7:起死回生の一打
大きな空洞が現れ、イノシシ型の魔物グリムボア、クマ型の魔物ウルスス、ゴリラのような魔物で灰色の毛が特徴的なシルバーバック等が集団で、円陣を組むように整列していた。
そして、その中心には、人型の何かが鎮座していた。
「ん?人がいる?」
「ジン、あれは⋯生き物ではないな⋯魔力か何かなのか、エネルギーの流れを感じる。感でしかないが、嫌なものを感じる石像だ⋯。」
魔物達は、その石像のような物を守るかのように隊列を組んでいるように見える。
「とりあえず、石像壊せばいいか?」
「短絡的な奴だな⋯、だが魔物たちがあれを守っている事からも、狂乱の波と関係がある⋯のかな?」
「んじゃ、壊すぞ。」「お、おう。魔物達をなんとかしないとな。」
周囲の魔物たちが一斉に咆哮を上げた。グリムボアが突進し、シルバーバックが岩を投げつける。ジンは超高速で魔物たちの間を縫い、刀でグリムボアの分厚い皮膜を一瞬で切り裂く。しかし、魔物たちの連携は普段の狩りで見るものとは段違いだった。ウルススがジンの背後を完全に塞ぎ、逃げ場を奪う。
しかし、俺は一人じゃない。オットーがウルススを一太刀で切り裂き、退路を作る。最初は、戸惑い苦戦したが、次第に敵の動きにも慣れてきた。
洞窟内は決して広いとは言えずグリムボアの突進力は、味方内にダメージを与えるだけで、俺達には一切脅威にはならない。ウルススも然り。シルバーバッグが、一番仲間同士での連携も取れていたが、所詮俺達二人の連携には勝てず、屍の山が築かれる。
しかし妙な事に、倒しても倒しても敵が減らない。積み重なっていたはずの死体も、目を話した隙に消えている。どうなっている⋯?
「オットーさん!どうなってる!きりが無いぞ。」
「あの石像だ!あの石像が魔物を生み出している。あの石像は恐らく、地殻からエネルギーを吸い出している、マグマ的な物だろう。更に、死体の吸収もしている。石像のエネルギー量が増えている、何か起きるぞ!警戒しろ!!」
石像をみるが変化は分からない。そもそもエネルギーってなんだ。考えても変わらないことは気にしない!一心不乱に魔物たちを倒し続ける。倒した瞬間に、死体は消える。これが石像が吸収してるってことか⋯。それじゃ一気に石像をっ!
魔物たちの囲みを一気に飛び越え、石像に一太刀しようとしたが、すっと前方にシルバーバッグがやって来て俺の進行を邪魔する。気がつくと俺は後退させられ、元の場所に戻っていた。
「オットーさん!!一撃必殺の技見せてくれ!」
「そんなもんない!!ジン、この前教えた必殺技使ってみろ!!」
オットー本人にも使えない、オットーの考えた最強の必殺技とかいう触れ込みの技だが、体内のエネルギーを瞬間的に燃やし、通常の数倍の力、瞬発力を十数分だけ生み出す技だが、エネルギーがなんなのか分からなくて使えなかった。
「ごめん、意味分からなくて使えない!」
「くそっ!広範囲魔法なんて使えないしなっ!」
呑気に会話しているが、その間にもばっさばっさと敵を斬り殺している。段々嫌になってきた。
「さっきの入口を完全に塞ぐ魔法なんて使える?」
「土魔法で行けるぞ。お、おま、自分が惹きつけるから、俺に逃げて入口を塞げってことか?!泣かせるぜっ!」
「むしろ老体がここに残って、未来ある若者を逃がすべきだろ!」
「老体じゃねーーしっ!!なんか策でも思いついたか?」
「ここ湖の底だよな?湖の水は猛毒だよな?!あれ食らったら、魔物どももイチコロだろ?」
「ちょっおま、やめろよ?絶対やるなよ?!ふりじゃねーからなっ!」
「はははっ!オッケー、打ち抜くから飲み込まれるなよ!!」
全身に力を込め、思いっきり地面を蹴った。超速で天井が迫ってくる。全身の力を手に集めるイメージで⋯ん、エネルギーってそういうことか?いやいや、今考えることじゃない!
天井めがけて、全力の一太刀を浴びせる。天井に一筋の切れ目が走る。
「もう一発!!」
再度、刀で斬りつけると、天井が揺れ始める。刀は白く腐食している、水に触れたのか?!
「ジン!落ちるぞ!」
切れ込みを入れた天井振動を始め、切れ込みからヒビが天井全体に伸びていき、限界が来ていることを感じさせた。
「よし!!逃げろ!!!」
追ってくる魔物を薙ぎ払いながら、一目散に退散する。入口から転がるように脱出すると、オットーが手をかざし、入口を塞ぐ。
「この入口を塞いでる壁ってどれくらい保つんだ?」
「あの程度の魔物じゃびくともしないさ。」
「水の圧力にも負けないか?」
「⋯ちょっと強度上げとくわ⋯。」
再び壁に手を当て、魔力を込めていた。
魔物の絶叫、壁を殴る轟音が聞こえたが、それも聞こえなくなった。
二人が荒い息をつきながら、塞がれた入口の前に座り込む。
「はっ…はっ…まさか、湖の水を流すとはな。お前の発想は……やはり規格外だ」
オットーは泥まみれの顔で、呆れたように笑った。
「勝負に出ただけだ。魔物共全滅したかな?」
「あの水圧と酸だ。無事では済まんだろう。あの石像であっても、強酸性の水は神聖なはずの祠の供物すら溶かすのだからな。」
しかし、土壁の奥から聞こえてくるのは、静寂ではなかった。
水の流れる音に混じって、何かを叩きつけるような、鈍い音が聞こえる。
「まさか、まだ生きているのか…!?」
オットーは立ち上がり、土壁に耳を当てた。
「いや…違う。これは、何か大きな物が動く音に聞こえる⋯まさか、酸の水もエネルギーにした?!」
洞窟の中は、強酸の水が流れ込んだことで、より危険で厄介な魔物を生み出したのかもしれない。
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