9:ババ様の審問
白神岳から帰ってすぐ、オットーはオババの手の者に拉致されていた。
彼は今、村の長老であるババ様三衆に囲まれ、村の集会所で正座させられている。
「オットーや」
真ん中に座る最高齢のババ様が、深い皺の刻まれた顔で、静かに、しかし有無を言わせぬ声で口を開いた。
「わしは、村から眺める美しい白神岳が大好きじゃった。それが、あのような姿になってしまった…かわいそうに…あれは一体、何事じゃ?!」
オットーは冷や汗を拭った。ジンと二人で考えた荒ぶる神を鎮めたと言うシナリオは、どうも通用しそうにない。
「ええと、その……誠に申し訳ございません。巨大な悪神アラハバキが山頂に現れまして、アラハバキによって山が崩されてしまいました。」
「ふむ。悪神アラハバキと申したか。この罰当たり者が!!」
「ぐっ…、しかしっ!」
「白神岳は、ただの山ではない。島の命そのものじゃ。それを、神の怒りなどと都合の良い言葉で誤魔化し、挙句の果てに湖の水を抜き、土を崩すとは……お主の行ったことは、神への冒涜じゃ!」
「いや、確かにあの時、敵であったアラハバキは、我らを滅ぼそうとしておりました。」
あれ?驕り高ぶる人間って俺とジンの二人に対しての言葉?村に被害は…いや、そんな訳ないな。
確かに、アラハバキと自称していた石像は、魔物を生み出していた。いや、しかし…
オットーは観念したように頭を下げた。
「全くもって、返す言葉もございません。私の不手際です。ジンには指示を出しておりませんでしたので、全て私の責任です」
「…火山湖の水もあのような気味の悪い色になってしまって…」
ババさまは深くため息をついた。
「しかし、三分の二が死ぬという『狂乱の波』の恐ろしさを、わしらは知っておる。島の未来を考えれば、お主等の蛮行にも目を瞑るしかないのかのう…」
オットーは顔を上げた。
「それじゃあ?!」
「責任は取ってもらうぞ。向こう一年、お主の狩った獲物の肉は、全て村に奉納すること。」
「全ては、さすがに…」
ババ様達に睨まれ、オットーは口を噤む。
「それと…ジンというあの筋肉馬鹿には、当面、薪割りと漁の手伝い以外はさせるな。これ以上、山を壊されては困る」
オットーは、安堵と疲労が入り混じった顔で、ペコリと頭を下げた。彼の処罰は、予想よりもはるかに軽いものだった。村の長老たちは、彼らの行動の危険性と功績、両方を理解していたのだ。
「しかし…なぁ、俺たちは英雄として、村人から感謝される予定だったのになー」
オットーは、肩を落とし家へととぼとぼ帰って行った。
◆◆◆
俺は、村を救った英雄のはずなのに、この冬、村で使う分の全ての薪割りをやらされていた。
いや、罰つてレベルじゃないだろ…原木はすでに切り倒されているのだが、原木はまだ、半分近くが森に放置されている。それを、薪割り所まで運び、ざっと1500本近くある原木を、薪にしていく。2ヶ月…いや、1ヶ月半か?
なんかやれそうな気がしてきた。 神焔解放使えば、良いしな。プロテインを量産しとこう。
俺は、割続けた。人々が心配するほど頑張った。コノミは、支援物質としてプロテインを俺に変わり作ってくれた。
そうして一ヶ月後、全ての薪割りは完了した。ものすごい達成感があるな…。筋肉も一回り成長した。筋肉の喜びが聞こえてくる。
「やったねジン!あの量を一人でやり切るなんて…凄すぎるよ!」
筋肉じゃなくて、コノミの声だったわ…。
「どうしたの?なんか落胆した表情だけど…あ、今になって疲れが出たのかな?」
「あ、ああ。そうだな…。コノミもプロテインありがとな。」
「まぁ、内助の功ですよ。」
こいつ意味分かってるのかな?コノミは何時、俺の嫁になったんだ。
薪割りで俺の処罰は終わったと思ってたんだが、この大量に割った薪を、各ご家庭に配りに行く仕事も追加された。理不尽すぎるだろ…
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