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コールドスリープから目覚めたら、剣と魔法が「未来の常識」でした  作者: たくみさん
第四章 剣の世界

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8:悪神?!アラハバキ

 強酸の湖の水で全滅させたと思いきや、どうも洞窟の中には何者かが蠢く気配があった。


「山頂から中を覗いてみようか。」

「あ、ああ、そうするか。」


 山頂から火口湖があった場所に空いた大穴を、二人は覗き込む。


「水が渦を巻いてるな…」

 強酸の水は大きな渦を巻きながら、徐々に水位が下がっていく。


「ん、渦の中心に何かあるぞ。…石像だな。」

 石像は強酸の水を吸収し、石像自体の色も変化している。下半身は赤、上半身は緑。次第に二色は合わさり、茶色になった。


「なんか泥人形みたいで、弱そう…。」

「格好悪いしな…」


 泥人形は、こちらを凝視し、体色を赤と緑のマーブル状に変化させた。


「んー、そういう事じゃないんだよな。」

 再び人形は、こちらを見るが、頭を捻り、変色することなく、酸性水を全て吸収し終わった。


「ん?目の錯覚かな…人形の体、大きくなってる?」

「錯覚ではないぞ、確かに大きくなっている。」

 

 人形は徐々に、徐々に大きくなり、体長は5メートルを超えているか。湖の底から頭が飛び出す勢いで、成長している。


「これ、なんかヤバそうじゃないか?」

「ものすごい魔力を感じるぞ。今の内に攻撃するか…」


 お互い目を合わせ、頷くと、穴から飛び出した頭めがけ、斬撃を繰り出す。

 その瞬間、地面から大きな手が突き出し、二人の斬撃を防いだ。


『貴様等の世界では、変身中は黙って見ている文化があっただろうが!非常識な奴らだ!!』


「どこの世界線の話をしてやがる!」

「え、そんなのあるのか?」

 

 まぁ、俺の世界の特撮ものや、ラスボスの登場シーンでは、そういうのあるよね。


『我は、アラハバキ。大地の平定を担う者なり。驕り高ぶる人間よ。無に帰すがよい』


「アラハバキと言えば、土着の神だったか?!」

「そんなことどうでも良い!なんとかしてくれ!」


 アラハバキは、両手で火口を広げ崩し、俺たちを落とそうとしてくる。崩壊する地面を飛び跳ねながら、アラハバキに切りつけるが、敵は無傷だ。刃は切りつける度に、腐食し始めている。


「こいつ、湖の水吸っただけあって、刀の痛みがはんぱねーぞ!」


「無駄切りするな。やつの弱点を見定めろ。」


 白神岳の地形がどんどん変わっていく。山頂の地形が見る見る内に変わっていき、アラハバキの肩が地表から現れている。


「こいつの体は堅いが、瞬きしている目や、関節なんかは少し柔いんじゃないか?!」


「んーーわからん!試してみるか。」


 ジンは目を狙い、オットーは肩の関節、指の関節めがけて切りつける。

 ジンが目を切りつけた瞬間、先ほどとは違い、明らかな切り込みが入り、そこから緑色の液体が噴出する。


「あっち!液体を浴びた胸当てが、と…溶けてる!」

 慌てて胸当てを投げ捨てると、数秒で溶解した。


「オットーさん!気を付けろ!血液は酸だぞ!」

「おうよ!おらっ!!」


 オットーは、指を切り裂き、肘、肩と上に上り、片腕を切り落とす。何故か体液が出ていない。それらの部位は、地面に落ちた瞬間に体液が吹き出し、肩からも遅れて噴出した。


「ジン!切り方が荒いぞ!もっと鋭く!素早く!剣が波打っているぞ!」


「お、うっす!」

 オットーはただ者じゃない…

 

 再び全神経を集中し、全身の力を一点に集中して…、あ、これがエネルギー操作か、よし試してみるか!

 身体中のエネルギー…いや、筋肉に呼びかけ、非常事態だと告げる。闘気を燃やせ…いや、カロリーを使え!燃やせ!


 「あっ、後で呑もうと思ってた、自家製プロテインが、丁度良く腰にさしてあったぞ!」

「ご都合主義だな!」


 一気にプロテインを飲み込み

「さあ、筋肉たち、栄養だぞ!速やかに吸収して、速やかに燃焼させろ!後のことは考えるな!!今やらなくて何時やるんだ!!」


「お、おい、俺そんな技教えたか?!」 

オットーも耄碌もうろくしたな。


「うぉぉぉぉ!!燃えろっ!!神焔開放!!」


「え?!それ俺の考えた必殺技だったの?!」


 オットーは動揺しているが、まぁ良いだろう。

 体が軽い!!力が漲る!!


「天衝一閃!!」

ただの縦切りである。


 刀はアラハバキの脳天から入り、足の付け根まで切り裂いた。


『ば、ばかな…神に抗う者が…』

 アラハバキの体から、体液が溢れ出す


「なんか股ぐらから出てるから、小便みたいだな!」

「お前…台無しだぞ?!」


 白神岳は、標高が数百メートル低くなったが、山頂には再び、火口湖が現れた。湖の色は、赤と緑のマーブル状だ。


◆◆◆


「さっき話した通り、荒ぶった神の怒りを鎮めたというシナリオで良いな?」


「そんなもんいらんだろ!悪い奴が居たから倒した!戦いは激しく、山の形も変わっちゃった!で良いだろ。」


「ばかっ!村のババさま達、山を大事にしてるんだよ!俺、怒られたくないんだ!」


「責任ある者は、下の者の失敗をかばって怒られるもんだろ?」


「誤魔化せるなら誤魔化したい!」


「貸し1だぞ?」

「お前、器がちっちぇー!」

 

 白神岳の形が変わるという出来事はあったものの、大きな怪我をした人もなく、今回の騒動は終結した。

 オットーは、ババさま達に連行され、俺はコノミに抱きつかれ、泣きながら説教された。怒られはしたけど、悪い気はしなかったので、良しとしよう。

◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇


読んでいただきありがとうございます。温かい目で見ていただけると幸いです。

 毎日更新予定です。応援して貰えると、モチベアップに繋がります。

応援よろしくお願いします!

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