35話「永遠の王」
健太郎が異世界に永住してから1年が過ぎた。ファンにとって、毎日が夢のような幸せに満ちていた。
朝は健太郎と一緒に華蔵寺公園...いや、今は「星牙記念公園」と呼ばれるようになった場所を散歩する。現代世界の公園を完全に再現したこの場所は、ファンと健太郎の特別な思い出の場所だった。
「今日もいい天気だね、ファン」
健太郎が優しく声をかけてくれる。
「うん!健太郎と一緒だと、毎日がいい天気に感じるよ」
ファンが嬉しそうに答える。
二人の会話は、まるで昔に戻ったかのように自然で温かかった。
午前中は皇帝としての公務を行う。星牙神聖帝国は、今や宇宙規模での平和の象徴となっていた。
「陛下、素晴らしい報告があります」
外務大臣が興奮して報告した。
「第7次元世界との平和条約が締結されました」
「それは素晴らしいニュースですね」
ファンが微笑んだ。
この1年で、次元技術の発展により、12の異なる次元世界との交流が実現していた。どの世界でも、ファンの愛と平和の理念が受け入れられ、多次元平和連合が結成されていた。
「全次元での戦争発生率は0%を維持しています」
軍事顧問が報告した。
「犯罪率も全次元平均で0.001%以下です」
特に誇らしいのは、ファンの理念を受け継いだ若い世代の活躍だった。
「『ヤング・スター・ガーディアンズ』の活動報告です」
青少年担当大臣が報告した。
「各次元で平和維持活動を行う若者たちのグループです。現在のメンバーは10万人を超えています」
これらの若者たちは、ファンの直接的な指導を受けたわけではないが、その理念を完璧に理解し、実践していた。
「みんな素晴らしい活動をしてくれてるね」
ファンが感心した。
「俺がいなくても、きっと平和は続いていく」
星牙一家の仲間たちも、それぞれの分野で大きな成果を上げていた。
グロウは全次元平和維持軍の総司令官として、争いの予防と解決に努めていた。
「今月も大きな紛争は発生しませんでした」
「さすがグロウだね」
シルフィアは全次元教育統括大臣として、愛と平和の教育を推進していた。
「子供たちの笑顔を見ていると、未来への希望を感じます」
ドゥーガンは技術開発統括長として、生活を豊かにする発明を続けていた。
「新しい幸福増進装置が完成しました」
バハムートとディアボロスは、それぞれ智慧の守護者、平和の守護者として、精神的な指導を行っていた。
「みんな、本当に立派になったな」
健太郎が感慨深げに言った。
「ファンの仲間だった人たちが、こんなに素晴らしい活動をしている」
数字だけ見ても、世界の状況は理想的だった。
「全次元統合データの発表です」
統計大臣が報告した。
「戦争発生率:0%」
「重犯罪発生率:0.001%」
「失業率:0.1%」
「貧困率:0%」
「教育普及率:100%」
「医療アクセス率:100%」
「幸福度指数:99.8%」
「環境改善率:150%(統一前比)」
あらゆる指標が理想的な数値を示していた。
「素晴らしい世界になったね」
健太郎が感動していた。
「ファンが夢見た世界が、完全に実現してる」
しかし、ファンには新しい目標があった。
「実は、次の計画があるんだ」
夕食の席で、ファンが仲間たちに話した。
「『愛の種計画』っていうんだけど」
「愛の種計画?」
「うん。この平和と愛の理念を、まだ到達していない無限の次元世界に広げていく計画」
ファンの目が輝いていた。
「僕たちが築いた平和を、宇宙のすべての存在に届けたいんだ」
「でも、無限の次元って...」
グロウが心配した。
「終わりがないんじゃないか?」
「終わりがないからいいんだ」
ファンが微笑んだ。
「愛に終わりはないでしょ?」
「永遠に続けていけばいいんだよ」
健太郎もファンの考えを理解した。
「それは素晴らしいアイデアだね」
「僕も協力するよ」
