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チート過ぎる裏ボス皇女様のゆったり日和  作者: 紗那
Ⅰ.別格皇女と騒動
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27.別格皇女と作戦会議

ほんのしばらくしてルーカス隊長がオズワルド騎士団長と共にアルベール宰相の執務室へやってきた。


「失礼致します」

「どうぞお入りになってください」


開けられた扉の前で深くお辞儀をするオズワルド騎士団長に私は声をかける。

アフェクの生誕祭や国の公式行事なんかで母上についている近衛騎士でもあるため、

私は少なからず面識がある。

そこまでたくさん話をした訳でもないけれど。


「お話は全てルーカスより聞きました。

我が国にまだ捕らえきれていない鼠がいると」

「ええ、その彼らを捕らえるためにあなた方のお力を貸していただけないかと思って」

「無論でございます。

元より法律違反者を捕らえるのも私たちの役目ですので」


用意された席に座ったオズワルド騎士団長と作戦会議を始める。

幸いにも今は母上達へ報告に向かったためアフェクとフィーリアはいない。

まぁそもそも八歳児の私が言えたことじゃないけど。


「拠点としている場所はアパートのようですね」

「えぇ、アネモネの街は基本的にアパートの多い街ですから。

彼らはその中でも一番大きなところを根城にしているようです。

加えて街の奥の方にある。

お陰で外からは見えにくいという訳ですね」


他のアパートを隠れ蓑にして活動しているというわけか……。

この街にはあまり人が住んでいないとはいえ、

誰一人としていないわけではないのだ。

行動する際に一般人も巻き込めば大変な事態になる。

それこそ騎士団への信頼を失くすような。


「こちらは第六番隊、第八番隊を今回の捕縛と応戦の人員として割くつもりではありますが……。

もしや殿下方も共に参られるおつもりで?」

「この国で目を背けられていることです。

いずれはこの国を統治する以上はそういった面も見ておくべきだと思っています」

「僕は姉上が向かわれるのであれば。

補佐として弟として守るために共に向かいます」


オズワルド騎士団長から告げられた言葉にやはり聞かれるだろうなと思っていた。

皇族である者がそんな薄汚れたでは済まされない闇の部分を見るのは騎士団長として『構いませんよ』では済まされないことだろう。

けれど私が言ったことは決して制圧へ向かうための方便ではない。

私が素直に思ったことを口にしたまでだ。

”そう思ったから行く”それまでだ。

第一皇女としては許されないことであるのは重々承知しているけれど、

何もしないでただ報告を待つだけというのは嫌だ。

この目で見てこの手で救えなければ”私は”納得できない。


「殿下方がそう決められたのであれば……。

しかしできるだけ中には入らないように」

「ええ……分かりました」


私とノルベルトの意思が固いと分かったのだろう。

何を言ってもきっと無駄だと思ったのか、

オズワルド騎士団長は視線を私たちからアルベール宰相へ向ける。

自分の妻が攫われたのだと知っているオズワルド騎士団長も思うところがあったのだろう、

労りの目を向けつつも派遣する騎士についてアルベール宰相に説明する。


帝国騎士団の六番隊と八番隊と九番隊は特攻部隊としても有名だ。

特にルーカス隊長が所属する九番隊は特攻部隊の中でも別格であるとされている。

何しろ剣術の天才が部隊長を務めている部隊だ。

所属する隊士達はルーカス隊長について行くためにその腕をどの部隊よりも磨く必要がある。

そして六番隊はルーカス隊長と同様に私の近衛騎士として付いてくれているユージスが隊長を務めている。

彼もまたその剛腕で前線に立ち続けても問題ない強さを誇る。


六番隊のブラム副隊長はアフェクの近衛騎士の一人だ。

彼の持つ能力もまた『動きを止める』という点では大いに活躍するものだ。

……やり過ぎて相手が死んでしまわなければいいけど。


「アスターシア様、ご準備は如何程に?

その姿のままでは外で待機するにも危険すぎます」

「問題ないわ、アルベール宰相。

私の能力で彼らの認識を誤認させます」

「なるほど、了解致しました。

それでは夕刻に出発致します」

「えぇ」


今はまだお昼。

彼ら『カルミア』にバレないように動くにはまだ早すぎる。

今のうちから少しずつアネモネの街へ騎士を派遣し待機してもらい、

日が暮れると同時に彼らの本拠地内へ侵入する予定だ。

向かう時には比較的動きやすい格好で行こうと思い、

この件を他言無用でシーナとレイナ達にも伝えておく必要がある。


「それでは時間になりましたら玄関ホールまでお越しください。

私とアルベール宰相殿がお迎えに上がります」

「ありがとうユージス」

「ユージス、ルーカス、フェリクス、ブラム。

必ずや殿下方をお守りしろ」

「「「「はっ」」」」


その後私とノルベルトが部屋を去り、

ノルベルトと共に私たちの居住である第二宮殿を目指して用意してもらっていた馬車に一緒に乗り込む。


「シルヴィア夫人……無事だと良いけれど」

「えぇ」


これから見るに堪えない光景が待ち受けているかもしれないのに、

ノルベルトは怯えの表情を一切見せない。

強い覚悟を宿した瞳で見据えている。

十歳の子が見るものじゃないのにね……と思いながら、

私の我儘を受け入れてくれたアルベール宰相やオズワルド騎士団長、

私の近衛騎士であるユージスとルーカス隊長、

ノルベルトの近衛騎士であるフェリクス副隊長とブラム副隊長。

本当に有難くて頭が上がらないわ。

普段の仕事に加えてもっと気を張っていなければならないのだから。


こんなことは皇族の人間としてやるべきことではない。

それは分かっているけれど自国の民たちが脅かされるのをただじっと事態が収まるまで、

抑えられたという報告が来るまで待てるようなできた人間ではない。

──私は強欲なのだ。

救われるべき者たちが幸せを享受できない日々を看過することなどできない。

だからとことんこの力を使わせてもらう。

受け入れられずとも救いたい者のために。




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