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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編2年生
98/123

近い将来

「美乃梨、私はそろそろ向かうが、一緒に行くか?」


「はい!お父様達は後から来るんですよね?」


「ああ。煌と架も後から来るそうだ。」


「稔も行きたがってましたね。」


「まあ、午後からは参加出来るのだから良いだろう。」


稔は今日、どうしても抜けられない撮影があるらしく、響彼くんと一緒に午前は仕事に行っている。どうやらこの前話していたドラマの放送記念のものらしい。


「稔がドラマに出るんですって!架もCMに出演しているし……なんだか少し遠い存在になったみたいです。」


私がそう言うと、琥珀伯父様は私の頭の上にポンッと手を置いた。


「そんな事ない。稔も架も変わらず美乃梨の弟だ。」


「そうですね。」


そして貴翠と京翠と京駕さんを呼び、式場へと向かう。

今日の結婚式は倉津木家の経営しているホテルで行われる。


「美乃梨様、千夏様はブーケトスをなさるそうですが美乃梨様も参加されてはどうですか?」


「私はしないわよ。出来れば、和歌さんか律ちゃんに受け取って貰いたいわね。」


「和歌様は分かりますが、どうして律様も何ですか?」


京翠がそう聞いて来た。

すると京翠の隣の貴翠は呆れたように溜め息をついた。


「京翠、気付いていないのか?」


琥珀伯父様がそう言った。

私や伯父様でも知っている事なのに京翠はまだ気付いていないらしい。


「そう言えば和歌さんは煌達と同じタイミングで来るのよね?」


「はい。千夏様方に挨拶をなさるそうですから。」


和歌さんは恋咲家の本家の魔法使いである響彼くんの正式な婚約者となった為、五家の上層部への挨拶が必要となっている。


「私も助けになれると良いのだけれど。」


「煌様や架様や聡様がついていらっしゃいますし、午後からは響彼様も合流されますから大丈夫ですよ。」


「そうね。何も無いと良いけれど。」


私がそう呟くと琥珀伯父様が言った。


「和歌さんは確か魔法使いとは関係ない一般人だったな?少々厄介な輩が居るかもしれんが……最悪の場合、私が助けに入る。」


「心強いです。」


そして式場であるホテルに着くと、すぐにスタッフさんに案内された。


「碧依くん、久しぶり!結婚本当におめでとう!」


「久しぶりだね、美乃梨。結婚祝い届いたよ。お茶のセットありがとう。美味しく頂くよ。」


案内されたのは碧依くんの控室だった。

琥珀伯父様はと言うと……


「私は驚かしたいから後から行く。美乃梨達は先に行ってくれ。」


などと言い、少し後ろから歩いて来ている。

そして私達が話していると琥珀伯父様は入って来た。


「久しぶりだな、碧依。結婚おめでとう。」


「父上、お久しぶりです。お祝いの言葉、ありがとうございます。」


「はあ〜、少しくらいは驚いたらどうだ?頼むから茉乃凛と同じ反応をしてくれるな。」


「驚いてますよ、十分。」


「そうは見えないが……それより碧依の奥さんも紹介して欲しい。紅音には昨日会って二千花さんを紹介して貰ったからな。」


そして碧依くんは千夏さんの控室まで案内してくれた。


「千夏、入っても良い?」


「ええ。」


ドレスアップされた千夏さんはいつもよりも更に綺麗で思わず見惚れてしまいそうになった。


「千夏さん、ご結婚おめでとうございます。そのドレス凄く似合っていてとても素敵です!」


「ありがとうございます。美乃梨さん、今日のブーケトスには是非参加して下さいね。」


千夏さんはふふっと笑いながらそう言った。


「お邪魔でないなら。」


私がそう返すと千夏さんは嬉しそうに微笑んだ。


「千夏は父上に会うの初めてだっけ?」


碧依くんが千夏さんにそう尋ねた。


「ええ。お義母様(茉乃凛)からお話は伺って居たけれど。」


「紹介するね、僕の父です。」


碧依くんがそう言うと、私の隣に居た琥珀伯父様は一歩前に出て千夏さんに挨拶した。


