表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王軍の軍師と将軍物語(仮)  作者: 神那 悠樹
―Citazione:召喚―
5/59

え?なんか問題あるの?

雪杜ゆきと……お前、人間やめた? それで…何? ゴリラかチンパンジーにでもジョブチェンジしたわけ?」

「そういう初瀬はつせは…なんか、輪をかけてひ弱になったんじゃねぇ?」




………どうやら、僕と雪杜の『能力スキル』は揃いも揃って肉体強化系だったみたいです。




「いやぁ…初瀬殿はすばらしい魔術の才をお持ちですな! 同じように雪杜殿は『すばらしい身体能力をお持ちだ』と騎士連中が騒いでおりましたぞ!」




どうやら僕は魔術に、雪杜は武芸に、といった具合で『能力スキル』が現れたと思われているらしい。


……そして僕は武芸に、雪杜は魔術に、全く適正がないこともわかった。

僕の武芸ってのはまだ何とかなるレベルらしいけど……雪杜の魔術が、ね…






「大体は予想通りだったけど…」

「いやまー、オレもなんかこっちに呼ばれてからやけに体が軽いなーって思ってたんだけどさ…やってみたら凄くてさ!」




うん、知ってる。

隣で見てたから知ってるよ、雪杜…元々運動神経無駄によかったけど、今は凄いことになってるもんね…。

いくら剣道部で副将やってたからって、現役の騎士と手合わせして勝っちゃうとかどうなってんの?




「初瀬だって凄かったじゃん。爺さん目ぇ真ん丸くしてたぜ?」

「やけにしっくり来るなー、とは思ったけど…あれほどだとは思ってなくって」




この世界の人間なら誰でもできる、という程度の下級魔術の一つを爺さんデュラングが教えてくれて、やることになったんだけど…


結果だけ言おう。

負傷者がでました。





「『炎』、って言われたから、つい…」

「つい、ってレベルじゃなかったぞ。アレ…」




やったのは地面に置いた薪に火種をつけるという魔法。

どんな属性の人でもできる程度の魔法なんだけど…




「むしろ『炎』じゃなくて爆発に近かったろ、アレは」

「そう、だったな…」




込めた魔力の量が半端じゃなかったらしく……瞬間的な爆発が起こったんだよね…

その結果、近くにいた助手さんが火傷を負いました。


そう深くはなかったし、すぐに爺さんデュラングが治癒魔法|(神官とかじゃなくても使えるらしい。でも難易度はかなり高いそうな)で治療してたし。

それに、研究者の性と言いますかなんと言うかで…怪我させられたことよりもその無駄なほど高い魔力のほうに心惹かれたらしい。


……え、もしかして僕、実験台モルモットになる可能性出てきた!?




「雪杜の煙が上がる、ってのだけよかましだよ…逆の意味で泣かれてたじゃない」

「それを言ってくれるなぁあああっ!」




途端にひざを抱えてシクシクと泣く真似をする雪杜。


……どうしてくれようか、コレ。死ぬほどうっとうしい…

燃やしていいかな? うん、いいよね。




「『燃えr「ちょ、待て…待てぇええ! 初瀬、早まるな! お願いだから!」チッ…」




魔術の発動の引き金となる『呪文トリガー・ワード』を唱えようとしたところ、かなり必死そうな雪杜に止められる。

………もうコツは掴んだからあのときみたいな暴発はしないのに。




「爆発はしなくっても火はつくだろ!?」

「――――……お前なら大丈夫だ! きっと!」

「棒読みやめぇえええっ! 信じてもない事イイ笑顔で口にするなぁあああ!」

「うるさいなぁ、何時だと思ってんの? 明日もあるんだからとっとと寝るよ」

「え、ちょ、おま……っ」




……そんなこんなで僕と雪杜の異世界での一日が終わった。


ああ、にしても…僕達の『能力スキル』が両方肉体系だったときの周りの反応がかなりあからさまだったなぁ…

なんてゆーの? 落胆を隠し切れないって言うか…そんな感じ。


それなりに『使える』ことは示せたから早々簡単に使い捨てられはしないだろうけど…

遅かれ早かれ、『使われる』時は来るはず。


その時上手く逃げ切るために、知識は必要だ。そのためにできる限りこの『勇者』という特権を利用させてもらうさ。



…そのくらい、許されてしかるべきでしょう?

理不尽に奪われたんだ。未来を、世界を、友人を、家族を。

――――――覚悟しとけ。

この国のやつらが勘違いしてるらしい僕の『能力スキル』をフルで使って、絶対に復讐しかえししてやるから。


そのためには…なんだってしてやるさ。



……それより、雪杜。

もし僕の武術の時のこと口に出そうものなら即刻魔術の練習台にしてくれるから。



問題ないよね?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