24.別格皇女と特訓
フィーリアが能力を開花させた翌日の朝。
早速私はフィーリアの部屋で二人きりの状態になり、
能力の扱い方を教えていた。
「能力を扱う上で最も重要なのは強い意思と心よ。
私たちの精神系統の能力は使いようによっては人を操ったり人の心を壊したりなんてできてしまう危険なものだからね。
フィーリアの場合は聞こえてくる声に呑まれないように貫く意思を一つでも持っていた方がいいわね」
「強い意思と心……能力に呑まれてしまったら、
自分が望まない結果を招いてしまうということ?」
「そういうことよ。
心の声が聞こえてきた時、怖かったでしょう?
今まで皆がひた隠しにしてきたことが突然流れ込んできたのだから」
「うん……」
「それらに負けない強い心を持つこと。
流されることのない矜恃を持つこと。
少し我儘でもいい。
誰にもねじ曲げられない真っ直ぐな意志を考えてみて」
精神系統の能力は特に能力者の”精神”に軸を置く。
例えば心が不安定な状態で能力を使うようなことをすれば、
自分はそれを望んでいなかったのに相手を傷付けてしまうことだってある。
能力を使う際に”何のために”、
”どう思って”使うのかが重要になる。
要は目的がないままでは予期せぬ事態を招いてしまう。
これから先死ぬまで向き合い続けなければならない。
だからこそ人生で最も大事だと思える”目標”を作る必要がある。
私の場合は『大切な人たちを守る』ためにこの能力を使うと決意を固めている。
不安定ではいけない。
能力にも能力がもたらすものにも負けない強い精神を必要とすること。
それを私はフィーリアに教えた。
心の読めない私にはどんな世界が映っているのかは分からない。
けれど”精神系統”である以上はまず自分の精神を鍛え上げなければならない。
「フィーリアはこれから先どんなことを目標にしたい?」
「目標?」
「そう。皇女としてでもいいしフィーリア個人としてでもいい。
”これは絶対に成し遂げたい”という目標は何か考えてみた?」
「そうだな……お姉様や兄様達の力になりたいな。
これから先もずっと」
「──そう」
純粋な笑みを浮かべるフィーリアに何とも言えない気持ちになる。
嬉しいと思う反面自分がそう思われる資格はないと。
けれどそれがフィーリアにとって強い心の支えとなるのなら
「ならそれを心の支えに──自分の目標にしなさい。
皆を守るために、自分自身を守るために」
「はい……!」
私が彼らと関わる資格は本当はなかった。
でも──こうして過ごしてきて楽しく思っている自分がいる。
このままでいたいと思う自分が。
許されなくてもいい。
できるのならノルベルトやアフェク、フィーリアが大きくなって国のために様々な取り組みに励むその姿を傍で見てみたいと思う。
彼女たちに必要とされなくなるまでは、
私の手で大切な弟妹を守りたい。
「それじゃあ初めの目標も決まったことだし、
次にいってみようか」
「うん!がんばるよ」
──どうかこのままこの幸せな夢を見させてほしい。
そう願いながら私は能力の特訓をフィーリアと共に長い期間に渡って行っていった。




