34.奔走皇女と思案
ノルベルトに言われて昼食を食べ終わった後、
私はフィーリアの部屋にやってきたのだけれど……。
私の顔を見た時驚きとその中に少しの不安を覗かせる表情をしていたのに、
本当にほんのしばらくの間でフィーリアの中で何か決心がついたのだろうか?
にっこりと何の悩みもない晴れやかな笑みを浮かべて、
悩みは解消したと言われた。
……私はまだ何も聞けていないのに?
悩みを話されることも無く、
そのアドバイスすら出来ずにフィーリアは悩みは無くなったと言うのだ。
どうしてだろう……?
そう思案している間にシルヴィア夫人が紅茶を用意してくれていた。
「さぁ、アスターシア様。こちらへお座りください」
「ありがとう」
「今日はアメーリア王妃殿下から新しくいただいたピーチティーです」
「叔母上から?」
「はい」
叔母上──アメーリアのいるヒンメル王国は茶葉の生産地としてとても有名な国で、
とても自然豊かな土地だ。
農業大国として知られるグラジオラス王国には劣るけれど、
それでもとても綺麗な風景が広がっている。
「そういえばフィーリアはまだヒンメル王国には行ったことなかったわね」
「はい。叔母様には手紙でやり取りしていますが、
実際にお会いしたことはまだないです」
私が六歳あたりの頃はよくこっちにも来ていたけれど、
今は忙しいようで文通でしか交流できない。
それでも私やフィーリア達のお誕生日にはお祝いの品と手紙を送ってくれる。
去年の叔母上のお誕生日のお祝いには私とアフェクの二人で出席した。
フィーリアはまだ四歳だったのでノルベルトと一緒にお留守番だった。
「そういえば叔母様にもお子様が生まれたのでしたよね?」
「えぇ、フィーリアの二つ年下の双子の姉弟よ」
叔母上の子供──スフィアとシリル。
二人とも叔母上に似た銀髪と紫の瞳をしていた。
去年会った時は二人とも三歳だったけれど。
「今後よく交流することになる従姉弟になるかもね」
「そうですね!会う時が楽しみです!」
叔母上と叔父上は政略結婚とはいえ仲睦まじいようで、
自分に合った良い相手と巡り会えたのは母上と同じのよう。
幸せそうなのが本当によかった。
「スフィアとシリル……私の方がお姉ちゃんになるのでしょうか?」
「ええ、そうよ」
そう聞いて『お姉ちゃん』になれることが嬉しいようで、
とてもにこにこと明るい笑みを浮かべている。
……そんなに末っ子なのが気になってたのかしら?
そう思いつつもシルヴィア夫人が用意してくれたピーチティーを口に運ぶ。
今は謹慎中の身だからフィーリアと一緒にいれる時間も長く取れそうだ。
……やっぱり独自に動いているのが駄目だったのかしら。
ノルベルトとはよく話すことが多いけれど、
アフェクやフィーリアとの会話はノルベルトに比べれば少ないかもしれない。
この期間は二人と過ごす時間を多く作るのも良いかもしれないな。




