表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/51

傘魔法ですわ

 メインキャラの声優さんがモブキャラまで声優を担当する事はあるけど、


「そこの女、お前だ」


 赤薔薇の瞳に漆黒の長い髪──今日は後ろで一つにまとめているのね──にこの偉そうな口調。どう考えてもアビス様だよなぁ……。っていうか見た目がカレーうどん食べたら大変な事になりそうなうちの学校の白ラン着ただけのアビス様なのよ。


「ここの学園にレオナルドとかいう奴がいると聞いた。そいつのところに案内してもらおうか」


 そっかぁ、ゲームだといきなり現れてたけど、こうやって学園に潜入してたわけね。それにしてもアビス様、うちの学校の制服も似合うなぁ……。何より『赤薔薇の瞳』と表現されていた瞳に今、私が映っているのだと思うと!


「は! 気づいたら普通に案内してしまっていた!」


 アビス様、いったいどんな魔法を使ったというの。色ボケして意識が飛んでただけですね、反省。といっても中庭に戻っただけなのだけど。今の時間ならアビス様も中庭でお友達とお昼を採っているはず……。


「クララ、今日は一段と増して綺麗だね」

「い、いえ! これはソフィアちゃんが結ってくれたおかげで……」


 あっ、私が席を外している間にレオナルド王子とクララちゃんがイチャついている。流石正ヒーローと正ヒロイン。放っておくとすぐ空気作る。


「貴様がレオナルドか! 貴様の持つ『夕暮れの宝玉』、我が目的の為渡してもらう!」


 ソル王国に昇る太陽の力は代々王家の人達が管理していて、力を司る二つの宝のうち一つは第一王子が持っているらしいのよね。それを毎回毎回、何故かアビス様がつけ狙って来て騒動を起こす……というのがソルファンタジアの序章(のみで終わった悲しきストーリー)なのだけど。


「渡さない、と言ったら?」

「力ずくでも奪って見せよう!」


 とか言ってるうちに魔法合戦が始まってしまった。アビス様の手から放たれる闇のエネルギーを、レオナルド王子が呪文で作った剣でスパーンとぶった切る!余波で中庭に穴が開いた。途端、あちこちで挙がる悲鳴。


「ほう、なかなかやるようだな……ならば、これならどうだ!」


 レオナルド王子めがけて何度も落っこちる真っ黒な落雷。喰らったらヤバそうなアビス様の攻撃を、レオ王子は疾風のごとき動きでひょいひょい避けてみせる。が、逃げようとしていたクララちゃんに雷撃が落っこちそうに! レオナルド王子も気づいたみたいだけど間に合わない!


 私のところに来て一緒に逃げようと思っていたのだろう。クララちゃんとの距離は私が一番近い。冷静な分析が終わるより先に、私の脚は動いて、クララちゃんを庇うように立っていた。死にたいわけじゃなかったんだけど、とっさに。


 

「あ、アンブレラガード!」


 考えるより先に叫んだ瞬間出現する、レース模様のファンシーな傘。それがアビス様の攻撃の余波を跳ね返して、私達の窮地を救った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