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お母さん、私、恋したよ!  作者: 藤堂慎人
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入院 2

 入院初日、私は検査に不安だった。検査そのものというより、そこから出てくる結果のほうだが、もし重篤な病気だったらどうしよう、という気持ちが強かった。希望を持って入学した高校、そしてそこでの生活が無理になったら、と思うと心配で心の中が一杯になった。

 一方、何の問題も無い、疲れが溜まっているんですよ、ということになれば、クラスの人間関係だけが心配で、それは時間の経過と共に何とかなる、という気持ちがあった。それをはっきりさせるための検査入院なのだと、この日は自分に言い聞かせた。

 病室で少しゆっくりしていると、看護師さんが検査の開始を知らせにやってきた。

「高野さん、検査室にお越しください」

 同室の患者さんたちは「大丈夫だよ」と優しく声をかけてくれた。私もそう思いながら看護師さんの後を付いていった。

 でも、検査室のドアの前に立った時、再び緊張してきた。

「この検査の結果で私の状態が分かるんだ」

 自分自身、何か変なことは分かっている。だから、全く何でもないということはないだろう、そして具体的なことはこれから行われる検査ではっきりするんだ、ということを自覚していた。

「まず、採血をします。あちらの椅子に座り、腕を出してください」

 言われるままに腕を出し、採血のための注射針が血管を刺した。かすかな痛みがあったが気になるものではない。私は自分の血液が注射器の中に溜まっていく様子をじっと見ていた。

「はい、お疲れ様でした。では、次に心電図を取りますので、あちらのベットに横になってください」

 そう言われてベッドに横になると、看護師さんは慣れた手付きで私のパジャマの上着のボタンをはずし、胸部、手首などに電極が付けられた。その前にゼリーみたいなものを塗られたが、その瞬間ヒヤッとした感覚があり、一瞬緊張した。だが、検査自体は何の緊張感も無く、数分で終わった。

「お疲れ様でした。ではこの容器にお小水を入れ、私のところにお持ちください。今日の検査はこれで終わりです」

 もっといろいろなことをされるのかと思っていた私にとって、今回のことはあっけなく終わった。

≪日記≫

『緊張した検査入院初日。でも終わってみれば、これだけでどういうことが分かるの、という感じだった。

 これで大丈夫ですよ、と言ってくれて、退院してから普通の高校生活に戻れたらいいな』

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