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アポカリプス・ロジック ――物理の少女と、朱色の獣――  作者: 仁平 浩次
第2章:大阪万博編 前編(レジスタンス)
9/9

「筋肉は裏切らない。裏切るのは関節だ」

作者です。

今回から「物理の少女」が「筋肉の少女」になります。

ジャンル:SF → 筋トレ小説に変わりました。

ご了承ください。

作戦会議は終わった。


方針は決まった。


だが、すぐに出発とはならなかった。


万博の前夜祭までは、まだ二か月以上ある。

準備不足で突っ込めば、全滅は確実だった。


そして何より――


今の理花には、致命的に足りないものがあった。


「……筋肉マッスルだ!」


トレーニングルームに、雷が落ちた。


仁王立ちの小水晶アキラが、理花を見下ろしている。


「……やっぱり来たわね」


理花は遠い目をした。


翌朝。


午前五時。


理花が与えられた部屋は、カナと同室だった。


まだ薄暗い室内で、カナが静かに身支度をしている。


「……カナ?」


「起こしたか?」


「今から訓練?」


「ああ。任務がない日は毎日だ」


「毎日……?」


「そうだ。死にたくなけりゃな」


理花は、しばらく黙った。


そして、小さく呟く。


「……誰だって、死にたくないわよね」


「当たり前だ」


カナは淡々と言った。


「だから鍛える」


理花は、自分の手を見つめた。


まだ、誰も殺していない手。


「……昨日、氷璃くんに言われて気づいたの」


「私は、命を軽く見てた」


「数式の向こう側に、人がいるってことを」


カナは少しだけ、視線を逸らした。


「八年も檻にいりゃ、そうなる」


「誰も教えてくれねぇからな」


沈黙。


しばらくして、カナが言った。


「……来るか?」


「強制じゃない」


「だが、来なきゃ死ぬ」


理花は枕元のジャージを掴んだ。


「行くわ」


「逃げたくない」


カナは小さく笑った。


「そう来なくちゃな」


トレーニングルーム。


そこは、地獄だった。


「まず、測定からだ」


小水晶は冷酷だった。


容赦がなかった。


握力:13kg

腹筋:6回

シャトルラン:15回


……全滅。


「……壊滅的だ」


「才能の墓場だ」


「……言い方!」


理花は叫んだ。


「泣いたって筋肉は付かない」


小水晶は真顔だった。


その日から。


理花の生活は崩壊した。


加重ベスト15kg。


寝る時も着用。


歩く時は常につま先。


食事はプロテイン。


強化ガム。


雑巾がけ。


10km走。


拷問。


「これ訓練じゃなくて拷問よね!?」


「愛だ」


「嘘でしょ!?」


四日目。


尿が赤かった。


「……筋崩壊」


七日目。


倒れた。


でも、立ち上がった。


「……私は……負けない」


歯を食いしばって、走った。


二週間後。


変化が現れた。


肩が盛り上がり。


腹筋が浮いた。


「……嘘」


理花は鏡を見た。


「私……割れてる……?」


小水晶が頷く。


「順調だ」


「怖いわ」


模擬戦。


相手は氷璃。


「遅い!」


蹴り。


かわす。


反撃。


倒す。


「……は?」


氷璃が固まった。


「今の……」


「理花か……?」


小水晶は震えた。


(この少女は――)


(殺しを、計算している)


二か月後。


そこにいたのは。


ひ弱な家出少女ではなかった。


戦える肉体。


氷の頭脳。


美しき兵器。


──アサカワキラー。


理花は、静かに呟いた。


「……まだ、足りない」


「私は……もっと強くなる」


その瞳は。


もう、研究室の少女のものではなかった。

筋肉回でした。

すみません、SFなのにプロテインが主役です。


次回から、いよいよ大阪編が本格始動します。


理花、初の実戦へ。


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!

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