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4.

「心は折れてくれたかな?」


レヅィが馬上から声を掛けてきました。


「……」


「君にとって目下の平民から軽蔑された所で響かないか。リリアナは庶子でね、でも私の心を解してくれた心根の優しい子なんだよ。アデライドからすると、平民は生きていても仕方ないみたいだから、あまり良心の呵責はない?」


「……」

話せないからこそ、レヅィは心の丈を私にぶつける様に静かに話し出す。


「ねえ?」

問い掛けられても、私は話せないーー。


「⁉︎」


しなる音と共にレヅィは馬の鞭を振り上げ、私目掛けて放った。


「ーーーー‼︎」

出せない悲鳴に乾いた涙が再び込み上げ、噛み締めた唇から新たな血も流れ、焼け付く様な痛みが身体に走る。


縛られた手首に最早、感覚は無く

私は全身が固まり悲鳴をあげるまま、うずくまり、カタカタと震えた。


生きていて、与えられた事もない痛みをまた思い出し声無き嗚咽をする。


「レヅィ、やめろ」

不快気な王子の声が聞こえる。


王子、王子、王子ーー‼︎


熱い涙がこぼれます。


震えの止まらない私に王子はサーコートを掛けられました。


「ーーーー」

相変わらず、お優しいのですね。

王子、誤解がある様ですわね、私達。


話す事が出来れば、王子……また、笑いかけて下さいますかーー


私の金色の髪を「日に輝き美しい」と、言って下さいますか。


王子ーーーー


震えが消え、視界が暗くなるのを許された私は

深い眠りに誘われました。




「ブレイン、勝手に何してるの?」

苛立ちを隠さずレヅィは問う。


「眠らせました。すみません、見ていられなかったんですよ。レヅィ君を」


「次期宰相と呼び声が高いんだ。民に切れた所はあまり見せるなよ」

ライルも口を開け諭す。

「ーーっ」

悔し気に顔をしかめる。


「感情を揺り動かされるのは、わかる。お前も私も耐え時だ」

王子は自嘲し


「城に戻る」

短く言い、馬首を翻した。


沈黙が、支配する場を散らせる様にブレインは

「断罪は城でいくらでも出来ます」


王子の後を追い、並走する。


幾人かの兵を令嬢の見張り役として置き、王子達一行は城へと足早に向かった。


来たるべき、断罪の場を用意する為に。




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