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59 四天王のお仕事 3

 早速試合が始まる。

 VIP席でゴロゴロしていたフランメを叩き起こす。


「ほら!!アンタの出番よ。早く行って!!」

「もう・・・眠いのに・・・」

「早く行って!!そうしないとビリビリするわよ!!」

「す、すぐに行きます!!」


 フランメはVIP席から、逃げるように出て、会場に飛んでいく。途中10メートルくらいの大きさに巨大化した。


「さっさと倒して、また寝ようっと」


 次に登場したのは、オルグだった。見慣れない武器を持っている。


 斧?槍?


 私が疑問に思っていると、観戦に来ていたオグレンが言う。オグレンは、自分が作った武器のPRのために放送席にいるようで、頼まれてもいないのにアナウンスを始める。


「オルグ殿が持っているのはハルバードを改良したオリジナル武器ッス。長い槍の先端に斧とハンマーを取り付けたッス!!オルグ殿のパワーがあってこその武器ッス」


 会場から歓声が上がる。

 続いて登場したのはミミとメメだった。


「彼女らの武器については、詳しくは言えないッス!!まあ、試合を見てのお楽しみッス」


 暗器のような物だろうか?

 オグレンのことだ、多分普通の武器ではなさそうだけど。


 選手紹介の後、ルール説明が始まった。


「ルールはバトルロワイアル方式です。最後まで立っていた者が優勝となります。それでは試合開始!!」


 試合開始と同時に火竜フランメが炎のブレスをオルグとミミとメメに放った。しかし、三人は難なくこれを躱す。


「ミミ、メメ!!邪魔な馬鹿ドラゴンを先に片付けるか?」


「同意!!」

「とどめは任せる」


 どうやら、三人は一旦共闘するようだ。ルール的には問題はないしね。


 戦いは驚きの展開を迎える。

 オルグはオリジナルハルバードを槍のように使ってスキルを繰り出した。


「百裂突き!!」


 あれはオデットのスキルだ。

 オデットが言う。


「オルグ殿とは何度も模擬戦をした。我の「百裂突き」を受けた回数は一番だろうな。本人は自分のことを不器用と言っていたが、思ったよりも器用で、模擬戦を重ねる内にそれっぽい技は、できてしまった。まだ、我には及ばないがな」


 オルグはオルグで、しっかりと修行をしていたようだ。

 これに面食らったフランメは、飛びのく。するとそこへ大きな円盤状の刃物が4枚、フランメを襲う。


「チャクラムッス!!投擲攻撃が得意な二人に作ったッス!!」


 フランメは叫び声を上げながら、逃げ惑う。


「や、やめろ!!痛い、痛いよ・・・」


 そこに強烈な一撃が飛んでくる。オルグのオリジナルハルバードのハンマー部分がフランメの頭部を捉えた。フランメはスタン状態だ。そこに三人が総攻撃を掛ける。あっという間にフランメはダウンし、元の子犬サイズに戻ってしまった。審判が慌てて駆け寄り、フランメを回収する。


「フランメ選手、戦闘不能により失格です!!」


 場内にアナウンスが響き渡る。

 それにしても、三人掛かりとはいえ、フランメをこうもあっさり打ち倒すなんて、彼らの成長には感心してしまった。

 魔王が言う。


「普段何もせずにダラダラと過ごしていた者と一生懸命に修行した者の差じゃ。エミリア、フランメを回収してこい」


 私は、魔王に言われて、フランメを回収した。魔王特製のポーションでフランメは立ちどころに回復した。


「わ、私って・・・本当は凄く、弱かったんだ・・・ヒック・・・もう四天王は辞めます」


 フランメは泣き出してしまった。

 魔王が言う。


「エミリアよ、フランメの指導も頼むぞ。貴重な戦力じゃからな」


 おいおい!!ドラゴンの指導までするのかよ・・・

 ドラゴンの指導なんて、剣術道場がする仕事ではないと思うんだけど。


 とりあえず、慰めるだけ慰める。これで勝手にどっかに行かれたら、それだけで面倒くさい。


「フランメ、貴方は強いよ。ただ、オルグたちの方が頑張っていたからね。フランメも頑張れば、もっと強くなれるよ」

「ほ、本当に?」

「うん」

「どうやって?」


 知るかよ!!

 そう言えなので、それっぽいことを言う。


「とにかく今は試合を見ましょう。それで何かを感じられるはずよ」

「うん」


 試合は一進一退の攻防を繰り広げていた。あまりの迫力に観客は静まり返っていた。VIP席の猛者たちでさえ、称賛の言葉を述べていた。

 そんな時、ミミとメメが一瞬姿を消した。私を含め、多くの観客がパニックになっているところにティーグが言う。


「あれはレドンタ殿の空間魔法だな」


 オデットが答える。


「メイドの仕事で多くの資材を持ち運ぶから、教えてもらったらしいぞ。それをここまで使いこなすとはな・・・」


 おいおい!!そんな人間離れした技を使えるのか!?

 一体どうなってんだ?


 しかし、オルグはその遥か上を行く。


「覇者の一撃!!」


 何と、ゴーケンのスキルまで会得していた。

 ゴーケンが言う。


「まだまだだが、それでも3割は空間を斬り裂いている」


 3割も何も、空間を斬り裂くことが異常なんだよ!!


 そんな私のツッコミと関係なく、異空間にいたミミとメメは、姿を現し、倒れ込んだ。


「降参です・・・」

「負けました」


「いい勝負だった。すぐに手当てをしてもらえ」


 医療スタッフによって、二人は運ばれて行った。


 魔王が言う。


「エミリアよ、よくやった。このカリキュラムで進めてくれ。それと、ゴブリン隊を増員しよう。そうなると居住区を拡大せねば・・・」


 またゴブリンを増やすのか・・・でも、ゴブリンは基本的に真面目だし、問題も起こさないから評判はいい。税収も増えるし、各種専門コースに入学してもらえば、それだけで道場の収入が増えるからね。


 ★★★


 ゴブリン部隊観閲式は大成功で幕を閉じた。魔王もご満悦だ。

 その後の話を少しすると、四天王の序列は、1位が私、2位がオルグ、3位がミミとメメになり、フランメは四天王見習いに降格された。フランメは役職手当を大幅に減額され、私がフランメの給料を管理することになってしまった。


わらわは、フランメを甘やかしすぎたようじゃ。これからは、エミリアが厳しく指導してくれ。それで策はあるのか?」

「はい・・・」


 あるわけないだろ!!

 どこにドラゴンの指導ができる剣術道場があるんだよ!!


 そうと言えない私はこう答えた。


「まずは礼儀とマナー、生活態度を改善させます」


 私は今までそうやって指導してきた。技術指導は一切できないからね。これで駄目だったら、魔王にフランメを解雇するように進言しよう。

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