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プロローグ
――やばいやばいやばい
背後からは荒い息遣いと重々しい足音が聞こえる
血の滴る足を引き摺りながら必死に逃げ出そうとした。
――なんなんだあいつは…
ひゅっという風を切るような音がした瞬間足の力が抜け、床に倒れてしまった。
ワンテンポほど遅れて右足から激烈な痛みが走る。
その瞬間右足が宙を舞っているのが視界に映る。
「ぐわぁ…ひっ…あ…あぁ」
恐怖と痛みに身を捩りながらしゃっくりをするように喘いだ。
――足…足足足足俺の足が…
それでもなお逃げようと思い残った左足で地面を必死に蹴る。
だがずんと鈍い衝撃が襲う。
「こぽっげほっげほっ」
声を出そうとしても出てくるのは血だった。
血飛沫によって赤く染まった視界がだんだんと暗くなる。
その瞬間鈴木綾人は命を落とした。