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チート過ぎる裏ボス皇女様のゆったり日和  作者: 紗那
Ⅰ.丹念皇女と翹望
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《番外編04》丹念皇女と生誕祭

アフェクが生まれた後の生誕祭でのお話になります。

※時間軸としてはアスターシアが三歳の頃です。

→サブタイトル「最強皇女と帝国」(3話~4話)の間。

新しく作られた近衛騎士、大司教ミアからの能力結果の説明など数日で様々なことが起きたけれど、

ここ直近で一番大きな公務は今日開かれるアフェク生誕祭。

──1563年3月6日。

この日に弟アフェクが生まれた。

その記念に王宮主催で開かれたのが今日の生誕祭。

母上とアフェクは不在で第一広間にいる皇族は私と叔母上、父上と叔父上だけだ。

父上と叔父上の方は来賓の接待に向かっていて、

今私の近くにいるのは近衛騎士のユージスとルーカスの二人と叔母上。

ユージスは流石にちょっと圧倒されているようだけれど、

それも仕方ないと言えば仕方ないだろう。

元々騎士団の中では本隊に属する二人はこうした公の場で控えている近衛隊とは違う。

というよりも本来ならこういった場に出ることすらなかったのだ。

けれど流石は男爵家の生まれ。

ルーカスは落ち着いた様子で広間を見渡し備えている。


「甥が生まれて今や祝福ムードね。本当におめでたいわ」

「えぇ、本当に……」


私に聞こえやすいように屈んだ叔母上が優しい笑みを浮かべて私の顔を見下ろす。

初めての甥ができて叔母上は嬉しそうだ。

子があまりできずに悩んでいる叔母上にこういった内容はどうなのだろうかとも思っていたけれど、

純粋に喜んでいるようで杞憂に終わってほっとする。


「今後のことを考えれば早く能力を自在に扱えるようになりたいところですが……」

「あまり急いても仕方がないわ。

あなたはまだ三歳。成熟した身体ではないのだしこれからよ。

焦らずゆっくり修行に励んでいきましょうね」

「……そうですね。滞在期間中、よろしくお願いします、叔母上」

「えぇ」


アフェクが生まれたことで徐々にゲーム開始のタイムリミットが近付いて来ていることを改めて実感した私は、

叔母上にも気付かれるほどに焦っていた。

──それ以前にこの能力は凶悪すぎる。

扱い方を間違えた結果、どうなるかなんて想像に難くない。

まだ時間はある。

焦ってしまってもどうしようもないのだし、

叔母上の言う通り今はじっくり私自身が身体の一部とも捉えられるほどに使いこなせるようにならなくちゃ……!


「アスターシア」

「! 父上?」


来賓の接待をしていた父上の数歩後ろに水浅葱色の肩下まである長い髪を一つ括りにした髪型に、

眼鏡をかけた青碧色の瞳を持つ中性的な男性が付き従っていた。


「以前に話したことがあると思うが、

こちらは宰相のアルベール。

今後何かと関わることが多くなるだろうからな。

丁度いい機会だし紹介しておこうと思ってね」

「改めましてご挨拶申し上げます、第一皇女殿下。

皇配殿下の補佐をしております、

アルベール・アルフレッドと申します、以後お見知りおきを」

「アルベール宰相、アフェクが生まれた際にご報告に来てくださりましたね。

あなたの噂はかねがね……とても素晴らしい手腕をお持ちだと聞いているわ。

あなたからはたくさん教えていただくことがあるでしょうから、

どうぞこれからよろしくお願いします」


深々と頭を垂れるアルベール宰相に、

時々父上から聞いていたその手腕と知恵を今後この目で見て勉強できるのかもしれないと思うと、

この上なく嬉しい限りだと感じる。

正しい知識を得てゲームのアスターシアのようにならないためにも、

これから父上の元で何度も功績を残しているアルベール宰相にも今後関わっていくのも良いだろう。


「あなたは勉強熱心ね。

とても偉いけれどそう急いては事を仕損じるわよ」

「はい、叔母上」

「……聞き及んでいる通り、皇女殿下は勉強熱心で向上心の高い方なのですね」

「?」


どこか興味深そうに目を細めて私を見つめるアルベール宰相の言葉に、

私はこてん、と首を傾げると何でもありませんよと言葉を返された。

何かとこの国の──貴族社会の闇を見てきたアルベール宰相は、

私が次代の女皇に相応しいかどうか見定めているのかもしれない。

品定めされているような心地になるけれど、

初めから媚を売ってくるような地位や名誉に固執する人間より、

我が国の今後を考えてくれる人材がいてくれる方がまだマシだろう。

……何しろ次代の女皇に相応しいかどうかと言われれば、

『裏ボス』たる私が相応しいわけなどない。

けれど私が手を加えなかったフィーリアならば、

この国をより良い方向へ導くため日々精進するだろうなとは思う。

何しろゲームではラスボスとして登場し、

極悪非道で残虐な性格だと思われがちだが、

それはアスターシアの能力により”造られた”もので、

フィーリアの元々の性格ではないのだから。

私はあくまでもそれまでの繋ぎとして在ればいい。

フィーリアに対して何もしなければ極悪女皇だなんて呼ばれないのだから。

フィーリアが生まれて、立派になった暁には隠居してしまうのも良いのかもしれない。

アスターシア(わたし)が国の根幹に関わるようなことさえしなければ、

ゲームのような出来事は何も起こらないはずなのだから。

それまでは立派な第一皇女として努めよう。

──この国のために。

いつか頂点に立つフィーリアのお手本となれるように。

 

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