《小話》本懐皇女と雪の聖夜(2)
皇族としての仕事は休みではあったが、
アルベール宰相やカノナス師団長からの報告を聞いたり、
いつものように家族で夕食をとったりしたその日の深夜。
シーナとレイナはこの日にアスターシアが何をしたいのかを知っているため、
綺麗に包装されたプレゼントを部屋を静かに出ていこうとするアスターシアに手渡し見送った。
■
「ノル」
「二人はもう休んだようです」
「じゃあバレないようにこっそりと置きに行きましょう」
廊下でノルベルトと合流したアスターシアは、
静かに囁くような小声でノルベルトと会話をする。
既にフィーリアとアフェクが眠っているという情報を二人の近衛騎士から得ていたノルベルトが、
傍に駆け寄ってきたアスターシアに伝える。
本当ならノルベルトの『空間移動』の能力を使えば、
一切バレる心配もなくプレゼントを置けるのだが、
それではあまりに面白くない。
バレるかバレないかのこのギリギリな雰囲気がこの時期の目玉とも言える。
それをノルベルトに力説したらちょっと引かれていたことをアスターシアは思い出す。
そのことを思い出して苦笑しつつ、
ノルベルトの目線を合わせ頷き合い今年のクリスマス最後の仕上げを実行した──。
こっそりと無事にバレずに今年も置けたことにほっとして、
アスターシアはノルベルトと別れて今日は休んだ。
■
「お母様!とっても可愛いクマさんが枕元にありました!」
「あらあら、可愛らしいわね。きっと優しい子が今年も頑張ったフィーリアにご褒美として与えてくださったんだわ」
「ふふ、とっても嬉しいです……!」
アスターシアの作った大きめなクマのぬいぐるみを抱え、
朝食をとる前に母の元に訪れたフィーリアは嬉しそうにずっと抱き抱えながら報告する。
そんな愛娘の喜んだ表情にシシアーティアも嬉しそうにしながら、
これをこっそりと作っていたのであろうもう一人の愛娘のことを思い浮かべる。
──あの子は本当に人を喜ばせる天才ね。
全く思い付きもしなかったこの時期の行事を唐突に始めた時は驚いたけれど、
これもまた妹や弟を喜ばせたいという温かな気持ちで始めたものなのだと、
今ではシシアーティアもバルムヘルツも理解している。
だからこそ何も言わずこっそりとアスターシアの遊びを見守っているのだ。
「それで、クマさんをくださった方にお礼がしたいのですが……」
「あら、良いじゃない。きっと驚いて喜んでくれるわ」
このプレゼントを用意してくれた人が誰なのか、
フィーリアもアフェクも既に知っているけれど、
二人はあえて声に出すことはしない。
姉と兄の望む通りにただ知らないフリをし続ける。
誰から貰ったものなのか既に知っていたとしても、
毎年用意してくれているプレゼントの中身はいつも何が入っているのか分からない。
そのワクワクとした気持ちがこの時期恒例となりつつある。
この後アフェクと合流して、
忙しい合間を縫って作ってくれた二人へのお礼を考える。
──それが毎年この時期恒例の姉弟の過ごし方。




