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コールドスリープから目覚めたら、剣と魔法が「未来の常識」でした  作者: たくみさん
第五章 アイゼン帝国

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40/50

4:次期皇帝

 膝の上で横になっていたのは⋯小さな子犬だった。

「ちょ、こいつが俺の相棒?」

「か、かわいいじゃん⋯ちょっと撫でていい?」

 これは⋯シベリアンハスキー?


『ふあぁぁ、おはようございます、御主人様。今日から貴方にお仕えするアトラスと申します。』

「最初から名前あるんだな。」

『メイさんから、人間はネーミングセンスが乏しいとのことで、メイさんにお名前をいただいたワン。』


「お、突然の語尾がワン。」

『てへへ、忘れてたわん。ナノさんにキャラ付けは重要と教わったワン。』

「響さんのナノマシンたち個性が強すぎるな。」

「やっぱりそう思うか?俺もそれで苦労してるんだ。」


「まあ、話を大きく戻そうか。

 アイゼン帝国が攻めてくるのを、どう処理するかだが、何か案はあるか?」

「神の力でなんとかならないのか?」

「ヴィンデミア王国の内戦は、ナノマシンで終結させたことはあるんだが、アイゼン帝国のナノマシンは、メイの力ではどうにもならん。」


「それじゃ、徹底抗戦?」

「そもそもアイゼン帝国は、ヴィンデミアに手を出せない。」

【補足しますと、アイゼンからの魔法による攻撃は一切通りません。魔導具による攻撃も然りです。お父様の厨二魔法によるものです。】


「お父様って誰のことだ?」

【お父様とは、響様の事です。】

「えっ…響さん?」

「お、お前までそんな目で見ないでくれ。メイの希望であって、俺がそう呼ばせている訳じゃないからっ!」


「あ、うん。分かった分かった。

 それで厨二魔法ってなんだよ…俺の考えた最強の魔法とかって感じか?」


【お分かりになりますか?では、あなたも?】

「いや、クラスに拗らせてる奴が、数人いたかな。」

【おや…お父様は、日本人男性の86%が経験する病だと仰っていましたが。】


 響が、突然円卓に頭突きをして、突っ伏してしまった。

「メイ、日本人男性の大半は、黒歴史というものを心に抱えて生きている。響の黒歴史は、厨二病という訳だ。分かっていても触れないのが、優しさというものだぞ?」


【畏まりました。ジン様はお優しいのですね。】

 俺は思わず、響の肩をさすった。


【話を戻しますが、アイゼン帝国は、白兵戦でこちらを攻撃するしかありません。それでも攻め込んで来ますかね?】

『アイゼン帝国は、強さが正義の国です。力さえあれば、皇帝にもなれますワン。国民も非常に血の気の多い人たちも多く、肉弾戦は望むところだワン。』


 響が、顔を上げ呟く

「だが、なるべく流血は避けたい。」

「でも響が終わらせたヴィンデミアの内戦は、結果的に国王が、民衆に刺されてるんだよな?結局、自分の手を汚さないだけじゃないか?」

 響は再び円卓に突っ伏してしまった。


『ジンさん、それも言っては駄目なのです。響は正直甘い男なんです。』

【お父様は、お優しい人なんです。】


「敵が攻めてくる時には、皇帝も来るのか?」

『アイゼン帝国は強さが正義だワン。皇帝自ら戦争に赴き、前線で指揮するのが皇帝の仕事でもあるワン!』

「皇帝が戦死したらどうなる?」


【ふむ面白い考えですね。

 ジンさんに皇帝を倒してもらい、新しい皇帝になってください。】

「いや、それいけるか?」


【アイゼン帝国は、強さが正義という修羅の国です。皇帝をジンさんの力で打ち倒せば、貴方が皇帝なのです。】

「俺そんな修羅の国の王様になりたくないぞ!」

「俺もそんな国嫌だな」

 復活した響が、話に混ざってくる。


【とりあえず皇帝になってから考えるのはどうですか?だめなら逃げればいいでしょう?】

『アイゼン帝国の皇帝は脳筋ですが、全ての国民が脳筋な訳ではないわん。修羅の国を望まない人たちも一定数いますし、ジンさんが平和なアイゼン帝国を作るのも良いかもだワン。』


「そういえば、オリンピックは国家間の争いを、戦争ではなく、スポーツで行い平和にどうのこうのという話があったよな?」

【さすが、元オリンピック選手ですね。この世界でオリンピックを開催するのも良いのでは?、ジンさんらしい平和な世界になるかもしれません。】


「よし!皇帝に俺はなる!!」


「おっ、どっかの海賊王みたいな事言ってるな。よし、分かった。俺も協力する。

 まず、ジンの装備を一新するか。」


『安全第一でお願いしますワン。』

『次期皇帝らしい派手な鎧にしましょう!』

「角とかトゲつけようぜ。色は黒で、所々に骸骨をつけて…腰の所に鎖を…」

「でたぞ、厨二病が…」

「厨二病言うなっ!」


『ジンさんだけだと心配なので、僕もいきますワン!』

【アトラスさんにもジンさんとお揃いの鎧を着せましょう。】

響「いいか?平和のためにこそ、敵を威圧する闇の支配者的な見た目が必要なんだ!」


【お父様の発案は、敵の戦意を削ぐという点で非常に合理的かもしれません。デザインは、ジン様の肉体に合わせて調整し、絶対無敵の黒鉄神威くろがねかむいの鎧と名付けましょう。】


「勝手に変な名前を付けるなっ!」

「敵の魔法も防ぎ、剣や槍の攻撃は鎧を貫通しない。よし、性能は完璧だ!あとはやっぱり見た目だ!ほら、ジン、目を閉じて想像しろ。お前が皇帝となり正義を貫く漆黒の剣士となった姿を!」


「えー俺普通のでいいよー。」

「もう俺に任せとけ、目を閉じろ!!」


 眩い光が部屋を包み込んだ。

 光が収まると、ジンは全身を漆黒の鎧に包まれていた。それは確かに響が求めた派手なデザインだったが、ジンの肉体に合わせて調整されており、驚くほど洗練された威圧感を放っていた。

 肩と膝には黒曜石のような光沢を帯びた、鋭角的な装甲が備わり、鎖や骸骨こそなかったが、全身のラインは禍々しく、強力な力を秘めていることを示していた。

 そして、子犬サイズから成犬のシベリアンハスキー大になったアトラスが、銀色のラインが入った黒い装甲を身に纏い、どっしりと座っていた。その装甲はしなやかで、アトラスの動きを一切妨げない。


『どうだワン、ジン様!僕たち、最強にカッコいいワン!』

「ああ、かっこいいぞアトラス。」


「これでようやくスタートラインだ。ジン、次の手は決まっている。皇帝を倒す前に、まずは帝国軍の補給路を断つ。」

◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇


読んでいただきありがとうございます。温かい目で見ていただけると幸いです。

 毎日更新予定です。応援して貰えると、モチベアップに繋がります。

応援よろしくお願いします!

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