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【チャレンジ!】秋の歴史2023を全作読んでみる 総評

 総評というか、感想と公式企画に対するまとめです。

【チャレンジ!】秋の歴史2023を全作読んでみる 総評



1.春夏秋冬の比較 : なぜ「秋の歴史」だけ、未完結作品は可なのか?


 さて、ご存じの通り、「春の推理」と「秋の歴史」は、2022年から開始された企画です。

 ここで両企画の比較をしてみたいと思います。(しょぼい表でスミマセン)

 まずは、春の推理2023と秋の歴史2023の比較をしてみます。

 (以下の図は、全て2023年11月18日での集計時です)


 ■春の推理2023と秋の歴史2023

 挿絵(By みてみん)


 グレーにしている「春の推理」の箇所は、未完結数および期間外完結数なので、通常の検索からは、表示されないものです。

 周知のように「秋の歴史」は連載作が未完でもOKなので、比較用にこのような集計をしました。


 先ずわかることは、「春の推理」の方が作品数が多いこと。

 そして、これが重要なのですが、連載作品数や文字数の多い作品も「春の推理」の方が多いことです。

 (「3万文字」の根拠は、1日1000文字で30日間書いたら、文字数が多いだろうな、という私個人の感覚です。この感覚はちょっと違う、と思う方もいるでしょうが、この基準で分析を進めさせていただきます)


 理由とし考えられるのが、推理ものは起承転結的な連載をしやすいのでしょう。

 初めに舞台の説明から事件の発生、続いて主な状況整理、続いて推論からの何かの発見、最後に犯人当て、と連載でやる方が、読者の興味を引くので、連載作が多いのかと思います。

 また、文字数が多いのも、その中で、特に会話文が多くを占め、トリックの説明にも多くを割いている、と思われます。



 次に伝統ある冬の童話2023と夏のホラー2023を見てみましょう。

 (「冬童話2023」は2022年末からの企画なので、厳密には去年の企画です)


  ■冬童話2023と夏のホラー2023

 挿絵(By みてみん)


 夏のホラーの作品数の多さにビックリですが、両者に共通しているのは、基本短編が主流ということです。

 つまり、この企画ものは短編がメインだということが、よくわかる結果となっています。



 さて、せっかくなので、去年始まった、春の推理2022と秋の歴史2022を見てみましょう。


 ■春の推理2022と秋の歴史2022

 挿絵(By みてみん)


 やはり同じく、作品数、連載数、3万文字超え数が、「春推理」>「秋歴史」の図式となっています。



 何度も言いますが、「秋の歴史」は「連載作は未完結作品も可」としています。

 ですが、「春の推理」が期間内未完結作品を不可としてのに、それより連載数や文字数が少ない「秋の歴史」が可としているのは、正直首をひねります。

 

 結論として、「秋の歴史」も他の企画と同じく「連載作は期間内で完結」とすべきだと思います。

 連載作の未完結が可が、作品の量や質を初めとして、何かを高めている感じがしません。

 (私にとって、「質の高い作品」とは、先ず第一に「完結」していることです)



--------------------

2.秋の歴史の作品傾向について : 個人的な感想


 続いて、全作(厳密には2023年10月26日で完結してない作品は読んでいません)読んだ感想です。

 先ず歴史。

 この企画を始める前は、何となく、「戦国」・「江戸と幕末」・「戦中戦後」で七割~八割くらいを占めるのかな~、と思っていましたが、結構色々な歴史物に当たりました。

 (もっとも、それでもこの上の3つがやはり多かったですが)


 次に題材の食事。

 これも色々でしたが、意外と江戸時代の肉食に関しての作品が多かった感じがします。

 何でだろう?みんな肉が好きなのか?それとも日本の食事史に一石を投じたかったのでしょうか?


 あと、牛乳の問題もありますね。「醍醐味(だいごみ)」(ウィッシュの方ではありません)の言葉でおなじみの日本での歴史上の乳製品。

 色々調べていたのですが、まずは乳をそのまま飲むのは危ないので、熱処理をして、薬として飲んでいたようです。(奈良時代あたりから)

