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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編2年生
82/123

新入生歓迎会

「みのりん!おっはよ〜!」


「おはよう、ユーリちゃん!」


「今日は私も部員募集のビラ配り行くから一緒に行こ〜!」


私はユーリちゃんと一緒に昇降口前に向かい、バスケ部で集まっている所にチラシを受け取りに行った。


「美乃梨と千秋と真央はとにかく笑顔で配ってくれ。入部希望が増えるはずだから。」


キャプテンである3年生の先輩にそう言われて私と真央くんは返事をしたが、千秋は即答で断った。


「無理です。意図して笑おうとすると顔が引き攣るので。」


「なら美乃梨と一緒に配っとけ。」


「何故ですか?」


「美乃梨といる時の千秋は無意識だろうけど笑顔が多いからな。爽夜と透と篤季はバスケ部の仲の良さを猛烈にアピールして来てくれ。」


「「「はい!」」」


そして1年生が登校し始めた。

1年生以外の生徒は何かしらの部活に所属しているので今日の新入生歓迎会に向けての準備や部活勧誘に勤しんでいる。


「あ、美乃梨さん!おはようございます!」


「瀧くん、おはよう。部活動についてもうどこに入るか考えてたりする?もし、決まってないのなら是非バスケ部に来てね。はい、これチラシ。」


「ありがとうございます!元々バスケ部希望っス!」


「そう、良かったらお友達も誘ってね。」


「はい!」


瀧くんが校内に入って行った後、令也くんが来た。


「恋咲先輩、おはようございます!」


「おはよう、令也くん。何の部活に入るか決めて居ないなら是非バスケ部に来てね!」


「バスケ部!?俺、小学校のクラブでバスケ部でした!」


「そうなの?」


「自分で言うのはあれやけど、それなりに強い自信あります!」


令也くんは笑顔でそう言った。


「そうなの?実はこの先輩も凄く強いんだよ。ね、千秋?」


私がそう問い掛けると、千秋は少し答えにくそうに言った。


「自慢出来る程では無いが、それなりに強いと自負している。」


「そうなんですか!?俺、先輩と1on1やってみたいです!絶対入部するんで待ってて下さい!」


「ああ、楽しみにしてる。」


そして登校時間になるまで勧誘のチラシを配った。


「みのりん!さっき令也と話してなかった?」


「うん!令也くんがバスケ部に入るって言ってくれたの!」


「やっぱりそうだよね〜。家で令也に放送部勧めてたのに絶対バスケが良いって。」


ユーリちゃんは口を膨らませながらそう言った。


教室に戻ると予鈴ギリギリだった為、殆どの席が埋まっていた。


「美乃梨、お疲れ〜。」


「和真くん、今日は遅刻じゃないんだね。」


「ああ。今日は美乃梨の方がギリギリだな。俺は新入生歓迎会の準備だったから早く来てだけど結構すぐに終わったから景と朝練してた。そのせいで今凄え腹減ってるけど。」


「早いね。それに、4限目体育だけど大丈夫なの?」


「まあ、何とかなるだろ。」


そして三日月先生が入って来てホームルームが終わり、1限目の学級活動に入った。


「今日は早速再来月にある宿泊学習について係や役割を決めて貰う。しかし、その前に皆んなに決めて貰わないといけない役割がある。学級委員だ。立候補でも推薦でも良いので男女1人ずつ決めてくれ。」


