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・公爵令嬢の名前をアナスタシアからアデライドに変更しました。
・男性が女性に暴力をふるうシーンがあります。
苦手な方はご遠慮下さい。
・残酷シーンあり。
「執拗にいじめた覚えも、ございませんわ」
口からは鉄さびの味ーー。
「婚約者のいらっしゃる男性に、しな垂れかかるのはおよしなさい。場も見極めずに男性達を侍らすのは未婚の淑女が、する事ではありません。そうお伝えしましたわ。私の何が間違っていると言うのですか」
「彼女の身体には執拗なまでの痣が衣服の見えない所にあったんだよ」
ゾクリとする様な声音でレヅィールに囁かれます。
「ーーーーっ。私ではないとーーひっ」
大広間の生徒達からは見えない立ち位置からレヅィールが私に顔を近付け耳を飾り毎、瞬間的に舐められました。
屈辱的で野蛮な行為に、肌が泡立ち抑えきれない悲鳴が溢れます。
「美しい耳飾りだ」
王子の声が響きます。
侍女を通してですが、王子から頂いたものです。
付け出した時から、よそよそしかった王子が笑顔で
「似合ってるね」と、仰って下さりそれから色々と構って下さる様になったわ。
義務だけでなく、私を想って下さっていると。
「リリアナの淡い色合いにね、似合うと思って私がデザインしてあげたんだよ」
震える声が信じられない事を告げます。
「だから、君には似合ってない、よ?」
レヅィールが冷たく笑ってーー
「っ。きゃああああああ‼︎」
レヅィールの薄い冷たい唇が開き、私の耳に熱い舌を這わせたかと思うと、耳の肉片毎、耳飾りを食い千切られました。鮮血が迸り、私の今日の為のドレスを朱に染め上げます。
「あああああーー」
痛い、痛い、痛いーー痛っ
「リリアナもね、痛かったんだよ。でも君は止めなかった」
涙がとめどなく流れ、公爵令嬢としての矜持は打ち砕かれ
「ああっーー」
「うん。五月蝿いよ?」
容赦ない力で両の頬を打たれ、更に新しい血が鼻と口から流れ落ちます。
ライルが強く私の頭を掴んでいる為、衝撃が逃げずに全て私に返り鼻からの流血が止まらなくなりました。
ーー折れたのでしょうか。
私の頭は考える事を拒否しだし、視界が薄暗くなり意識が遠くーー
「意識なんて飛ばさせないよ?」
悪魔の彼が笑み、気付薬を嗅がされ意識を明確にしてきます。
「あ、あくまーー悪魔の、所業……わた、くしは……何、も」
「うん。口閉じて?」
彼の掌がもう一度、大きく振り上げられます。
「待て」
王子の声が彼を制止させました。
「お、う……」
「何?情けをかけるんだ?元婚約者に」
「レヅィ、王子に不敬だぞ。私達の品性が疑わられる」
「私がアデライドを許す事はない。が、これ以上は私刑になる。彼女は城で裁く」
「甘いね、王子。蜂蜜菓子みたいだ」
酷薄に悪魔が笑ったーー。