魔王様と今後の相談ですわ
「……実は、わたくしにもよくわからないんです」
これは事実。というか、今さっき思い出したってレベルだし。どうも、あまりにも本編で掘り下げられていない設定に関しては、記憶にロックがかかったみたいに曖昧なんだよね。
学園で魔術の授業はあったけれど、王道な地水火風、光の魔法以外は習わなかったし。レオナルド王子の使ってた魔法剣も、光の魔法の応用って感じだし、ソフィアの傘魔法とやらはそのどれからも外れているっぽい。
「アンブレラ家に代々伝わるという事しか。父も母も、この力の事をわたくしに語る事はありませんでしたし」
何人もきょうだいがいる家の末っ子だからか、お金持ちの家でもなんとなく私、ソフィアの扱いって雑なのよね。別にいびられてるわけでもないし、学校も衣食住も世話してもらえてはいるけれど。
「ふーむ、傘……という事は水の魔法の応用なのか? まぁいい。その魔法の謎、解明出来るまでとことん俺様に付き合ってもらうぞ!」
「えっ!? それってアビス様のお城に一緒に住むって事ですの?」
「何か問題でも?」
……一応驚いてみたけれど、問題はないかな。元々せっかくこの世界に転生したのなら、推しに一目会いたいと思って行動したわけで。家族は淡泊気味だし、あのまま家にいたって適当なところにお嫁に出されるだけだろう。仲良くなったクララちゃんは心配するかもしれないけれど、あの子は周囲から好かれる良い子だし、レオナルド王子とも順調に関係を築けていたようだから、私がいなくなっても大丈夫。
「いえ、特には」
「ならば決まりだな」
こうして会話しているうちに、魔王様のケーキのお皿は減って、大きなイチゴだけが残っている。欲しいものを買ってもらえると理解した子どもの顔で、イチゴを口に入れたアビス様は、食卓ではしゃぐ小さな男の子みたいだった。