立候補も推薦も中々直ぐには上がらない。

後ろの席の和真くんが、私に向かって言って来た。


「美乃梨、千秋と一緒に学級委員してみたらどうだ?」


「う〜ん、私はいいかな。和真くんはリーダーシップもあるし、向いてると思うよ?やってみたらどう?」


「そうか……?」


和真くんは少し迷っている様子だった。

すると、ユーリちゃんがピシッと手を挙げた。


「お、秋月。やってくれるのか?」


「はい!楽しそうなので!」


「秋月は決定な。男子は誰が、」


「俺、やります!」


先程まで悩んでいた和真くんはユーリちゃんに決まるや否や、直ぐに挙手をした。


「坂下、気合十分だな。じゃあ軽く、学級委員2人から挨拶してくれ。ほら、早く前に来て」


「秋月優里です!楽しいクラスに出来るように頑張るので皆んなも協力よろしくね!」


「坂下和真です。秋月と同じく楽しいクラスに出来るよう頑張ります!」


その後宿泊合宿の役割や係を決め終えた。


「就寝班は来週までに決めておくように。」


宿泊合宿に向けて、皆んな気持ちが高まっている。


「みのりん!就寝班絶対一緒になろうね!」


「ええ、4人班だからあと2人誘わないといけないわね。」


「じゃあさ、」


ユーリちゃんはそう言いかけると2人を連れて来た。


「星川ちゃんと眞木ちゃん誘うのはどう?」


「2人が良いなら私は大歓迎だけど……?」


すると、音さんも羽音ちゃんも同じ班になりたいと言ってくれた。


「ありがとう。宿泊合宿が待ち遠しいわ!」


私は出来る限り笑顔で微笑んだ。


お昼休みが始まり、皆んなそれぞれ教室で食べる子も外で食べる子も居る。転入したての頃は千秋達とお弁当を作り合ったりもしていたけれど、色々忙しい為、今はもう無くなってしまった。


私は少し相談事があった為、三日月先生の居る英語準備室へと向かった。


軽くノックをすると、中から返事が聞こえ、扉を開けてくれた。


「あれ、京翠も居たの?」


京翠は今朝から少し調べ物があると言いあまり教室に顔を見せていなかった。


「少し報告がありまして。美乃梨様の方こそどうされましたか?」


「三日月先生に相談があったから。お弁当も持って来てしまったわ。」


三日月先生は私にソファを勧め、お弁当に手をつけた。


「で、恋咲。相談って?」


「あの、私の寿命についてなんですが……」


私がそう口に出すと、三日月先生は直様準備室内に防音魔法を掛けた。


「何だ?」


「リクスお兄様から教えて頂きました。私と煌の生き延びる確率は半分。しかし、昏睡状態から目覚める確率は5パーセント以下だそうです。」


「……その事を知っているのは?」


「私と煌、リクスお兄様。そして貴翠と京翠と京駕さんの6人です。」


「……はあ、どうしてそんなに大事な事を言わないんだ?

