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お母さん、私、恋したよ!  作者: 藤堂慎人
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高校入学 6

 体力測定の次の日、健康診断の日だ。男女別々になるので近くに坂本はいない。

 美津子たち3人が近づいてきた。昨日はそういうことはなかったが、この日は私が一人だったから話しかけてきたのだろう。

「さくらさん、あなた坂本君に気があるの?」

「この前、かばってくれたから好きになったかな? でも、あなたみたいなおばさん顔、不釣り合いよ。諦めなさい」

「坂本君、イケメンだし、入試でも成績は上位だったそうじゃない。あなたにはふさわしくないわ」

 3人が好き勝手なことを言っている。

「坂本君は私がみんなから笑われていたところを助けてくれた。昨日のことだって親切でタオルを持ってきてくれただけ。それだけよ」

 私は3人をしっかり見ていった。坂本のことを気になっていないわけではないが今、好きとかいう感情はない。気持ちの優しい人という認識だけだ。でも、心強い味方のような気持ちになっているのは事実だ。だからここはしっかり言い返すことができた。

「そう、ならば今後親しく話さないことね。きっと坂本君だって本気であなたのことを思って助けたんじゃない。たぶん同情。坂本君があなたに気があるなんてことはないんだから」

 私が落ち込むのではなく、言い返したことが気に障ったのか、美津子は先ほどよりも強い口調で言ってきた。他の2人も同調する様な表情になっている。

 1対3の口論は不利だ。私が悪いわけではないのに、複数から言われると心が凹む。だんだん反論が少なくなっていった。

 その雰囲気を感じた保健の先生が中に入り、口論を止めた。

「あなたたち、何をやっているの。1対3でやり込めようとするなんて良くない。何かこの子が悪いことしたの?」

「・・・いいえ。でも、この人、男子に変な色目を使っていたんです。それを注意しただけです」

 美津子がそう言った。保健の先生は私のほうを見たが、首を横に振って否定した。

「あなたたちの年頃だと恋愛に興味があるのは分かる。だけどそれは当人同士のこと。周りが何か言うことではないわ。それに今日は健康診断の日。みんながいる前で騒がないこと。良いわね」

 保健の先生が中に入ってくれたことで美津子たちは私のそばから離れ、校医の先生のところに行った。先生は資料を見ながら私に言った。

「今、何か身体に不調は感じていませんか? 例えば疲れやすいとか」

「はい、それは中学時代よりは感じています。昨日の体力測定も以前よりも数字が落ちていました」

「そうですか。ちょっと白い髪の毛もあるようですが・・・」

「あぁ、はい。中学3年くらいからちょっと気にはなっていたのですが、勉強で忙しかったし、体調の悪さを感じていたわけではありませんでしたので・・・」

「なるほど。でも、体力が無くなっていることは感じているんですね。では一度、病院で検査をしてもらってください。受験勉強でストレスを感じてのことかもしれませんが、何事もきちんとしたほうが良いですからね。後で保健の先生にお話ししておきますから、お尋ねになってください」

「分かりました。ありがとうございます」

 保健の先生が私の味方になってくれたことは嬉しかった。

 でも、学校での私への風当たりが気になる。

 そんなことを思いながら自宅に戻った。そしてすぐに自分の部屋に入った。そこにはもう家族になったミーちゃんがいた。私は自分の部屋でミーちゃんの世話をしていたのだ。もちろん、私が学校に行っている時は母に頼むこともあるが、私はミーちゃんを妹のような気持ちで育てている。同時に友達であり、時々口もこぼす。この日も学校で天田たちから言われたことをミーちゃんに話していた。

≪日記≫

 『今日は健康診断の日。身体に問題は感じていないけれど、私のことを目の敵にしているような言い方をしてきた人たちがいた。

 私が坂本君と話していたことが気に入らないようだ。もとはと言えば、その人たちが自己紹介の時に私を笑いものにしようとしたことがきっかけだったはずなのに・・・。

 でも、家に帰ればミーちゃんがいる。無邪気な様子を見ていると嫌なことも全部忘れられる。家族に迎えて本当に良かった』


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