高校入学 11
病院に行った次の日、登校後、担任の先生のところに行った。
「どうだった? 病院」
「そのことなんですが、医者から検査のために3日間入院する様に言われました。でも私、まだ入学したばかりで勉強もしてない」
「そうだな。しかし身体が第一だ。これからのことを考えてもきちんと検査して、大丈夫ということを証明してもらえ。授業はまだスタートしたばかりだから、すぐに取り戻せる。高野が優秀なことは入試の成績からも分かる。検査のための入院の期間くらい気にすることはない。先生たちもサポートするから心配するな」
「ありがとうございます。ではこれから母に連絡して入院の話を進めてもらいます。早ければ明日か明後日からになると思いますが、よろしくお願いします」
私はそう言って職員室を退室して教室に戻った。
「昨日欠席して担任の先生に何を話してきたの」
教室に戻ったら早速美津子が絡んできた。私の一挙手一投足が気になるようだが、そのようなことに相手する余裕はない。
「関係ない」
私はそっけない態度をとった。本当にそういう気持ちだったし、自分のことに不安もある。言い合いをする気もないし、良い話ではない。自然と無視するような態度を取った。
だがそのことは美津子の癇に障った。
「ちょっと、何よ、その態度。ちゃんと答えてよ」
「あなたにいちいち報告する必要はない」
「私は心配しているのよ」
「そういう態度じゃない」
また言い合いになった。クラスの空気が悪くなっている様子が分かる。昨日学校を休んだし、変な居心地の悪さを感じている。美津子の取り巻きも私のところにやってきて、また1対3で私を責めるような言い方をしている。
だんだんお互いの声が大きくなっていったが、今回も坂本が助け舟を出した。
「止めろよ。高野さんにも学校を休んだ理由があるんだろう。そんなこといちいち詮索するようなことは止めろ。言いにくいことだってあるだろう。天田、お前も昨日のことを変な感じで聞かれたら、良い気はしないだろう。客観的に見ていて、尋ね方もおかしい。入学してすぐの段階で休むというのはよっぽどのことだろう。静かに見守ってやれよ」
坂本から言われたことで天田は引き下がったが、当然、納得したわけではない。そのことは表情を見ていても分かる。
「高野、気にするな。俺はこのクラスの委員長だ。何かあったら相談しろ。それが俺の役目だ」
「ありがとう」
≪日記≫
『坂本君、また私を助けてくれた。委員長だからと言っていたけれど、嬉しかった。
ミーちゃんに坂本君のことを話した。2人とも何だか私のことを応援しているような気がした。』