再度の検査入院 4
みんながお見舞いに来てくれた次の日の午前中、主治医の先生が病室にやってきた。私の様子を聞くためだ。
「高野さん、調子はどうですか?」
そう尋ねられても今は検査だけであり、具体的な治療らしいことは何もない。
「はい、体調が悪くなったとか良くなったという実感はありません」
「そうですね、検査入院ですからね。それで咳のほうはどうですか?」
「全身的には問題を感じていないんですが、咳は少し多くなっているような感じです。それで私の退院はいつごろになりそうですか?」
「うーん、まだ検査結果が全部出ていないんですよ。咳のことも気になりますし、ここは2学期からのことを念頭に、しっかり治療をした上でということも考えています」
はっきりしない返事の上に、入院が長引きそうな言葉に一末の不安を感じたが、私としても体調万全で登校したい。先生の話に特別な疑問を持たず、素直に従うことにした。昨日、坂本が見舞いに来てくれたことと、また2学期には再会できる、もしかするとまた見舞いに来てくれるかもという期待も込め、プラス思考で考えていた。
医者は私にはいつも笑顔で接してくれる。深刻な顔で話をされたら気持ちが落ち込むだろうが、今はその笑顔が気持ちの拠り所であり、退院への道標になっている。
だが、私は毎日病院に来ていろいろ世話をしてくれる母のことが気になっている。視線を外したふとした時、何となく顔が曇っているように見えるのだ。最近、私が病院にお世話になっていることが多いことが心理的な負担になっているのかもしれない、と思う時もある。私が知らない内に気弱になっており、そういう目で母を見ているのではと思う時もある。だからこそ、早く元気になって退院したいと思う日が続いている。昨日はそういう気持ちを応援しくれるようにクラスメイトが来てくれたが、1人になると少し気持ちが凹む時がある。私の中にも浮き沈みがあることを感じているが、私が強くならなければいけないことを知っている。当時者なのだから。
そう思って病室で横になっていると、母の姿が30分ほど見えない。再び病室にやってきた時、母が言った。
「さくらちゃん、先生に話を伺って来たわ。あなたが咳のことが気にしていたみたいだから、今日から咳止めの薬を処方してくれるって。せっかく入院しているんだからね。検査だけでなく、咳が少しでも治まるようにして下さいって、先生にお願いしてきた」
「そうなの。お母さん、ありがとう。それからお母さん、ミーちゃんのこと任せっぱなしでごめんなさい。私が面倒みるって約束しておきながら・・・」
「いいのよ。ミーちゃん、私にも懐いてくれていて、とても可愛いの」
「そう、良かった」
≪日記≫
『お母さん、ちゃんと私のことを見てくれていた。ちょっと暗い表情をしたことがあるのは私を心配してくれていたからなんだ。ありがとう。私、早く退院できるよう、先生の言うことをちゃんと聞く!
ミーちゃんのこと、安心した。退院した時、私のこと、覚えていてくれるかな。ちょっと心配』




