110 エピローグ
大聖堂の事件から1年が過ぎた。
ホクシン流剣術道場は拡大し、聖女養成コースを新設した。こちらのコースは少々割高だが、戦闘メイド養成コースの資格と高度治療センターの資格が取得できるから人気だ。現聖女のフリアの意思もあり、ある程度戦闘ができる回復術師を養成するために設立したのだ。
フリアが言う。
「辺境でも一人で活動できる戦闘力の高い回復術師を育てようと思ったのよ。そうすれば、少しでも悲しむ人が減るからね」
彼女は長年聖女を演じてきたことで、考え方まで聖女っぽくなったようだ。
そして巫女養成コースも設立された。
もちろん私が講師ではない。そもそも巫女の定義を変えられた。巫女とは、優秀な女性テイマーと定義したのだ。これは、テイマーを増やし、神獣を見付けるためでもある。こちらも、卒業すれば就職先はいくらでもあるので、人気のコースでもあるのだ。
相変わらず、大して道場主の仕事もせず、アルバイトに明け暮れる毎日を送っていた私だったが、転機が訪れた。女神ガイアから啓示を受けた。
「サンドラ大陸から海を隔てた東の大陸の火山地帯、そこに神獣がいる」
これが元で、捜索隊が組まれることになった。メインは聖女パーティー、そこに私、シャドウ、ポンが加わる形だ。メンバーはいい、問題は設定だ。私とポンは、シャドウと同じ黒ずくめで覆面をさせられ、聖女を陰ながらサポートする謎の集団という設定にされた。
「エミリア先生とコジール先生、それにポン副団長か・・・」
「でも凄いな。素性がバレていても、バレてない設定のままやり切るなんて」
「気まずいからじゃないかな?エミリア先生とポン副団長は付き合っているようだし、それに父親のシャドウさんも一緒に活動するんだろ?そういう設定にでもしないと、厳しいんじゃないか?」
コーガルの住民は好き勝手に言っている。
魔王は言う。
「聖女を陰ながら支える巫女とその彼氏とその父親・・・ちと複雑じゃが、いい世界観だと思うぞ」
こっちはもう何が何だか、分からない。
これまでの人生を振り返ると勇者をひたすら待ち続けるだけの人生から、目標を見失い、神獣を探すという新たな使命を授けられた。結局、私はこの物語でいうと何なのだろうか?
主役でない事だけは確かだけど・・・
そんなことを思いながら、私たちはフランメに乗って飛び立った。
気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!
これでこの物語は終了です。ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。
本当はもっと続けていこうとは思っていたのですが、タイトルの「勇者を待ち続ける」という設定が無くなってしまいましたので、この辺で完結とさせていただきました。
さて、話は変わりますが、新作を発表しましたので、よろしければ、読んでみてください。主人公はエミリアと同じ転生者です。エミリアはスキルが偏っていましたが、今度の主人公は色んな意味で偏っています。小職著「絶対に私は勇者パーティーに入りません!!」、「転生した底辺OLが、雑用スキルで異世界を無双する話」を合わせたような作品となっています。
「転生したポンコツ女社長が、砂漠の国を再建する話」
https://ncode.syosetu.com/n2109ki/
あらすじ
大森智子(37歳)は、国内シェア第4位の老舗家具メーカー、大森家具の女社長だ。父親から無理やり経営権を奪い取り、社長に就任したはいいものの、行った施策がことごとく失敗し、会社は経営破綻寸前まで追い込まれる。プライベートでも裏アカを使ったツイフェミ活動をしていることがバレ、どん底に叩き落される。そんなとき、大人気RPGシリーズ「ファースト・ファンタジー・クエスト3」(通称FFQ3)の世界に転生してしまう。
転生したのは、魔王軍四天王の一角、サキュバスのティサリアだったのだが、ティサリアも勘違いポンコツサキュバスで、サキュバス特有の魅了スキルは習得しておらず、使えるのは幻影魔法とちょっとした生活魔法だけだった。
そして自ら企画、立案した砂漠の国ヴィーステ王国の乗っ取り計画だが、乗っ取った後に重大な事実が判明する。もしヴィーステ王国を滅亡させてしまえば、自分はおろか、大切な仲間、想い人である魔王までも、勇者に討たれてしまうことが発覚する。
これは前世がポンコツ女社長であるサキュバスが、ケットシーやロリババアの大魔導士たちとともに、生き残りを掛けて滅亡寸前の砂漠の国を再建する物語である。
※ 見どころ
主人公が仲間の支えもあって、滅亡寸前の砂漠の国を再建していきます。成長するにつれて、主人公が前世での過ちに気付き、前世の失敗を糧に奮闘する主人公にご期待ください。魔王との恋も少し気になるところではありますが・・・
因みに主人公に特別なスキルはありません。あるのは前世で失敗した経験とゲーム知識だけです。果たして、砂漠の国を再建することができるのでしょうか?




