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チート過ぎる裏ボス皇女様のゆったり日和  作者: 紗那
Ⅰ.平静皇女とシナリオ①
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17.平静皇女と収束

何とか手遅れになる前に犯人を捕らえられた。

エリノア嬢を地下牢へ連れて行っていたユージスは、

途中からアルベール宰相が万が一の為にと控えさせていた騎士団の第二部隊と交代して、

また私の元へ戻ってきた。


「アスターシア様……先程のはあなたの?」

「ええ、そうです」


少しだけ困惑した表情をしているアルベール宰相の言葉に、

私はもう隠す必要もないだろうと素直に頷く。

私の能力は母上や父上も叔父上もノルベルトもアフェクもフィーリアも知らない。

六つある能力の内『絶対遵守』は効力が大きすぎる。

私がある程度はこの能力の制御を耳飾りの制御装置に頼らずできるようになるまではひた隠しにしてきた。

もちろんこの制御装置の役割を担う耳飾りを作ってくれたカノナス師団長だけは知っているけれど。


「アルベール宰相、このことはまだ母上や父上、

叔父上達には内密にしてほしいの」

「それはなぜです?」

「つい先程見せたものはまだ私のこの能力の一端でしかない。

この能力は応用の幅が広い上に効力も強大なもの。

ある程度は自力で制御できるまでは、

まだこの危険すぎる能力のことを表沙汰にする訳にはいかない。

もちろんあと何年後かに母上達に報告するというわけではないわ。

あともう少しだけこの能力の制御のための修行の時間がほしいという理由だから」

「まだ、アスターシア様には扱えきれていないということですか」

「その通り。この能力の説明をするだけならまだしも、

”実際に見せてみなさい”と言われでもしたらたまったものじゃない」

「なるほど……」


完璧にとまではいかなくても、

ある程度は自力で制御できなければ守りたい人を自分の手で傷付けることになる。

それだけは何としても避けたい。

そのためにも今はまだ私が持つ能力について話す訳にはいかない。

けれど話さないという訳でもない。


「では私はこれから尋問に向かいます。

アスターシア様はお部屋にお戻りください」

「ええ、それでは。お休みなさい、アルベール宰相」

「はい。ゆっくりと休まれてください」


アルベール宰相に見送られて私はユージス達を連れて自室へ戻った。



明かりのない中部屋まで戻ってきた私は、

ベットの上にごろりと寝転がる。

ゲームでも重大な場面は何とか回避することに成功した。

その安堵感にふぅと深いため息をつく。

こういった王宮内で起きる事態に対しては、

赴くまま動ける立場にあるのは良かったと思う。

もしもヒロインのフォルトゥーナに転生してきたとしたら、

彼女は伯爵家の娘だ。

王宮側から招待を受けない限りは王宮へ入ってくることができない。

加えて五歳である第二皇子に会うことなど不可能に近かっただろう。

フィーリアに転生したとしても同じことだ。

そもそもフィーリアは去年生まれた。

生まれ年を考えれば兄であるアフェクを救うことはできなかったかもしれない。

今回だけはアスターシアに転生して良かったと思えた。

……とはいえこの毒殺未遂事件を手引きしていたのはアスターシアだったのだけれど。


けれどこの世界の私はそのようなことは一切していない。

シナリオとは違う動きをしたことで、

”その代わり”となる存在ができてしまったのだとしたら……?

”実行犯”は他国の人間であることは変わらないけれど、

”手引きした者”はアスターシアの代わりに”誰かが”なったのだろう。

アスターシアがいようといなかろうと、

この”毒殺未遂事件は起きる”ということになる。

──シナリオの強制力というのは恐ろしいわね……。


仰向けに寝転んでいた身体を横向きに寝返りを打ち、

私は窓の向こうの空に浮かぶ月を見つめる。

”私”が違う行動をした時点でここから先は本当に何が起きるか分からない。

知っている出来事もある程度は変わって起こされる。


ゲームのアスターシアは『死』を恐れていなかった。

自分の命などどうでも良いというような言動が多かったように思える。

もしも彼女は()()()()()()()()()()と知っていたとしたら。

あれは自暴自棄になった私なのかもしれない。

抗うことを諦め無意味な行為だと絶望した私なのかもしれない。

……そうはなりたくないな。

今はそう強く思えてもこれからもこの気持ちがなくならずにいるかどうかは分からないけれど。

それでも家族を救いたい。

───次は母上と父上を。



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