「初めまして。倉津木琥珀です。碧依の事をこれからも末永くよろしくお願いします。」


「初めまして。九条千夏です。これからよろしくお願いしますね、お義父様(とうさま)。」


琥珀伯父様は千夏さんのご両親にも挨拶があるからとその場に留まり、私は貴翠と京翠と共に、式が行われるホールに移動した。


「千秋!おはよう。千夏さんの結婚おめでとう。」


「ああ、ありがとう。貴翠さん、京翠さん、おはようございます。」


「おはようございます、千秋様。」


「千秋、景くん達はまだ来ていないの?」


「ああ、まだ来ていないな。もう直ぐ来ると思うが。」


千夏さんは先日18歳になり、22歳を迎えると同時に当主になる事が決まっている九条家の次期当主なので結婚式に集まる人数が他の人達とは桁違いだ。


本来なら結婚式の前に婚前パーティーなどを行う筈だが、ここ最近は色々な出来事が起こった為、そのパーティーを行う事が出来なかった。その為、今回の式はいつも以上に盛大なものになっているらしい。


「美乃梨様と千秋様もあと4年後ですね。」


「貴翠、分かっているからわざわざ千秋の前で言わないでよ!」


「美乃梨様は相変わらずお可愛らしいですね。」


「からかってるの?」


「とんでもない。褒め言葉でございます。」


貴翠は私に前世の事を話してからというもの私を度々からかっている。まあ、堅苦しい関係よりは良いけれど。


少しして、お父様達と一緒に煌と架がやって来た。


「千秋さん、この度は千夏さんのご結婚おめでとうございます。」


煌が代表して千秋と挨拶を交わした。


「ありがとう。」


そして景くん達と合流した少し後、結婚式が始まった。


白いウェディングドレスに千夏さんの綺麗な黒髪がとても映えていて美しかった。碧依くんのタキシード姿もとても似合っていて、お似合いの2人だなあ、と感心していた。


今回の結婚式には一般人も多く出席している為、ごく一般的な式だった。


「では、新婦様によるブーケトスを行います。参加される方は前の方へお越し下さい。」


司会の人がそうアナウンスをした。


「美乃梨、行くよ!千夏から美乃梨を連れてくるよう頼まれてるから!」


私はそうして律ちゃんに引っ張られながら前の方へ行った。中々に大きい式なので、ブーケトスに参加する人数も多い。


「和歌さんも行きましょう!」


律ちゃんと前に向かう途中、聡兄様達の所を通った為、和歌さんの事も連れて行った。


「美乃梨ちゃん、私は別に……」


「私も律ちゃんに連れて来られたので、まあ、思い出って事で参加しましょう。」


「行きます」


と千夏さんが言い、ブーケが宙を舞った。

ブーケは頂点まで上がると降下して来た。

気付けば隣に居る和歌さんの腕の中にすっぽりと収まっていた。


「和歌さん、おめでとうございます!」


「ありがとう、美乃梨ちゃん。」


そして、披露宴が始まる少し前、響彼くんと稔が到着した。響彼くんは会場に着くなり和歌さんの事を聞いて来た。


「美乃梨、和歌は?」


「聡兄様と花央さんと一緒に居ると思うわ。」


「分かった。ありがとう。」


「あ、響彼くん。和歌さん、受け取ってたよ!」


私がそう言うと、察しの良い響彼くんはすぐに意味が分かったようで、嬉しそうに笑って行った。


そして披露宴が始まった。


司会を務めているのは二千花さんで、新婦の友人代表の挨拶は花央さんがするそうだ。


「では新婦の友人を代表して、恋咲花央さん、お願いします。」


「ご紹介に預かりました、恋咲花央です。新婦、九条千夏さんとは千夏の物心がつく前から仲良く過ごしてきました。千夏は昔から大人びていて、6歳も年下なのに年の差を感じさせない人でした。ですが、新郎、倉津木碧依さんの前では年相応の可愛らしい子で居る姿を見て、私はこの2人は将来夫婦になるだろうなと確信していました。しっかりしているけど周りに素直に頼る事の出来ない千夏には包容力があり穏やかな性格の碧依さんの存在がとても大きいと思います。そんな2人ならきっと暖かい素敵な家庭を築いていく事が出来ると思います。千夏、本当におめでとう。」


