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コールドスリープから目覚めたら、剣と魔法が「未来の常識」でした  作者: たくみさん
第三章 神の降臨

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8:ヘルマンの最後

 ノヴァーレ公国の郊外。ヘルマン侯爵の要塞化された城の地下に、設けられた自室の椅子に座り、その時を待っていた。神勅の執行者アルトリアスから書簡の返信があり、本日がその約束の日。


「今日、私は神を超えるのだ…。」


『神の力を見誤ってるぞ、ヘルマンよ。」


「待ちわびたぞ御光ミヒカリミコトよ。私が開発した大量破壊兵器は、既に射出の準備を終えている。私が思うだけで、ヴィンデミアにノワール・ファントムは射出され、数分後には、ヴィンデミアは滅びる。」


『それで?貴様は何を言いたいのだ?』


「私を神として認めるのだ。そうだな、破壊神といったとことか?」


『ふふ、神になって何がしたいのだ?』


「私の力を世界に知らしめる。私に逆らう国は、直ちに滅ぼす。御光ノ命の裁きは、私から言わせれば甘い。貴様は神に相応しくない。私が、この国を正しいものへと導いてやろう。」


『我は、貴様と交渉するつもりなど一切ない。貴様の企みを全て試してみよ。特別に、全てを無に帰した後、神罰を与えてやろう。』


 ヘルマンは思わずほくそ笑む。抑止力として開発した物に魅力は感じない。使ってこその兵器なのだ。ヘルマンが頭でノワール・ファントムに指示を送ると、轟音を放ちノワール・ファントムは射出された。


「世界よ…私の力に恐れ慄くがよい。」



◆◆◆


数時間悩んだ結果、メインサーバの名前は…メイになった。はいはい、ネーミングセンスありませんよっと。


「メイ、ノワール・ファントムはどうなった?」


【真っ直ぐ王都に向かっています。】


「王都の建物の復旧状態はどうなんだ?」


【王が不在ということもあり、王都の復旧は全く進んでおりません。】


「よし、ならば命令しよう。高圧縮コアに囚われたナノマシン達よ。地表に到着した後、速やかに王都の復旧に取りかかれ、一切の破壊は許さない。」


【了解したとの信号が届きました。王都の復旧に使われるとは、なんと慈悲深いのでしょう…】


「よく言われるよ。着弾までは?」


【あと30秒…20秒…5秒…着弾します。】


 着弾した瞬間、半径数キロを覆い尽くす、淡い光が包み込む。光は徐々に収縮していき、光が晴れた部分の建物の修復が完了していた。


『ヘルマンよ、お前の兵器は見事な働きをしてくれた。我はノワール・ファントムを気に入ったぞ。これは贈り物として受け取っておこう。』


 ヘルマンは、座っていた椅子から、崩れ落ちそうになる体で、必死に立ち上がり、ノワール・ファントムに命令を送る。しかし、なんの反応も帰ってこない。着弾したはずの高圧縮コアの状況を確認するが、ノワール・ファントム経由で送られてくる情報だったため、それも叶わなかった。


「御光ノ命よ…一体、私の兵器に何をした…。私の兵器は、ヴィンデミアを灰にしたのではないのか…。」


『特別にヴィンデミアの今の状況を見せてやろう。』


 ヘルマンの頭部を黒いモヤが覆い尽くすと、次第に現実にしか思えない光景が映し出されてきた。

 ヴィンデミアは、完全に復興され、以前のような荘厳さを取り戻していた。唯一取り戻していないのは、そこに住む人々だけだった。


 絶望し、声すら発せないヘルマンに、神からの声が届く。


『さて、ヘルマン。贈り物のお礼をせねばな。貴様は、今魔法が使えなくなった。また今までの様に、兵器の開発も出来ないだろう。忙しく働いていたお前への、休暇だ。喜んで受け入れるが良い。』


 神からの声は聞こえなくなった。こちらから問いかけても、一切の返事は聞こえてこない。それに、何か今までと違う違和感を感じる。今まで辺りに存在していた物が、全て消えたような感覚…。

 そして、地下室を照らしていた明かりが消えた。明かりを照らす魔法を使ってみるが、何も起こらない。体中に鳥肌が立つ、焦りを感じていた。ヘルマンは、ノヴァーレでもトップレベルの魔法使いだった。様々な魔法を使ってみるが、何も起こらない。魔法を使う瞬間感じていた、体を巡る魔素の感覚がない。

 研究開発には、魔素を操る感覚が非常に大切であり、それが出来なければ、研究はできない。

 自分は、魔素を操れなくなったのか?今まで心血を注いできた、研究ができなくなるのか?俺の自慢の魔法も使えない?俺の存在意義は…。


 ヘルマンは、魔法至上主義であり、世に存在した魔法を使えない人々を、嘲笑ってきた。今ヘルマン自身が、その馬鹿にしてきた人々と同レベルにまで落ちてしまった、いや魔法を使えない人々は、他の技能に特化した能力があったらしいが、研究一筋だったヘルマンには、そんな物は存在しない。

 彼は、何も出来ない、中年の男に成り果てた。


「俺はこれから、何を生きがいにすればいいんだ…」



◆◆◆


「また一歩平和に近づいたな」


【お父様おめでとうございます!】


『響…私の出番がありませんでしたよ…』

「私も…」


「メインサーバと話が出来るようになってな。名前もメイと付けてやった。」


【私はお父様とお話が出来て幸せです。】


『響、貴方に必要なのはイエスマンではありません。戒めを与える者も必要なのです。』


「物は言い様だな。まぁ、ルナにもメイと話す権限を付与しておく。メイ、仲良くしてやってくれ。」


【ルナ様、初めまして。ナノも今後ともよろしくね。】


『あなた、うまいこと取り入ったわね。』


【ナノなんてお父様の側にいる幸せを味わってるじゃない!ずるいわよ!】


「響さん…お父様って呼ばせてるんですか?」

 ルナはジト目で俺のことを見てくる。


「ち、違うんだ…メイがそう呼びたいと言ってきたから!」


「別に私は、響さんが、どんな趣味を持っていても気にしません!でも人のせいにするのは男らしくありませんよ?!」


「め、メイなんとか言ってくれ…」


【お父様…まだお話をするのに慣れていないためか…エネルギー切れです。少しスリープします。お休みなさい…】


「な、ナノお前、メイとの会話も聞こえてたんだよな?!なんとかルナに説明してくれよ!」


『にゃ~ん』ゴロゴロ

「あら、ゴロゴロして可愛いこと、おやつをあげましょうね。」

『にゃー』


 俺のイメージがどんどん悪くなる…、神のイメージアップより、俺自身の名誉を回復しないと…

◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇


読んでいただきありがとうございます。

初めて書いた作品なので、ちょいちょいおかしな点があるかもしれませんが、温かい目で見ていただけると幸いです。

 毎日更新予定です。応援して貰えると、モチベアップして、小躍りしますので、☆の応援お待ちしています!


よろしくお願いします!

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