入院 1
病院の都合もあり、診察の日から2日後に入院となった。この日は朝から母が一緒に付いて来てくれた。
病室は3階の303号室だった。扉を開け入室すると、既に患者さんが3人おり、私が入院するとこの部屋は満室になった。
「高野です。検査のために3日だけ入院します。よろしくお願いします」
私は先に入院している人に挨拶をした。全員、それなりの年配の人ばかりだった。
そこでは少し気になることがあった。皆さん年齢相応のパジャマを着ているが、私は高校1年生だ。その意識で用意したパジャマだったが、他の人と比べると派手に見えた。
そのため、何となくこの部屋の雰囲気に合わないような気がしていた。
そしてそのことは暗くなってから気付いた。
外が暗くなると窓が鏡のようになる。つまり、自分の姿が客観的に目に入るのだ。私はクラスで入学そうそう「おばさん」なんて呼ばれた。もちろん、自分にはそういう自覚は全くない。
だが、同室の人と比べて、女子高生ということで他の年配の人との年の差を感じるような雰囲気はない。このことは私に大きなショックを与えた。
「これが私が変な目で見られる理由なのか」
自分のことを初めて客観的な目で見た感じだった。両親は何も言わないけれど、この入院で現実を知ることになった。
入院初日は血液検査や尿検査、心電図などをとり、診断の資料にするということだが、客観的に見た自分の姿から、やはり何らかの病気なのかな、という思いが強くなっていった。次の日も同じような検査をやるようだが、早く結果を知りたいと思うようになった。
≪日記≫
『入院初日。部屋の人はみんな良い人。安心した。でもみんなそれなりの年齢の人。そんな中にいてあまり違和感がない私の姿。やっぱり変。
こんな感じだから天田さんにも言われるんだ。仕方ない、と思わないといけないのかな。
でも、こんなことで楽しいはずの高校生活を無駄にしたくない。私、頑張る。何かの病気と言われても、きっと治してみせる。私は強いんだ。
今日はミーちゃんに会えない。家に戻ったら、思いっきり遊んで可愛がる。待っててね、ミーちゃん』