9:え…俺の病気は治ってないの?
突然扉を開けられ、ルナに後ろから拘束された。
「すいません!響さん……手遅れになる前に、治療しなければいけないのです!!」
「て、手遅れ?俺の病気は、治ったんじゃないの?」
「厄介な病に、侵されています……。ショックかもしれませんが、あなたの病名は……厨二病です。」
「厨二病……いや、ショックだけど、厨二病は病気じゃない?あれは、思春期特有のものだ。日本人男性の86%が経験があるのだ。断じて病気ではない。」
「ちょっと早口すぎて理解できませんでしたが……。中二病は、古の文献にも書かれている、不治の病ですよ?」
「その文献は、誰かの書いたラノベだろう。」
「じゃあ、響さんは一体誰と話していたんですか?とても親しげに話しているように聞こえました。私と話すよりも……親しげで……」
『私にお任せください。』
「え?なんだって?」
「わ、私何も喋っていません!!また厨二病の発作ですか?!」
『ルナさん……聞こえますか?今、貴方の頭の中に直接話しかけています』
「響さん!もう末期ですよ!!いますぐ治療しましょう!」
「治療法あるの?!」
『厨二病に治療法はありませんよ?』
「「えっ?!」」
ナノは、俺とルナの、頭の中に向けて話しかけてきた。
『私は、響のナノマシンです。今お二人に向けて、話をしています。』
「なの?ましん?って何ですか?」
『下僕?奴隷?メイド?エッチなのはないので、安心してください。』
「お前いい加減にしろ。ルナ、こいつは俺の寄生虫だ。」
『お前マジで殺すぞ?』
「いや……、わかりやすくね。ルナ、こいつは、昨日、突然俺に話しかけて来たんだ。さっきのルナと同じような感じだよ。貴方の頭の中に直接話しかけています……ってやつ」
「そ、そうですか……厨二病じゃ無かったのですね……でも、経過観察です。」
『言いたいことは、色々ありますが……そんな感じです。私は、響のサポートをしています。』
「俺もお前には、言いたい事が沢山あるよ……」
『相思相愛ってやつですか?』
「全然違うね」
「なにか……疎外感があります……」
そんなこんなで、俺達には頼れる相棒(?)が出来た。
『お二人は、軍に追われているんですよね?』
「ああ、俺達の作ったポーションが、高性能すぎて軍に目をつけられたらしい」
『特異な物は、目をつけられて潰される……ラノベの定番じゃないですか……愚かですね。』
「確かにな……俺の考えが浅はかだったよ……。」
「あなた達の言うことは、たまに理解できませんね。」
『戦争が終われば、軍に追われなくて済むんじゃないですか?』
「どうだろうか……一旦戦争は終わっても、次の戦争に備え、また争いが始まる。それが人間の歴史だ。」
『確かにそうですね……。では、せめてお二人が、軍から攻撃を受けた際の備えだけは考えておきますね。』
「頼んだ」「お願いします。」
「ところでルナ、どうだろう、旅に出ないか?この国は、俺達にとって安心できる場所じゃない。」
「良いですね。私は、この国から出たことがありません。良い機会かもしれませんね。」
俺たちは、旅立ちの準備を始める。
「ルナ、道中のことなんだが、魔物とかの危険性はどうなんだ?」
「そうですねー、本来なら、冒険者の護衛は必須かもしれませんね。」
「やっぱりそうなのかー。剣と魔法の世界だもんな……」
『ご安心ください。程度の低い魔物には、やつらのナノマシンに干渉して、こちらに近づかないように致します。』
「お前……優秀だな」
『私の評価低すぎ……私、ラノベで言うところのチート級ですよ?』
「あの……程度の高い魔物にはどう対処を?」
『私がルートを指示するので、近づかないでください。』
「その調子で、追っ手に干渉はできないのか?」
『人間への干渉は難しいですね。機能停止させるのなら話は早いのですが……』
「却下だな。ナノ、約束事だ、人は殺すな。せめて気絶させる程度に留めてくれ。」
『了解しました。』
各自用意を分担し、俺は錬金術で、ブロック状の保存食(俺はチーズ味が好き)や、大気中の水分を集めて、飲料用へ浄化してくれる水筒などを錬金術で作成した。
ルナは、携帯用寝具や、衣類、ポーション等を用意。俺の厨二病の疑いを、まだ解いていないとかで、リラックス用のハーブや、何故かボードゲームなどを用意していた。
俺は、断じて厨二病でない……。
「そもそもだが、俺たちは追われてるのか?諦めたりしてくれてないかな?」
『その事ですが、あと13分で、軍の小隊がやってきます。』
「「連絡が遅い!」」
「やっぱり追われてるのかよ!俺の準備は、ほぼ終わった。ルナは?」
「あと、響さんがリラックスして眠る為の、ぬいぐるみを選ぶだけです。」
「いらん!ナノ、出るぞ!ルートを頼む。」
『畏まりました。私にお任せください。』
不安は残るが、少し楽しみでもある、俺とルナ、そしてナノの旅が始まる。
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御覧頂きありがとうございます。
初めて書いた作品で、おかしな所もあるかもしれませんが、温かい目で見ていただけると幸いです。
これで、第一章は終了です。
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