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チート過ぎる裏ボス皇女様のゆったり日和  作者: 紗那
Ⅰ.矜恃皇女と邁進
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《BD記念》慈愛親子と玉響の日

ノルベルトの実母リリー・ラモーナのお誕生日祝いのお話。

※時間軸としてはアスターシアが11歳の頃です。

→サブタイトル「別格皇女と騒動」(21話~30話)付近。

──春の季節が訪れ、暖かくなったエスポワール帝国の庭園には珍しく男女二人の姿があった。


「本当に良いの?ここは皇族専用のガゼボでしょう?」

「今日は母さんの誕生日だからって姉上が話を通してくださったんだよ」

「まぁ……」


暖かな日差しの中、白いガゼボの中にいたのはノルベルトとリリーの親子だった。

最近は気温の変化が激しく母さんが所属する医療団は忙しない日々を送っていたのだが、

母さんのお誕生日ということで姉上が医療団の団長に話を通し休日に変更。

そして皇族専用の庭園で彼女が好きな甘いお菓子と高価な紅茶、

いつもは摂政引き継ぎのための勉学で忙しく母さんの誕生日に本来なら時間が取れないほどに多くあった僕の予定も全て調整するなど、

本当に頭を下げても、感謝の言葉を告げても足りないほど、

忙しいはずの姉上がここまで準備してくれた。


ガゼボ内にある丸いガーデンテーブルには僕が選んだお菓子と、

宮殿の料理長が作ってくれた高価なお菓子、

そして僕が作ったクッキーなどがずらりと並べられている。

紅茶も何種類か用意して一日のんびり過ごす時間を作った。


「これは確か……プリンというものだったかしら?

確かアスターシア様が考案なされたのよね?」

「うん。姉上が凝った贈り物を用意できなかったからって」


今は何かと式典が多い時期だ。

そのため第一皇女であり次期女皇である姉上はいつも以上に忙しい。

その中でも補佐であり常にお傍につくことが役目であるはずの僕の公務を全て調整してくれた。

これにはアルベール宰相や叔父上も手伝ってくださったのだそう。

また後日お礼にいかなければ。


こうして母さんとの時間をちょくちょく用意してくれる叔父上やアルベール宰相にも感謝しかない。

宮殿へ来た時にはもう二度とこうしてお祝いすることなんてできないと思っていたから。


「こんなに贅沢な思いをさせていただけるだなんて……。

本当にアスターシア様には感謝しかないわ。

加えてノルベルトと共に過ごす時間も用意してくださって」

「うん、本当に。だから今日はゆっくりしていってね」

「えぇ。今日の時間を糧にまたより一層仕事に励むわ」


本当に嬉しそうに笑みを浮かべる母さんの姿に僕も嬉しくなる。

苺のクッキーやショートケーキなど母さんが好きな苺をたくさん用意してもらって、

こうしてお菓子を作っていただいた。

苺のクッキーは僕が作ったものだけれど上手くできたと思っている。

それでも少し緊張する。

母さんに手料理を振る舞うなんて初めてのことだから。


「ここに飾られている花は……ローズマリー?」

「うん。フィーリアとアフェクが用意してくれたよ。

これを母さんにって」

「フィーリア様やアフェク様も……本当に嬉しいわ」


姉上だけでなくフィーリアとアフェクも母さんへの贈り物を用意すると張り切っていた。

フィーリアに聞いたことだけれどローズマリーの花言葉は『思い出』。

この時間が素敵な思い出となるように、と思いを込めてフィーリア達が花束を作ってくれた。

小さな花束と花瓶に飾られたものの二つ。

小さな花束の方は包装や青いリボンの飾りがついていて、

本当に綺麗で可愛らしいものになっている。


「医療団の方々からもお祝いしてもらって……こんなに嬉しい気持ちでいっぱいになる日をもらって、

もう言葉に表せないわ……ありがとう、ノルベルト。

どうかアスターシア様達にもお礼の言葉を伝えてくれる?」

「分かった、必ず伝えるよ。母さんも来月の昇進試験、頑張ってね」

「えぇ、こんなにも勇気をもらったんですもの!頑張ってみせるわ」


一ヶ月に二回しか会えないけれど、

こうして直近のことを話す時間は楽しくてあっという間だ。

伝えたいことはたくさんあるのにあまりにも時間が足りない。

けれど姉上が五年前に提案してくれた政策の変更。

それがなければ僕はこうして二度と母さんに会うことはなかった。

それを思えば会えるというだけでも心が安らぐ。

母さんも頑張っているのだから僕も頑張ろう……!

毎月会う度にその気持ちが僕の中で大きく膨らんでいく。

この機会をくれた叔父上、アルベール宰相に感謝を。

優秀な補佐となることで姉上への恩返しになるよう、

これからも精進していかなければ。


「ノルベルト、これ食べてみて。とても美味しいわよ」

「ん……うん、美味しい。そっか母さんはこれ初めて食べるんだったっけ」

「えぇ、見たこともないお菓子ばかりだから年甲斐もなくはしゃいでしまいそうだわ」

「はは、たくさん食べてね。味は帝国一だから問題ないよ」

「えぇ、今日は好きなだけたくさん食べるわ!」


見たことのないお菓子が並んでいるからなのだろう。

母さんの瞳は眩いくらいキラキラと輝いている。

喜んでくれるだろうか……と選んだ時には不安に思ったけれど、

こんなにも喜んでくれる姿を見てその不安は吹き飛んだ。


──こうして麗らかな春の日を親子しかいない空間で楽しく談笑しながらこの日を過ごした。

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