 その過程から、更に高温で熱して乳皮だけを集めたのが、「()」で、これをさらに煮詰めたのが「醍醐」ではないかと、されています。

 そして、乳皮以外の残りが「(らく)」のようです。

 「酪」の和名が「迩宇能可遊 (にうのかゆ、乳の粥?)」とされているので、ヨーグルトの類かな、と思っています。

 一方、「()」とは牛乳自体をずっと煮詰めて乳固形分を凝縮させた物らしく、「酥」とはまた別のチーズ状のようなものなのかな、といった感じです。

 まぁ、これは専門家ではないので、実はよく分かっていません。邪馬台国の素人論議程度で読み飛ばしてください。


 また、ジャガイモやサツマイモやこんにゃくなどの、イモ類でも盛り上がっていましたね。

 なろうで活発(!?)な論議。やはり出して来た方々がいました。

 あとはスイーツ系が多かったかな。私はあまり甘いものは好きではないのですが、趣向を凝らした作品が多く、楽しめました。

 (できたら、酒の話とかもっと読みたかったなぁ~)

 

 舞台の地域の豊富さ、時代は先史時代から平成まで。

 この春夏秋冬で一番投稿作品数が少ない企画に参加したみなさまは、まさに「なろう歴史エリート」と胸を張っていいでしょう!(えっ、そうなの?)


 最後に一つ、今後の歴史物について、一つ考えておきたいところです。

 それは「第二次世界大戦」についてです。

 嘘か真か、何やら都市伝説めいた話を未だに聞くのですが、小学生の夏休みの宿題で次のようなテーマが出されるそうです。


 「おじいちゃん、おばあちゃんから戦争中の話を聞いて、作文を書いてください」


 ちょっと待ったぁ!

 今(2023年)で12歳の小学六年生の両親はプラス30歳で、42歳とします。

 そして、その両親の両親はプラス30歳で、72歳です。

 第二次世界大戦が終わったのは、1945年。


  2023年-1945年=78歳

  2023年-72歳=1951年


 戦争終結時に生まれた人は今年で78歳です。そしておおよその小学六年生の祖父母は1951年前後の生まれと推定されます。

 (場合によっては60歳前後のおっさんやおばさんが祖父母のはず)

 では、曾祖父母ががっつり戦中体験者だと、先の計算でこうなるはずです。(当時は結婚が早かったと思うので+25歳とします)


  72歳+25歳=97歳(終戦時19歳)


 生きとるんかい!いやカナダ在住のウクライナ出身の武装親衛隊の例があったから、なくはないでしょうが、さすがに希少例です。

 何が言いたいかというと、「身内(祖父母)の戦争体験者の話について、直接聞いた語り部が20代以下は、不自然になりつつある」ということです。

 歴史物で大戦中の話は、今後も出ると思いますが、年が経つに連れて、この年齢設定はどんどん不自然になっていきます。

 私が個人的に提唱している「アンネ・フランク設定」を念頭に置いて、年齢設定をお願い致します。


 ・アンネ・フランク:1929年6月生まれ、1945年3月で、15歳9カ月で死去。もし生きていれば、今年(2023年)で94歳。


 確か去年イスラエルで、アンネとオランダの学校で同級生だった女性が93歳で亡くなった、というニュースを聞いた覚えがあります。


 もっと分かりやすく、日本の著名人も出してみましょう。


 ・手塚治虫:1928年11月~1989年2月没。(2023年時健在だと、95歳)

  → 大戦中、軍需工場で働いていた経験あり


 ・水木しげる:1922年3月~2015年11月没。(2023年時健在だと、101歳)

  → がっつり従軍していたのは、自身で描いてた漫画でも有名


 手塚先生や水木先生はアンネより年上なんですね。



--------------------

3.どうなる秋の歴史? : 廃止か?「俳人・歌人になろう」に取って代わられる?


 周知のように「俳人・歌人になろう」なる企画ものが、新設されました。

 ちょうど「秋の歴史」と「冬童話」の間の期間です。

 投稿作や盛り上がりが、「俳人・歌人になろう」>「秋の歴史」になるようでしたら、本当に「秋の歴史」の企画が廃止され、「秋の俳人・歌人になろう」になるんじゃないかと思っています。


 まぁ、廃止されたら、誰かが「自主企画」でやればいいことだと思いますので、運営さんのやることには、私は特に意見はしません。

 実際に私が全て読んでみて、総じてレベルの高い作品が多かったので、「秋の歴史」は少数精鋭のエリート投稿者の場として行きましょう!


 「歴史」だけでもきっついんですが、そこへ「テーマ」というダブル縛りというハードルが高い企画ものです。

 だからこそやりがいのある企画だと思います!

