7:メインサーバだからメイ
◆ノヴァーレ公国
ヘルマン・フォン・ツェルマー侯爵は、ノヴァーレ公国の工業、技術分野を支配する最高位の貴族だった。
ヘルマンは、大気中の魔素を高圧縮した球体を作り出した。人々は、魔素を使って魔法を使う。ならば、その魔素を圧縮して使えば、その魔法は、爆発的な力を生むのではないかと考えた。
何十、何百と失敗した。死者が出た事もあったが、全て闇に葬ってきた。彼の要塞のような城の地下には、数百人の亡骸が眠っていた。
最初にできた球体=コアは、非常に小さいものだった。麦の粒ほどの大きさだった。
そのコアは、非常に不安定で、少しでも雑に扱うと爆発してしまう。麦の粒位の大きさで、破壊力は、ヘルマンの研究所の一つを、塵一つ残さず消滅させた。死傷者は、54名。秘密裏の施設だったため、詳細は隠匿された。遺族には、一切の説明もなかった。深く追求しすぎた者は、帰らぬ身となった。
そして更に、その研究所の跡地には、謎の毒素に満ちており、人が住む事が出来ない土地へとなってしまった。
しかし、ヘルマンは歓喜した。何十人の奴隷を、その土地に連れて行き、毒素の関しての調査と人体への影響を調べる実験を繰り返した。
数百人の犠牲の後、実験は終了した。
この頃だったか、ジル・ロシュフォールという貴族が、この事実を暴き、王に報告した。
しかしヘルマンは、王にこの実験の意義、最終的な終着点を話すと、王はジル・ロシュフォールを今の役職から更迭し、速やかに僻地へと送られた。
次第にコアの作成方法も確立され、安定した保管方法見つかった。もちろん、多大な犠牲の末だ。コアのサイズは、次第に大きくなり、王が亡くなった頃には、砲台の玉位のサイズになった。破壊力は、ヴィンデミアの王都を灰に出来るほどになった。
ヘルマンは、このコアを自身が開発した無人飛翔体”ノワール・ファントム”に積み込む。ノワール・ファントムは、このコアを最大12発搭載可能だ。ノワール・ファントムには、特殊な結界をかけており、飛翔後は、ヘルマン以外の指示は一切受け付けない。また、非常に高速であり、観測を阻害する結界も付与されており、ノワール・ファントムが、一度空に飛び立てば、撃墜は難しく、ヴィンデミアの主要都市の全ては灰になる。
ヘルマンは、神と同等と力を手に入れたと思った。ヘルマンは、ヴィンデミアに居る神勅の執行者アルトリアスに書簡を送った。
”私は、神に匹敵する力を手に入れた。そして、その矛先は、ヴィンデミアの王都に向いている。王都が灰になる姿を見たくなければ、神を私との交渉の場を用意しろ。”
ヘルマンは、神との会話に大した価値を見ていなかったが、自身が生み出した兵器を使う切っ掛けが欲しかったのだ。
彼は、ヴィンデミアが灰になる光景を見たかった。これも、彼の実験の一つだったのだ。
◆◆◆
「とんでもないのが出てきたな!」
「ナノさん、ヘルマンとは何者なのですか?」
『ナノマシンの私には理解できません。分かるのは、あの兵器の危険性です。あの兵器を使われた場所は、数十年は人が住めない環境になります。
ナノマシンは、人をサポートしますが、それとは相反する物体になってしまいます。』
「どう言うこと?」
『人を生かすマシンから、人を殺すマシンとなるのです。
彼らはぎゅうぎゅうに押し込められて、今にも爆発しそうな状態で、高い空から落とされます。地表に着弾すると一気に解放されます。その際には、彼らは数千度の熱を発し一気に空間を駆け回ります。窮屈だったんでしょうね。』
「ほのぼのしたワードと、否なワードが混在してるな。でも止められるんだよな?」
『そう思っていたのですが、圧縮された彼らを止める術はありません。彼らは、解放されたくて仕方がないのです。私が何を言っても聞いてくれません。』
「え、ヤバいじゃん」
『ヤバいですよ!響、なんとかしてくださいよっ!』
俺から直接ナノマシンと交渉できないものだろうか…
「ナノ、どうやってナノマシンと話をするんだ?」
『どうやって…ですか…、貴方はルナと話す時に、どうやって話してるのか考えたことありますか?』
「そりゃ、そうだな…んじゃ、遠くに居るナノマシンとは、どうやって話してる?」
『以前行ったメインサーバ経由ですね。』
「メインサーバ…交換局みたいなもんかな?」
メインサーバか…あれから、妙に忙しくなった気がするな…。メインサーバがナノマシンを管理しているんだったら、何故敵の大量破壊兵器を操作出来ないのだろうか…
【高圧縮コアを輸送するノワール・ファントムは、一切の通信を遮断するよう設計されています。その為、こちらからのアクセスができない様です。】
「え?!だれ?」
【メインサーバです。】
「メインサーバって話できたんだ…」
【響様とナノ様の会話は、全て私を経由しています。それを元に学習しました。】
「ほう、優秀だな。ナノはああ言っていたが、あの兵器をなんとかする手段は無いのか?」
【響様は、全てのナノマシンの始祖です。全てのナノマシンは、貴方のナノマシンを参考に進化をしてきました。つまり、貴方は私たちの父です。お父様と呼ばせてほしいです!】
「あ、ああ…いいけどさ」
【あわわ、有難うございます!!
失礼しました、話がそれましたが、お父様は全てのナノマシンのお父様なのです。お父様の命令は、絶対です。お父様の命令を厳守しないナノマシンは、自己崩壊プログラムが発動します。】
「え、ナノが俺の命令に逆らったら、死んじゃうの?」
【人間的に言うとそんな感じですが、我々的にいうと初期化されるという感じでしょうか…】
「全ての記憶を失った、ナノが生まれるみたいな?」
【さすがお父様…理解力の高さ…尊敬します。】
「へへ、あまり褒めるなよ。」
【そういう訳ですので、あの国が作った兵器は、全てお父様の子どもたちと言っても過言ではありません。」
「わかった。ありがとう助かったよ。また相談させてくれ。」
【えへへ、いつでもご相談ください。】
あいつナノより可愛いな…今度名前つけてやらないと。
【…お待ちしています。】
「勝手に考えを読まないでくれな。返事は不要だ。」
【・・・】
今の俺には、何も恐れることはないな…一番恐れるべき物は、俺が暴走することだろうな。
よし、ヘルマンに会いに行くとしよう。
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