


「くっーー」


「気持ちはわかるが、力を押さえよ」

宰相がたしなめて下さいます。


「ーーっ」

まだ痛いものの、これ以上は弱めてくれそうにありません。宰相も何も仰有おっしゃりません。


「真実とは、偽りとは述べよ」


「リリアナ令嬢は、私の婚約者である王子のお側近くにいらっしゃいましたが、王子の心は私にあるのだと強い気持ちがございましたので、正直、申し訳なくもありますが令嬢の生死に興味を持てずについ放ってしまった言葉でございます。ですが、どなたかに殺されてしまったのであれば……ご両親様の心中はいかばかりか……心の底から、お悔みを申し上げますわ。」


「続けよ」


誰も何も発さず、痛い程の静寂の中ーー

私は続けます。


「王族の権威についての発言は、謂れなき罪を王立学園の大広間にて、一方的に糾弾された為に王子に発してしまいました。真意ではなく、思わず口を突いて出てしまったのですわ。平にお許しをーーリリアナ様が殺された件はその時に初めて知った事でございます。真犯人をお探し頂きたく思います。私は誓って罪を犯してなどおりません」


か細い声しか出せなかったものの、伝えられる事は伝えられました。

ブレインの魔法は凄かったのですね。

後は痛みさえ取って頂ければーー


「この場は、アデライド公爵令嬢にとっては、取るに足らない場所かね?」

宰相は諦めを込めて言葉を放たれます。


「いえ、とんでもないですわ。おそ多い場所ですわ」


「ーーもう、よい」

静かに沈黙を保たれていた王が口を開かれます。


「はっ」

宰相が答え、衛兵が動き出します。


「アデライド公爵令嬢を死罪にせよ」

王は無慈悲にも無実の私に対して、断罪されましたーー。





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