ケーキ作りに挑戦ですわ
「おいしい! 賄い炒飯美味しいですわ!」
「もっもっもっもっもっ……」
あれだけ食べて炒飯普通に食べてるラビの隣で、裏メニュー堪能。ソフィアの実家とかアビス様のお城で食べてる豪華なご飯もおいしいけど、やっぱこの庶民的メニューの味が愛しい……! 前世の記憶をうっすら思い出し始めるとどうしてもね。あんま時代考証うるさくない、ゆるファンタジー世界万歳!
「皿は弟子達が片づけるから流しに置いといてくれブヒ」
「はーい」
「「「「「「「「「「「おまかせくださーい!」」」」」」」」」」
私よりも素早くご飯を搔きこんだ子豚ちゃん達が、チャカチャカ食器を洗っていく。そのそばで、料理長さんが泡だて器とボウルを用意。
「まだ料理するんですの?」
「いや、夕食のデザートを先に作っておきたいんだブヒ。魔界イチゴのケーキはすぐには作れないブヒからね」
ケーキ……。アビス様の好物だって、ちっちゃな女の子三人組が言ってたっけ。
「それ、手伝わせてもらったらダメかしら? 普段食べられない賄い料理作ってもらったお礼もしたいですし……」
「あんた、お菓子作りの経験は?」
「うっ……授業でクッキー作ったくらいかも、ですわ」
サン王国の学校でもその程度、前世の記憶はアビス様の事以外はぼんやりしてるけど、多分大差なし。そもそもこういうプロの場に出しゃばったらダメよね。アビス様の大好物、って聞いたから作れるようになれたらって思ったけど……ケーキって明らかに初心者には難易度高いし……!
「うーん、それだとちょっと厳しいブヒね。でもまあ……俺が見てれば大失敗とは行かないだろうし、たまのデザートくらいはアンタが作った方がアビス様も喜ぶブヒ」
「えっ?」
「アンタが来てから「ソフィアが昨日の夕食であのメニューを喜んでいたから積極に取り入れてくれ」とかアビス様からの細かい注文が増えたブヒ。それが仕事だから構わないブヒが、今まではこっちに全部お任せで満足してくださっていたから、大した変化ブヒ」
えっ、そんなに細かく気を配ってくださってたの!? お客さんだからだろうけど、嬉しいなぁ。
「それならアビス様へのお返しも兼ねて頑張らなくちゃ!」