「じゃあ、みんなで永遠の冒険を始めよう」
ファンが提案した。
「俺たちは『永遠平和創造団』として、無限の世界に愛を届け続ける」
「いいね!」
シルフィアが賛成した。
「永遠に続く、素晴らしい使命ですね」
「俺たちも永遠に一緒だな」
ドゥーガンが笑った。
「星牙一家の絆も永遠だ」
「健太郎はどう思う?」
ファンが一番大切な人に尋ねた。
「もちろん賛成だよ」
健太郎が即答した。
「ファンと一緒なら、永遠の冒険だって楽しそうだ」
「本当?」
「本当だよ。僕たちの愛も永遠だからね」
健太郎がファンの頭を優しく撫でた。
「どんな世界に行っても、僕たちは一緒だ」
翌日、永遠平和創造団の第一次遠征が開始された。目的地は第13次元世界。そこではまだ小さな争いが続いているという報告があった。
「みんな、準備はいい?」
ファンが確認した。
「もちろんです」
「準備万端だ」
「行きましょう」
次元の扉を通って新しい世界へ。そこでもファンの愛の力が、争いを平和に変えていく。
それから何年、何十年、何百年...時が流れても、星牙一家の冒険は続いていた。
無数の次元世界で、無数の存在たちが、小さな犬の大きな愛によって救われ続けていた。
ファンは神格化により永遠の存在となり、健太郎も特別な力によって永遠の命を得ていた。
「疲れない?」
ある日、健太郎がファンに尋ねた。
「全然!」
ファンが元気よく答えた。
「健太郎と一緒なら、永遠でも短く感じるよ」
「僕もだ」
健太郎が微笑んだ。
「ファンと一緒の永遠なら、最高の贈り物だ」
彼らが救った世界では、それぞれが新しい愛の伝道者となっていた。
「星牙様の教えを、僕たちも他の世界に伝えましょう」
「愛の連鎖を広げていきましょう」
こうして、ファンが始めた愛の波紋は、無限に広がり続けていた。
どれだけ時が流れても、星牙一家の絆は変わらなかった。
「俺たちは永遠の家族だからな」
グロウが誇らしげに言った。
「そうですね」
シルフィアが微笑んだ。
「永遠に一緒です」
「ありがとう、みんな」
ファンが心から感謝した。
「みんながいるから、俺は幸せなんだ」
そして、物語は永遠に続いていく。
小さな犬の大きな愛が、無限の世界に無限の平和をもたらし続ける。
健太郎との愛、仲間たちとの絆、すべての存在への慈悲。
それらすべてが組み合わさって、永遠に美しい物語を紡いでいく。
ある夜、無数の星が輝く宇宙空間で、ファンは健太郎と一緒に星空を眺めていた。
「健太郎、幸せ?」
「最高に幸せだよ、ファン」
「俺も。こんなに幸せでいいのかなって思うくらい」
「いいんだよ。僕たちは、その幸せを他のみんなにも分けてあげてるんだから」
「そうだね」
ファンが満足そうに呟いた。
「これからも、ずっとずっと一緒だよ」
「ずっとずっと一緒だ」
健太郎が約束した。
「永遠にね」
「永遠に」
二人の会話が、静かな宇宙に響いた。
周りには、かけがえのない仲間たちがいる。
そして無限に広がる宇宙には、まだ救いを待っている存在たちがいる。
小さな犬の大きな愛の物語は、こうして永遠に続いていく。
愛する人と、大切な仲間たちと、そして無限の希望と共に。
【完】
しかし、この「完」は終わりを意味しない。
愛に終わりはないのだから。
ファンの物語は、今この瞬間も、どこかの次元で続いている。
小さな犬の大きな愛と共に...
健太郎……仕事はなにをしているんだ……
35話にまとまる話しじゃなかったよ!
なぜか35話に入れないとと思っていた……
後で書き直したいが読んでくれる要望はあるだろうか……
もっと長い話しになって後編ちょっと変わると思う。
需要があるようなら書き直したい。
評価が奇跡的に1000ptいったら書き直します。
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