花央さんはとても素敵なスピーチをし、礼をした。

花央さんの礼と同時に会場は大きな拍手に包まれた。

その後、ケーキ入刀や食事などをし、新郎新婦は一度退場した。


お色直しをし、新郎新婦の再入場。

ブルーのドレスに身を纏った千夏さんは相変わらず綺麗で碧依くんも幸せそうな表情をしていた。


「では、余興に移ります。恋咲聡さん、恋咲律さん、倉津木紅音さん、神崎那央さんよろしくお願いします。」


聡兄様と律ちゃんと紅音くんと那央さんは前に出て大きなスクリーンとプロジェクターを用意した。


「新郎、倉津木碧依さんの成長記録をムービーにして皆様にお見せします。」


聡兄様がそう言うと、律ちゃんが映像をスタートさせた。


赤ちゃんの頃の碧依くんは茉乃凛伯母様そっくりだった。4、5歳くらいの泣いている碧依くんを紅音くんが慰めてあげている映像が流れた時、


「ちょっと、この映像入れたの誰!?」


と焦ったような碧依くんの声が響いた。

千夏さんは微笑ましそうに見ていた。


赤ちゃんの私を碧依くんが抱っこしている写真も出て来た。碧依くんは本当にお兄ちゃんみたいだった。


そして次に、新郎から家族への手紙に移った。


「父上、母上、兄上。20年間育てて頂き、本当にありがとうございました。父上とは数年に一度しか会えず、会えた時は夜が更けるまで話を聞いて貰いました。当主として忙しくしていた母上ともあまりまともに話せる機会はなく、兄上には特にお世話になりました。年の近い兄上には色々助けて貰う事がありました。今でもよく相談に乗って貰う事がありますが、いつでも優しく助言をくれる兄上を尊敬しています。これからも色々相談に乗って下さい。千夏と結婚して今までとは違う名字を名乗る事になりますが、家族としてこれからもよろしくお願いします。」


碧依くんのスピーチに、紅音くんはふっと笑みをこぼした。そして会場は盛大な拍手に包まれた。


両家代表の挨拶や記念品の贈呈なども終わり、披露宴は幕を閉じた。


***


「美乃梨、少し良いか?」


そう声を掛けて来たのは千秋だった。


「貴翠、少し席を外すとお父様達に伝えてきてくれる?」


「承知致しました。」


私は千秋とボディーガードとして側に居る京翠と一緒にホテルの中にあるカフェに向かった。


「どうしたの?」


「いや、特にこれといった用事があったわけではない。ただ、久しぶりにゆっくり話したいと思っただけだ。」


「そう。あ!千夏さん、凄く綺麗だったわ。碧依くんもとても幸せそうだったし。私も4年後には結婚式を挙げてるのかな、なんて思ったりして。」


「そうだな。その時に隣に居るのは俺だと嬉しい。」


「千秋に決まってるでしょ?」


私がそう言うと、千秋は嬉しそうに笑った。


「分かってて聞いたわね?」


「悪い。つい聞いてみたくなって。姉上の式を見て、俺も近い将来、こんな幸せな式を挙げられると良いなと思ったんだ。」


私と千秋がそう話していると、私の隣に座っている京翠が言った。


「お2人とも結婚式の前に、来年には婚約発表パーティーがありますよ。」


「そう言えば、そうだったわね。」


千秋はまだ、婚約者候補であって婚約者ではない。

来年の私の誕生日に婚約者は発表される。


「その頃には京翠の婚約者も決まっているのかしら?」


「どうでしょう。今年一年は忙しくなりそうですから、分かりませんね。」


京翠は少し目を伏せながらそう言った。


「そうね。京翠、頼りにしているわ。」


「ありがとうございます。この身を捧げ、美乃梨様をお護り致します。」


「千秋も、色々頼らせて貰うかもしれないけれど、よろしくね。」


「ああ、遠慮せず頼ってくれ。」

倉津木碧依 誕生日5/3


次回もお楽しみに!

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