 私も拙いながらも、この「秋の歴史」はどうにか毎年頑張って、作品を投稿して行きたいと思っています。


 せっかくなんで、今現在の「俳人・歌人になろう」の状況です。(2023年11月18日時点)

 「俳人・歌人になろう」も連載作は期間を過ぎても未完作品を可としています。

 挿絵(By みてみん)



--------------------

4.個人的に気になった作品 : 特に何か表彰はしません


 そんな訳で、私が読んで気になった、興味深かった作品をあげて行きます。

 全て素晴らしかった、と言えますが、個人的に印象に残った作品です。

 何か特別な表彰という意味であげている訳ではありません。そこはご注意を。


 まずは長編。

 ・「平成スイーツ物語(N9589IJ)」


 三作、10万文字超え作品がありましたが、やっぱり初回のインパクトと、独特のハートフルな一話完結型の話は、衝撃を受けました。

 何より、テーマによっては「平成」が歴史物として、完成度の高い作品を作れる時代だと、教えられました。



 中編も色々と素晴らしいのがあって、迷いましたが、一つあげればこれでしょうか。

 ・「【幕末風雲紀】或る詐欺師、最後の晩餐~35億円の夕食(N5766IK)」


 特異な構成と、最後の見事な着地に「おおっ!」と唸りました。



 短編は色々あって絞りきれないのですが。

 ・「戦国オヤジ飯!明石ジュストの大坂の陣中天下台所(N7044IK)」

 ・「もう一つのチート芋っ!(N7100IK)」

 ・「影縛り(N7329IK)」

 ・「走れ逃太郎(N7682IK)」

 ・「世界最古で世界初(N9624IK)」

 ・「加藤清正公の食べられる畳と朝鮮飴(N9721IK)」

 ・「冷たくて甘い旦那さま〜アイスクリームと新婚夫婦の日常〜(N9844IK)」

 ・「祝いの菓子(N0182IL)」

 ・「サガルドア   短編小説(N7539IL)」

 ・「南総里見異聞録・番外編 ~戦国時代に転生したので、チートを駆使して鰻の蒲焼きを作ります~(N8142IL)」

 ・「地中の果実(N8924IL)」

 ・「海苔ノリ浅草寺(N0169IM)」

 ・「白い皇女は暁にたたずむ(N0186IM)」


 これらあたりでしょうか。

 あえて一つを選ぶなら、「加藤清正公の食べられる畳と朝鮮飴」かな。

 講談調の語り口が単に私好みだった、といったところです。



 さて個人的に重要なお笑い作品。(コメディー、ギャグ、ホラーが好きな筆者です)

 ・「パンゲア(N4487IL)」

 ・「パロン(N6466IL)」


 って、どっちも羽生河四ノ様の作品じゃねーか!



 最後に今回の歴史のテーマは「食事」でしたが、ワイワイ会食を楽しむ、というより、食材の普及や調理法による保存、といった昔の人々の英知を扱った作品が多かったです。

 確かに、「食事」の前に大切な事です。


 そんな中、食でしか摂取できない「必須脂肪酸」を扱った作品をあげたいと思います。

 ・「パレオロクソドンナウマディクス(N1347IL)」


 って、これも羽生河四ノ様の作品じゃねーか!


 どういうことなの?羽生河四ノ様が優勝(!?)

 いいえ、全ての作品が素晴らしいです!(私のを除いてね)



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5.私が書こうとした題材 : 歴史でテーマが「食事」の件


 少し書いていましたが、当初私は「寿司」をテーマにした作品をやろうとしていました。

 辞めた理由も書いた通り、「誰かがやるだろう」です。


 あともう一つ。根本的な問題。それは筆者が…、


 「タイヤ屋がやっているお星さまがついた高級寿司店にほとんど行ったことがない」


 これにつきます。多分…、3回くらいかな?

 会計で万札を数枚を出したのは。


 普段は近所の小さな寿司屋で寿司を食べています。(月1で4~5千円くらい)

 ちなみに回転寿司には全く行きません。

 醤油チューチューや、ガリを直接ムシャムシャが気持ち悪いから、行かなくなった、のではなく、単に外食時に、私はかなり前から、あらゆるチェーン店に行かなくなっただけです。


 個人や家族でやってるお店って、いいですよ~。

 例えば、寿司屋だと、「店主おすすめの酒」を頼むと、たまに残りが少ないので、「少ないから、残りも全部飲んでいいよ~」、とドンッと残り少ない美味しい日本酒の一升瓶が置かれて、タダで残りが飲めます。

