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第10話 第二の魔王
漆黒の塔の内部。壁には魔力の紋様が走り、空気は果てなく重たい。
そこにやってきたのは、炎の剣を肩に担いだ若者、フィン=クラル。
彼の目には激情と喪失しか映っていなかった。
「俺は、圧政の中で剣を振った。
でも何も変えられなかった。—誰のための力なのか、わからなくなったんだ」
命の終わりを覚悟し、塔の中心で叫ぶように、彼は自分の絶望を吐き出した。
リアーナは背後から静かに現れた。
黒衣の袖がゆれるだけで、全空間が震えるほどの魔力の存在感。
彼女は無言で指を差す。
その瞬間、フィンの剣先に宿る裂けるような闇が、彼の内部へ吸い込まれていく。
炎の色から黒へ。衝撃と共鳴の閃光。フィンは膝をつき、疼く魂と共に“第二の魔王”として目覚める。
――魔の力は選ばれし者だけに宿る。
そして、その力はフィンにとっての初めての「自由」だった。




