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チート過ぎる裏ボス皇女様のゆったり日和  作者: 紗那
Ⅰ.奔走皇女と兄妹
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32.奔走皇女と兄弟

最高裁判が終わったその日のお昼。

ここからは勝手に行動するのは駄目だと禁止されているので、

私は剣術の稽古をしているアフェク達のいる合同演習場にやってきた。

ここは王宮から少し馬車で移動する必要があり、

徒歩で行こうとすると余裕で一時間とかかかりそうな程の距離にある。


「こんにちは、オズワルド騎士団長」

「アスターシア皇女殿下、ようこそお越しくださいました。

皇子殿下方の様子を見に?」

「えぇ、やれることもないし」


──事実、母上たちから謹慎を言い渡されている以上、

エルヴィーノ公爵のことを独自に探ることすらできない。

その辺はアルベール宰相に任せなさいと言われてしまったし……。

そもそも皇女が暗躍するなんて有り得ませんとも言われた。


「姉上、どうしてこちらに?

大切なご公務があると……」

「その公務が終わったからね。来てみたの」

「そうだったのですか!」


騎士団長と話していると、

アフェクとノルベルトが私に気付き稽古を中断してこちらに駆け寄ってくる。

二人とも今朝見た服装よりも動きやすい簡素な服装になっていて、

その手には稽古用の木刀が握られている。


「そういえば姉上も剣術の稽古を習っていたと聞きましたが……」

「ああ、そうね。

母上達には内緒で騎士団長と副団長に無理を言ってお願いしたのよ」


後ろでユージスとジスタが苦笑しているのを察したが私は無視して会話を続ける。

二人とも見てたものねぇ……。

内心そう思いながら少し汗だくになっている二人を見る。

ノルベルトもアフェクも成長するにつれ変わったところはあれど、

どうやらお互いお揃いにすることが多いようで、

似ているけれど似ていないという印象を抱く容姿をしている。

しかしこんな美麗な子らが私の弟だなんて……。

信じられないとは思うけれど、

これが事実で母上や父上があんなにも美麗なのだから、

普通だろうとも思う。

フィーリアも成人年齢になればゲームの立ち絵のような美しい女性になるのだろう。

その姿を実際にこの目で見られるかもしれないということに今から少しワクワクしてしまう。


「アフェク達はこれから昼食?

まだなら一緒にどうかしら」

「良いですね、僕らもそろそろと思っていたので。ね、兄上」

「えぇご一緒させていただきます」


ニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべるアフェクに、

ノルベルトも優しそうな笑みを浮かべている。

やっぱり同性で歳の近い身内がいる分過ごしやすいのかしら。

一緒にいるところをよく見かけるからそう思う。

それじゃあと私たちは合同演習場から移動することにした。



「二人の稽古の様子を遠目から見ていたのだけれど、

以前近くで見させてもらった時より瞬発力が凄まじくなっているわよね」

「そうですか?」

「以前よりかは動けるようになったとは思いますが……。

まだ姉上ほどではありませんよ」


──私を基準に物事を考えてはいけないよ二人とも。

このアスターシアという人間はチート過ぎる裏ボスなのだから。

二人も前世の同年齢時代の私に比べれば遥かに賢いと思うけれど、

『アスターシア』という存在を基準に考えてしまえば、

何もかも求められることが変わってくる。

二人なりの考えの元で強くなってほしいと思う。


「姉上は今からもう既に謹慎されているのですか?」

「ええ、母上達に許されたのは裁判に出席することだけだからね」

「ではフィーリアのことを見ていてくださいませんか?」

「フィーリア?」

「何か悩んでいるみたいなので……」


フィーリアが何か悩んでいるというのは初耳だ。

最近はよく一緒にいるようになって、

どこへ行くにも隣にいたからそういった変化には気付けると思っていたのに。

あの子はどうやら私には上手く隠していたようで。


「分かったわ。教えてくれてありがとう、ノル」

「いえ」


そうと決まればフィーリアの予定を聞いて、

時間があれば悩みを聞くしかないわね。

今後の予定を頭の中で考えつつ弟達との昼食を楽しむことにした。


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