 こういったことあるから好きなんです。


 今思うと、歴史要素は薄くなるんですが、このコロナ下で大変だった、個人経営の飲食店を扱うべきだったかな、とも思っています。



--------------------

6.最後に : 感謝をこめて


 感想が多く、私にしては珍しく、(多分)全ての感想に返信をしました。

 私は感想に返信をしないことが度々あるのですが、スルーしている訳でなく、単に忘れて、返信のタイミングを逸しているだけです。

 なので、少し落ち着いたら、私の全作品の感想に対して、返信をしたいと思います。

 すごい、長ロングパスになってしまいますが、驚かないで下さいね。


 この企画をやって思ったのは、色々な作品や作風を持った作家さんがいるんだな~、という、まぁ当たり前な事です。

 当然、人によっては好き嫌いがあると思うので、通常合わない作風は読まないと思いますが、あえてこのように無理矢理どんな作風も読む、という縛りは個人的には大変楽しめました。

 まぁ、一種のマゾの類ですね。


 ですが、今後このような企画は…、絶対にやりません(・・・・・・・・)


 以上です。

 「秋の歴史2023」に投稿した作者様たちと、このヘンテコな筆者の連載を読んだ皆様には、お礼を言って、おしまいといたします。


 それでは、ちょっと早いですが、よいお年を! 

 おっと!私は今年最後に「冬童話2024」を投稿予定ですので、どうかこちらもよろしくお願いいたします!


 長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!<(_ _)>



【チャレンジ!】秋の歴史2023を全作読んでみる 総評 了

 歴史ということで、ひとつ個人的なことを書きます。


 ご存じの方も多いと思いますが、酒見賢一先生が11月7日に亡くなられました。

 まだ、59歳。(数日後で60歳)という若さです。


 私は酒見先生の作品は「後宮小説」と「墨攻」しか読んでないのですが、「後宮小説」は個人的に衝撃というか、黒歴史なのです。

 これを読んだ時、私は10代後半。(当時三国志もよく知らなかった)

 本当に中国の歴史で「素乾国」があるものだと思い、世界史の教科書とにらめっこをしたり、図書館で東洋史コーナーに行って本気で調べていました。(アホだ)

 今思うと、これで中途半端な中国史知識を身に付けたと思います。

 これを題材にした、アニメの「雲のように風のように」もDVDを借りて見ました。


 この何とも「民明書房」な設定にやられた人は、私だけではないと思います。


 中華ファンタジーを書きたい、と思いつつも、それを私はやらないのは(できないのは)、「後宮小説」の圧倒的な存在感のためです。


 今年(2023年)は、ミュージシャンが多く亡くなってるなぁ、と思っていましたが、そんな中で酒見先生の訃報。

 詳しくは知らないんですが、酒見先生は愛知県で会社員をしながら、執筆活動をしていたとの事。(違ってたらご指摘お願いします)


 もしかして、あと先生が20年後に生まれていたら、執筆の場をWEB(なろう!?)でやっていたのかも知れませんね。


 御年齢を考えると、悲しみやショックよりも、ただただ呆然としています。

 酒見賢一先生のご逝去の報、謹んで哀悼の意を表します。

 


【読んで下さった方へ】

・レビュー、ブクマされると大変うれしいです。お星さまは一つでも、ないよりかはうれしいです(もちろん「いいね」も)。

・感想もどしどしお願いします(なるべく返信するよう努力はします)。

・誤字脱字や表現のおかしなところの指摘も歓迎です。

・下のリンクには今まで書いたものをシリーズとしてまとめていますので、お時間がある方はご一読よろしくお願いいたします。

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【短編、その他】

【春夏秋冬の公式企画集】

【大海の騎兵隊(本編と外伝)】

【江戸怪奇譚集】
― 新着の感想 ―
[良い点] 『秋の歴史』を全作……凄すぎますฅ(º ロ º ฅ) 話には聞いていましたが……凄すぎますฅ(º ロ º ฅ) 私は投稿していないし、歴史モノに興味がなく、『読んだのあるかな……?』と…
[良い点] 本当にお疲れ様でした<(_ _)> まさかこんな荒行をされる方がいらっしゃるとは……Σ( ̄□ ̄|||) 丁寧でわかりやすい作品紹介、コメントは面白いですし、総評も贅沢でしたし、優勝です(≧…
[一言] 読ませていただきました。 改めて完結お疲れ様でしたとおめでとうございます! 的確な分析凄いなあと思いました。 秋の歴史企画消えるかも〜というお話、まあ、マイナーなジャンルであるけど、好き…
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