中身
katakatakata……
無機質な音が響く。
僕は私はコトバを吐く。
映し出される画面に向かって、映る君に向って、移ろう景色に向って、
この自分という個体は『ヒョウジョウ』を作って、コトバという音を吐く。
真っ白にも、真っ黒にも、灰色にも見えるけど、本当はまっさらで、透明ですらもない。
何にもないんだ。
僕は私は、どこにいるのですか? どこにいるのだろう?
いつになったら会えるのか、分かるのか、解るのか、判るのか……
確かな答えも、妥協点も見つからない。いや、分からない。
カタカタカタ……
あ、時間だ。
今日もやらなくちゃいけないことが山積みだ。
顔を洗って、寝癖を直して、服を着て、ご飯を食べて、
最後に僕を被って靴を履く。
「いってきます」