14.
・残酷シーンあり、苦手な方はご遠慮下さい。
更に幾つかの石段を上がり辿付いた先は四方を石壁で閉ざされた申し訳程度の空間です。
「本来なら告解。神に懺悔する部屋ですが、君には関係ないでしょう。いつまで経っても認めないなんて面の皮が厚いんですね。リリアナも浮かばれない」
足まで引きずる黒衣に身を包んだブレインが分厚い神の書を閉じ、王子やレヅィールと場所を入れ替わります。
「執行まで、あまり時間がない。地上はハーシムネー族の管轄です。残された時間を有効に使って下さい。僕が出来るのはここまでです」
「十分だよ」
妖しく笑うレヅィール。
「きゃあっ」
黒覆面に突き飛ばされ、地面に倒されました。
「何を……っ」
レヅィ(あくま)はそのまま私の顎に手を掛け上向けると
「なぜ、溶けていないんだ?醜く溶け落ちる顔をお前には全身鏡で見せながら私刑をしたかったのにな。ブレイン家も使えない 」
吐き捨て自由にならない私の両手を覆面男に鎖毎持ち上げさせレヅィは私の手指を撫でます。
「華奢で綺麗な指だ 」
私の小指の腹にレヅィは自らの親指を合わせると、力一杯、曲がらない方向に押し倒しました。
ポキッ。まるで枯れ枝を踏みしめたかの様な軽い音が響き、瞬間、火の付いた様な激痛が脳天に走ります。
「っああああああああっ‼︎ 」
折れた指を庇い、痛さを感じながらも転げ回りたくなるも、手首はびくともせず吊り上げられたまま。
痛い。痛い。痛いっーー。
この男は何て事を‼︎ 狂っている。狂っていますわ‼︎
「痛い?汚い泣き顔だね 」
冷たい笑顔を見せる。
「左手も同じにしないとね 」
子供に言い聞かせるみたいに、レヅィは
「いやぁぁぁっ‼︎ 」
簡単に、何の躊躇いもなく、折る。
「きゃあああああああっ」
矜持も何もなく痛さに支配され、狂った様に悲鳴を上げ続けていると、耳元で破裂音がし顔面に衝撃を感じ悲鳴を強制的に途切れさせられます。
「あぐぅっ」
口中に鉄錆の血の味が広がり、赤い液体は溢れこぼれ落ちます。
鼻も折れたのでしょうか。
焼け付く痛みに苛まれ、涙と鼻水と鼻血と涎と血泡が流れ
「ようやく、見られる顔になったかな? 」
悪魔が話しだす。
「あっあっああああああああああぁぁ」
この場にはこの狂人を止められる人はーー
人は、いな…
「罪人に髪は要らないよね 」
無情の言葉が吐かれ、首筋に冷やりとした金属が当てられ
「っっっがっああああっ」
幾ばくかの皮膚と肉ごと、髪を持って行かれます。