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魔王軍の軍師と将軍物語(仮)  作者: 神那 悠樹
―Citazione:召喚―
7/59

ふぅん? だからなんなわけ?

「初瀬、頼む!」

「わかった! 『ほむらよ、彼の剣に加護を!』…雪杜、GO!」

「おうっ!」




僕が魔術で呼び出した炎を纏わせた剣で木でできたゴーレム(ウッドゴーレムというらしい)を一刀のもと斬り伏せる。




「……おつかれ」

「さんきゅ、初瀬! ナイスフォロー!」

「当たり前でしょ? 僕を誰だと思ってんの?」




この国に落とされてはや三ヶ月、僕達はここまで強くなった。そう…自惚れじゃないけど、この王宮でも三本の指に入るほどに。

当然ながら、それは異常なことだった。『才能が開花した』とか『能力スキルに後押しされた』とかその理由は色々言われてるらしいけど…どれにも恐怖が含まれていることに気付けないほど僕も雪杜も愚かじゃない。




「……見事な、腕前だな」

「お褒めに預かり恐悦至極にございます、陛下?」




だって、ほら。

僕達を呼び出すことを命じた張本人の王だって…こんなに、怖がっているんだ。


……ああ、もうすぐかもしれないな。僕達が『魔王討伐すてごま』命じられるの。




「……どうだ、皆の者。彼らならばあの憎き悪逆非道の魔王を討伐してくれるのではないだろうか? 確かに、その道には険しい山々が聳え行く手を阻むだろう。しかし! しかしだ。彼らならば、それをも乗り越えてくれるはずだと余は信じておるのだ!

―――初瀬殿、雪杜殿。我がラーシア国の勇者として…どうか魔王を倒し、この国を…否、世界を救ってくれ!」




よーするに、魔王を倒す刺客になって自爆覚悟で挑んで来い、ってことだろ?

うわー…今無性に「だが断る!」って言いたくなってきた…




「……わかりました。できる限りのことはいたしましょう」




この国のために、じゃなくて、僕と雪杜が元の世界に帰るために。帰れなくても安定した生活を送っていけるように、だけど…ね?





「よかったのか? あんなこと言って」

「構わないさ。でも、少なくとも人間の国にいるうちは十中八九見張りがつくだろうから…魔国|(魔王の治める国)に入るまではきっちり勇者やらなきゃ駄目だね」

「おっけ、わかった。――――…なぁ、初瀬。お前、何をするつもりなんだ?」




………あれ? 言ってなかったっけ?




「あー、言い忘れてた。一度しか言わないからな?

―――――「亡命」、だよ。ラーシア王国から魔国への、な」




この国にいたままなら、きっと僕らは飼い殺される。

もし魔王を倒せたとして、無事に帰ってきたとしてもこの国は僕達を自分達のいいように扱うだろう。

まぁ、優遇はそれなりにされるんじゃない? 道具として、だけど。




「少なくとも、人間の世界には僕らが帰る方法もこのまま生きていく場所もないだろう」




三ヶ月間やったこの国についての学習で気付いたことなんだけど、人間の世界って今ものすごい封建社会なんだよね…まぁ、ラーシア国みたいに専制君主制とってる国があるから押して知るべし、なんだけど。

一方、魔国は数代前の王から血統よりも実力を重視する傾向にあるようだ(その本禁書になってたけど)。

どちらが余所者である僕達を受けれてくれるか、なんて…言わなくてもわかるじゃないか。




「なるほど、な…」

「わかったらもう寝よう。明日も早いんだから」




言語を日本語からこちらの公用語に戻す。

……あ、今までの結構ヤバめな話は日本語でやってたよ。


自動翻訳みたいな感じでこちらの公用語話せてたみたいなんだけど…ちょっと意識したら日本語はなせたんだよね。

…おかげで助かるけど。




「んー…おやすみ、初瀬」

「うん、お休み」




窓から見える夜空にかかる月ではない青白い光を放つ衛星を見上げる。


……なんだって、利用しつくしてやるさ。自分と、雪杜のためなら。

それがどんな卑怯な手だろうと、残虐な手だろうと。


誰に非難されても構わない。だから…―――――




「………僕もヤキが回ったかな」




おそらくこれで寝ることは最早ないそのベッドで僕は眠りについた。

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