がー!
フンフンフフ~ン
わたし、紫南まりは、鼻歌交じりに、登校中。これでもれっきとした、小学五年生なんだから!まぁ見たら、小学生ってのは、分かると思いますけどね。
まりの通っている文庫小学校は、その名の通り小説が好きな小学生が、多く集まっている。
まりは、教室の扉の前に立ち、耳をたてた。すると、こんな声が中から聞こえてきた。
『SFなら、あの小説だよ!』
『あぁ、あれな。俺あれ気にいらねぇ。』
『ファンタジーならアレがいいと思うんだ。』
『あれならよんだよー!面白いよねー!』
さっきの会話(?)からも分かるように、まりのクラスだけこの学校でも異常なほどの小説好きが、集まっているのだ。まりは、一人でうなずいた。(いつも通り、呆れるほど小説の話しかしてないわねぇ) そしてまりは、扉に手をかけ大声で言った。
「おっはよー!」
『おはよーございまっす!』
まりは、顔をしかめた。
「それやめてって何回言ったらわかるの?男子諸君。」
すると、後ろからこえがした。
「あははっ!毎日、毎日、そんなあいさつされるなんて、どんだけそんけーされてんの?」
そう、まりはこのクラスほぼ全員に、尊敬のまなざしでみられているのだ。
「知らないわよ!去年ぐらいから、こんなことになっちゃって。」
本人も分からない、尊敬されてる理由は、小説コンクール小学生の部で、絶対無理だ、と言われていた、4年連続優勝をまりが、はたしたからだ。そんな事とは、いざ知らず、困っているまり。そのうしろにいるのが、あやかこと式田綾香。いつも能天気だが、小説家を、真面目にめざしている。
すると男子の声がした。
「あらためて、よう!てまり。」
「誰が手まりだって?」
まりは、〈てまり〉と言った人物をにらみつけた。そいつ、つまり、とおること部寺遠瑠。
「あいさつよりも、その呼び方をさきにやめなさい!」
まりは、背が低い。そのため、いままで何度も手まりと呼ばれたことがある。
その話は、おいておき、この紹介した三人は、《紫式部組》と、三人そろっている時は呼ばれる。
そう呼ばれる理由は、(まぁ、小説を書くのが上手だからというのもあるが、)三人の苗字の頭文字をつなげると、紫式部に、なるからだ。
「かわいくていいじゃない。てまり。」
「よくないの!かわいいけど、よくないの!」
「よし!手まりに完全決定だな!」
「もう!なんでそうなるの!」
『やっぱ、すげぇ』
「あっ!そうだ!新作の小説つくってきたんだ~。よんでみて、感想聞きたいから。」
ガラッ
扉が開いた。先生が入ってきたのだ。
入ってきたのは、前崎先生で、なぜこの学校に入ったのか聞きたくなるくらいしょうせつが、だいっ嫌いなのだ。
(やばっ!没収されちゃう!)
まりは、急いで机の中に隠した。だが一瞬おそかった。
「なにをかくした!」
「い、いえ何も。」
「だせ!」
「いやです!」
この言い争いから、前崎先生VS私達A組の対戦が始まった。