8:二人と一匹
「だだいまー」
敢えて平然を装って帰宅してみる。本当はすぐさま抱きしめたいけど…まだ、そう言う関係ではない。8割り方勝ち確だと思ってるけど…
「おかえりなさーい。二、三日帰って来ないとばかり思っていましたが、結構早かったですね。」
くりくりした目で見つめてくる。
「何事もなく終わったよ。危険なことも無かった。」
「まぁ、何事もなくて良かったです。簡単な物しか用意できませんが、晩ご飯まだですよね?」
「ああ、頂くよ。」
「食べながらでいいので、どうなったのか教えてください。」
暖かい食事を食べながら、二人で祝杯をあげながら、今日あったことを話した。見えない階段が怖かったこと、谷底は靄が凄かったこと、いつの間にかナノマシンの王になったこと、エレベーターが糞遅かったこと。
そして、俺が過去の世界の住人だった事。今まで話せて居なかったこと、全てを話した。
「なるほど…やっと響さんの事を、理解できた気がします。」
「今まで話せなくてごめんね。」
「いいえ…話してくれてありがとうございます。響さんの孤独、苦悩を共有してくれた事が嬉しいです。
今、貴方は一人ではありません。」
心が暖かくなる。これが家族の温もり?いやいや、結婚したわけでもないなに、気が早いぞ、俺!
「あの、昨日の返事を聞かせてもらっても良いかな?」
「ずっと森の診療所で、暮らしてきました。一人で暮らす生活も慣れたと思っていましたが、突然貴方が現れました。その時から私の生活は一変しました。
力仕事もあったので、私の仕事はすごく捗りました。
一人で食べる食事は、とても味気ないものでしたが、響さんが居てくれると食事を作るのにもやり甲斐があります。
今朝、貴方が居なくなって、もう帰ってこないのではないかと少し不安になりました。でも一人でいた事で、今までの事とこれからの事を見つめ直す事が出来ました。
私もずっと、貴方と一緒に居たい。もっと貴方の事をもっと知りたい。
でもこの気持ちは、好きであることに間違いはありませんが、友達としてなのか、恋人としてなのかは、まだ分かりません。
だから…えっと」
ルナが困っているな、二人の関係を焦ることはない、ゆっくりでいいのだ。
「じゃあ、これから愛を深めていくと言うことで、友達以上恋人未満から始めましょう!」
「はいっ!よろしくお願いします。」
という事で、俺達は友達以上恋人未満の関係になったのだった。
『話がまとまった所で、私も今後の事を考えました。』
「というと?」
『私もそろそろ肉体がほしいなと。可愛いキュートな体を持つのは、定番ですよね。』
「まぁ、よくあるやつだよね。」
「私も突然話しかけられたりするとビックリしますし、どこを向いて話せば良いのか悩んでました。」
『そうでしょうそうでしょう…。やっぱり、幼い美少女が響好みですかね?』
「やめろお前。ルナが誤解するだろ!」
「え…」
「俺が好きな動物は、猫だ。お前猫になれ。」
『え、人ですら無いのですか?』
「お前が人型になったら…叩いてしまいそうだ。」
「虐待はいけませんっ!」
『叩かれたくないので、猫型にしますか…。」
「猫飼うの夢だったんだ…」
『ペットじゃありませんけどね。体を作るのに時間かかるので、お披露目は明日の朝です。今日はお疲れでしょうから、二人でイチャコラしてないで、お休みください。」
俺とルナはお互い目を合わせ、照れくさそうにしなが笑いあい、眠りについた。
翌朝、俺の横に、シルクのような手触りの猫が眠っていた。
『ふぁ~おはようごさいます。』
グレーが混ざったブルーの毛色、エメラルドグリーンの瞳…ロシアンブルーかな?
『どうでしょうか?ナノマシンの王女らしい高貴な猫になってますかね?』
たまらない可愛らしさ…自然と毛並みを確かめるように頭を撫でていた。
「お前のこと見直したよ。素晴らしい毛並みだ。」
『ふふん。もっと誉めても良いのですよ?』
顔を埋めて匂いを嗅いだり、肉球を押して癒されたりしているとルナの声が聞こえた。
「響さん、おはようごさいます。ご飯ができてますよー」
俺はルナを抱っこしてルナの元へ向かう。
『あの…私一人で歩けますよ?』
「良いから良いから」
手放せない撫で心地…
「響さん、すわっ……、な、なんですかその可愛いモフモフ!」
どうもこの世界にはペットとしての猫は居ないらしい、悲しい話だ。
魔物としての、山猫、狼などは存在するが、家畜を襲う害獣という扱いだ。
一部、訓練して飼い慣らしている狼は居るのだが、愛玩犬というよりも、家畜から護る番犬のような物だそうだ。
ナノは、ルナに奪われた。仕方がない、可愛すぎるのだから。
『ちなみに、私の話す声は、他の人からはニャーニャー言っているようにしか聞こえませんので』
「他の人からは、ニャーと鳴いてる動物と話している変な人に見られる訳か…」
「そんなの些細な事です。こんなに可愛いのですから…」
ルナは完全に、ナノによって骨抜きにされた。まぁ、致し方ないだろう。
「ご飯とかは食べるのか?」
『人と同じ物を少量。食べなくても支障はありませんが、毛並み等に影響があるかもしれません。』
「ナノさんの分も三食用意します!」
本来のロシアンブルーは、あまり鳴かない猫なのだが、うちの猫は、かなり喧しい猫になりそうだ。
我が家は、二人と一匹になり、賑やかな家庭になりそうだな…ああ、なんて幸せなんだろう。
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二章はここまでです。
色々設定は練っていたのですが、書いてる内に、もっと良い物が浮かんで、それを書くと過去の出来事と矛盾してしまったり。
頭の中にある絵を、文章にすることの難しさだったり、楽しいけど大変ですね。
では、引き続き三章も宜しくお願いします。
読んでいただきありがとうございます。
初めて書いた作品なので、ちょいちょいおかしな点があるかもしれませんが、温かい目で見ていただけると幸いです。
毎日更新予定です。応援して貰えると、モチベアップして、小躍りしますので、☆の応援お待ちしています!
よろしくお願いします!




