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お母さん、私、恋したよ!  作者: 藤堂慎人
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さくらに入院の話を告げる 2

 父は私のほうを見て、まじめな顔をした。その様子に少し驚いていたが、表情を見るとちゃかしたりするわけにはいかないことをその雰囲気から察した。

「お父さん、真顔でどうしたの? 大事な話?」

 私もその様子から父の目を正面から見た。こうなると逆に言い出しにくくなるが、母は横からきちんと言ってという顔をして父を見ている。その様子から何となく言いたいことが分かった。

「お父さん、はっきり言って。私のことでしょう? 夏休み前、病院で検査した。何かそのことが関係しているの? まだ咳がしっかり止まった訳じゃないので、そのことと関係するの?」

 両親は顔を見合わせた。そしてアイコンタクトできちんと話そうということを決め、父は口を開いた。

「今日、俺が家でゆっくりしている時、病院から電話があった」

 この点は最初の予定通り、作り話になるが、この部分は設定通りにした。

「お前が言う通り、この前の検査の件での話だった。簡易検査だったので、夏休みを利用してしっかり検査したい、ということだった。だけどお前にとっては高校で初めての夏休みだ。1学期にはいろいろあったので、ゆっくりさせてやりたいと思った。だからどう話したらいいだろうと母さんと話していたんだ」

「・・・そう。私のこと、心配してくれていたんだ。ありがとう。また検査入院の話が出たんだね。私もあれからなかなか咳が止まらないし、気にしていた。今日会った翔子も私の咳を心配していた。久しぶりに会ったので、本当は約束した帰宅時間を過ぎてしまいそうだったけど、親友に余計な心配をかけるのは良くないよね。だから早く帰ってきた。私もこんな感じで過ごしていたら友達に余計な心配をかけてしまう。何か悪いところがあれば早く治しましょう」

 両親はあまりにも聞きわけが良い私の言葉に驚いていた。というよりも、自分たちが言い出しあぐねていたことを私のほうから言ったことに驚いた表情になっていた。

「・・・さくら・・・」

 両親は二の句が告げられない状態になっていた。

「お父さん、お母さん。今日帰った時、何か変な雰囲気だったけど、そのことを考えていたんだね。私も早く元気になりたい。変に心配しなくてもいい。私、もう高校生よ。大人的な受け止め方もできるつもり。いつまでも子ども扱いしなくても大丈夫よ」

 私はできるだけ明るく答えた。

「話は分かったので、検査入院の話、具体的に病院と決めてくれる? 少しでも早く退院して、夏休みを楽しみたいからお願いね。私、出かけたのでちょっと疲れたわ。部屋で休みたいから、もういいかな?」

 そう言って私は部屋に行った。

「入院のことでの心配、俺たちの杞憂だったのかな?」

「あの子は優しいから私たちに変な心配させまいと言ったのよ。私には分かるわ」

 母のその言葉に父は黙っていた。

≪日記≫

『今日、両親からまた入院の話を聞いた。

 治まらない咳が気になっていた。私のもともとの病気が関係しているのかな?

 お父さん、お母さんは何も言ってくれないけれど、今はパソコンやスマホでいろいろ調べられるんだよ。症状から逆に検索していくと、大体見当がつく。

 だけどそれを言わないお父さんやお母さんも辛いと思う。病気と闘うのは私の問題。なかなか経験できないことを経験している、とポジティブに考えている。

 でも辛いな。はっきり両親や先生に聞くことができない臆病者の私。お父さんたちへの気遣いとは違う。本当は苦しい。何故、他の同じ子たちと一緒じゃないのかな。今日会った翔子は高校生活を楽しんでいることが分かった。私のことで暗い気持ちになってほしくない。仮面を付けてもいいんだ。私は私のことで周りが暗くなるのが嫌。そういう強がりがいつまでできるか分からないが、私、頑張る。応援してくれる、心配してくれる両親がいるんだもの。

 ミーちゃんとしばらく会えない。寂しがらないかな? でも検査だけだと思うから、すぐに帰ってくる。それまでちょっと待っててね、ミーちゃん』


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