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お母さん、私、恋したよ!  作者: 藤堂慎人
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病状変化 1

 主治医が病室に入ると、看護師に私の容態を尋ねた。

「出血量は?」

「1回目の咳で出血したようですが、その後は落ち着いています。でも呼吸が少し荒くなっています」

「酸素マスク」

「はい」

 病室の中が慌ただしくなった。同室の人たちも心配した表情で見守っている。口には出さないが、いつも明るく話している私の容態が急変したことに戸惑いを隠せない様子だ。

「可哀そうに・・・」

 誰からともなくそういう言葉が出た。

 私の口元に看護師が用意していた酸素マスクが着用される。

 病室から出ていた母や坂本は廊下で心配そうな表情になっている。

「大丈夫かな」

 母が弱々しい声で囁いた。

「佐々木先生が一生懸命やってくれます。信じましょう」

 坂本が言った。その言葉には力があり、佐々木を信じる気持ちが感じられた。もちろん、そこに確たるものがあるわけではないが、自分まで弱気になったら、母がもっと心理的なダメージを受けるだろう、という気持ちからのものだった。家族では無いものの、その様子は他人とは思えない雰囲気だった。

「少し落ち着いたようなので、検査室へ。出血場所や進行の様子を確認する」

 廊下にいても主治医の声が聞こえた。そのすぐ後、ストレッシャーが病室に運び込まれ、私はそれで検査室に移動した。

「私、大丈夫だからね」

 病室から移動する際、母と坂本の顔を見た私は声をかけた。呼吸の関係からその声は弱々しかったが、少しでも心配を和らげようという配慮だった。

「・・・先生」

 母が主治医に声をかけた。

「これから検査します。それによって治療のプログラムが変わるかもしれません。詳しいことは検査の後でお話しします」

 主治医はそう云って足早に検査室に向かった。母と坂本は顔を見合わせた。

「主人に連絡しないと・・・」

 母はそう言うと父に電話した。

 電話の様子から父の方も慌てている様子が伺えた。母はできるだけ伝えようとしているが、自分自身も落ち着かないので、会話も暗い。

「・・・ということなの。でも、坂本君がいてくれて、心強いわ。今日、検査の結果とか先生からのお話を伺えるかどうかは分からないけど、お話しできたら帰るのは遅くなるかもしれない。申し訳ないけれど、夕食は外で済ませて」

 母はそう言って電話を切った。その表情はとても心配気な状態だった。

「僕も残ります。佐々木先生がお話しして下さるのなら、一緒にお聞きします。良いですか?」

「・・・そうしていただける? 心強いわ。ありがとう」

 坂本はその言葉を聞いた後、自宅に電話し、この後のことを伝えた。私のことは既に自分の両親には話してあるので、力になってあげるようにと言われた。会話の様子から坂本の両親の許可が出たことが分かった母は、改めてお礼を言った。


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