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チート過ぎる裏ボス皇女様のゆったり日和  作者: 紗那
第一章『最強皇女と帝国』
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《閑話》予見皇女と魔法師団長(1)

──これはまだアスターシアが三歳の頃。

千五六三年二月十二日。

母シシアーティアに話をつけてもらい、

魔法師団長カノナスに初めて出会った時のお話。



「初めまして、カノナス師団長」

「お初にお目にかかります。アスターシア皇女殿下」


まだ歩けるようにもなって話せるようにもなってからほんの少ししか経っていない。

母上や父上はカノナス師団長に会うことを不思議がっていたけれど、

彼なら私が望むものを作れるんじゃないかと思って彼に話を通してもらっていた。


「それで、私への用というのは?」

「カノナス師団長、あなたに私の能力を制限する飾りを作ってほしいのです」

「能力を制限する……ですか」


魔法師団の仕事場で訓練棟がある区間の第一会議室で、

私たちは向かい合ってソファに座っている。

一緒についてきてもらっていたユージスとジスタには部屋の外で待機してもらっていて、

今この部屋の中にいるのは私とカノナス師団長だけ。


「お聞きしてもよろしいでしょうか」

「ええ、何でしょう」

「何故能力の制限を必要とされるのです?」


カノナス師団長が持った疑問は当たり前のことだ。

自身を守る武器でもあり盾でもある。

そして自身の権力の象徴のような能力を制限するなんて、

まずそもそも有り得ないことだ。


「カノナス師団長。これはまだ母上達にも話していないのですが──……」


私は母上達に話していない自分が持つ能力について説明した。

その中で最も驚いていたのは『絶対遵守』。

能力の保持者である私の思い付く限りのことを何でも”命令”という形で実現させる。

そんな神にも等しい能力をカノナス師団長は興味深けにしていた。


「それはご自身が知っていることでなければならないということが前提ですね?」

「ええ、その通りです」

「ふむ……確かに殿下が制限が必要であると考えられるのも納得できます。

しかし()()()()()()何か理由がおありなのでは?」


初対面だと言うのにそこまで当ててしまうなんて……。

やはりあれだけの人々に慕われているだけある。

本当に勘が鋭いというか目利きが良いというか。


「ええ、カノナス師団長が仰った通りもう一つあります。

カノナス師団長、あなたに頼みたいことがもう一つだけあるのです」

「頼み……ですか」

「はい。もしも私が私ではなくなり暴走した時は──あなたに止めていただきたいの」

「止める……それは、つまり?」

「あなたのお察し通り。言葉通りです」

「それは……ッ」


私の能力の応用の幅は本当に桁違いな程に広い。

それ故に私の精神が先に平常心を保てなければ、

この強大な能力は暴走を引き起こすだろう。

私でも止められないほどに大きな。

もちろんその意味もある。

そしてもう一つある。


それはもしもの時。

母上達やこれからノルベルト、

これから生まれてくる私の弟と妹。

そして大切な民をアスターシア(わたし)から守ってもらうという意味。

死ぬことなど怖くなんてない。

大事な人達を守れるのならば構わない。

既に一度経験した身。今更なのだから。


ただこの私が能力によってあらゆることができてしまう以上、

ゲームのアスターシアは?

もしくは別世界の平行線のアスターシアはどうなんだろうと考えてしまう。

世界線の境界など()()()()()()()()無意味かもしれないと。


何でもできるチート能力者である以上、

突拍子もないぶっ飛んだことだと思われるような事態も想定していなければならない。

もしも私が大切な人たちに刃を向けるような真似をしてしまったのなら。

その時に私を確実に止めてくれる存在が必要になる。

私を止めるためには並大抵のものでは止まらない。

ぶっ飛んだものでなければ彼女の独壇場になる。

──だから私を殺してくれる味方が必要なのよ。


「カノナス師団長。できますね?

もしもそのときが訪れた時には。

もちろんあなたが重い罪に問われるようなことにはならないよう、手を回しておきます。

その時はあなたが国を救った英雄となるのだから」

「アスターシア皇女殿下……あなたは一体何に怯えておられるのですか?

何を見て、何を知ったのですか?」

「……ごめんなさい、答えられないわ。

けれど私を止めるには殺すしかないことを覚えておいてほしいの」


──今はそこまでの代物を開発できなくても、

いずれは能力そのものを封じられるようになれば……。

そうなればもっと安全度は増す。

アスターシアは本当に何でもできてしまう。

記憶力も良いし、きっと身体能力だって普通の女の子からしたら桁違いだろう。

だとしても彼女を『最凶』の存在にしている能力さえ封じられれば。

たとえ身体能力が高くてもその身は女の子だから、

物理では負けるだろうと考えている。


「よろしくお願いしますね、カノナス師団長」

「……」


にっこりと私は笑みを浮かべて目の前で苦しげな顔をしているカノナス師団長に微笑みかける。

これで弟たちを守るための戦力は増えた。

──まずは能力を制限しないと。



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