薫さん達に言うつもりは無いようだな。九条達にはどうするんだ?確率の話とはいえ、かなりの誤差だぞ。」


「詳しく聞かれない限り、今のところ私から話すつもりはありません。もし、私が生き延びれなかったり、昏睡状態に陥った場合の周囲への説明をお任せしても良いですか?」


「俺は、話した方が良いと思う。恋咲、九条達の立場になって考えてみろ。」


三日月先生は私の目をじっと見つめながらそう言った。


「……言えません。」


「何故だ?」


「そんな事を言ってしまえば、ただでさえ暗い雰囲気がもっと重くなってしまいますから。」


「恋咲、その言葉は自分の顔を見てから言いなさい。」


「……?」


その時、準備室の扉が開いた。

そこに立っていたのは、篤季と景くんと千秋と真央くんが立って居た。


「美乃梨ちゃん!秋月さんから、美乃梨ちゃんが無理してそうだったから様子見て来てあげてって言われたよ。」


「美乃梨お嬢様が無理していた事は分かってたのに。僕には何も相談してくれないからって勝手に拗ねてました。」


「美乃梨の教室に遊びに行ったら、美乃梨は居ないし景達は焦った様子だったから一体何があったの?って思ったよ。」


「美乃梨が俺達に何か隠してる事は知ってた。どうせいつもの我慢だろうから後で聞き出そうと思ってた。でも、秋月に美乃梨が泣きそうな顔だったって聞いて……」


心配してくれる4人を前に、私は気付けば涙を零していた。


「絶対に言わないつもりだったのに……」


私は隠していた事を皆んなに話した。

心の中では、真央くんや、篤季なら『美乃梨お嬢様なら大丈夫です!』と励ましてくれると期待しながら。


でも、現実はそんなに上手くはいかなかった。皆んな、茫然とその場に立ち尽くして、微動だにしなかった。


「こういう暗い雰囲気になると思ったから皆に言わなかったのに。……やっぱり、聞かなかった方が良かったでしょ?」


私がそう聞くと、千秋が答えてくれた。


「聞いていなかったら、きっと後悔していた。」


「なら、どうして皆してそんなに暗い顔をするのよ?」


私は少し口元を緩めながらそう聞いた。別に理由が聞きたい訳ではない。暗い雰囲気を少しでも紛らわしたかっただけ。


「午後からは新入生歓迎会何だから、暗い顔は1年生を怖がらせるよ?特に千秋!」


「俺は元々こういう顔だ。」


私と千秋のやり取りを見て、篤季と景くんと真央くんは自然な笑顔を見せてくれた。私も自然と笑顔になった。


「……皆、ありがとう。ユーリちゃんにもお礼を言ってくるから私は先に教室に戻るね!三日月先生、ありがとうございました!」


私は足早で教室へと向かう。


「ユーリちゃん!」


「ふぇ!?どうしたの、みのりん?」


「ありがとう、大好き!」


「うん、私もみのりん大好きだよ。元気になったみたいで良かった。」


「恋咲先輩ってホンマに優里と仲良いんですね?」


ユーリちゃんの事しか見ていなかった私は、令也くんと瀧くんの存在に今まで気付けていなかった。


「令也くんと瀧くん、どうしてここに?」


「優里に弁当持って来たついでに一緒に食べようと思って。瀧も優里と仲良いみたいやったので。」


「美乃梨さん、優里さんの事しか見てないから全然俺らに気付いてなかったっスね。」


「ごめんね、お昼の邪魔して。」


「いえ、もう食べ終わってますんで。あ、美乃梨さん!この前テレビ見ましたよ!歌凄えかっこよかったっス。」


瀧くんはキラキラした目で褒めてくれた。


「ふふ、ありがとう。そう言えば、ユーリちゃんと瀧くんってそんなに仲良よかったの?」


「うん!私、雅美と仲良いからね。それに、柄灯くんより瀧くんの方が先に仲良くなったんだよね。」


「優里さんとは同じ放送委員でしたし、それに、優里さんは俺の憧れの人なんで!俺、優里さんの事、凄え好きっす。」


その時、ガタッと椅子から立ち上がる音が鳴った。

音の主は、話を聞いていたらしい和真くんだ。少しして我に返ったようで、直ぐに椅子に座り直し、爽夜くんにからかわれているようだった。


「私も瀧くんの事好きだよ〜

令也と違って優しい弟って感じがするし。」


「何やねん、俺は優しくないって事か?」


「別に優しくないでしょ?ねえ、瀧くん、みのりん聞いて!令也ったらノックもせずに人の部屋に入って来るの!他にも布団を引き剥がして来たり、朝から大声出して来たり……」


「ええ、令也。従兄弟とはいえ、勝手に部屋に入るのは流石に……」


「何勝手な事言ってんねん、瀧!ノックも何も外から声掛けてるし、しかも優里が自分で起きてこーへんのが悪い。」


「何だよ、起こしてるだけか。俺ん家は凪以外基本皆んな朝型なんで面倒臭いのは凪を起こす時っすね。まあ、男同士なんで殴り合いも普通にありますし、基本は叩き起こします。それか、泉と雫に起こして貰います。あー見えて結構シスコンなんで2人が起こしたら直ぐに起きるんですよ。」


瀧くんは面白がるように笑った。


「瀧くんは誰かに起こされた事とか無いの?」


「基本は無いっスね。あ、でも偶に泉が起こしに来ます。俺は凪と同じ部屋なんで、泉が起こしに来るのを待つ時もありますね。泉には朝から癒されるんで感謝しかありません。」


「って、瀧。お前も凪先輩と同じシスコンやんけ。」


「確かに泉ちゃん可愛いよね。稔が最近泉ちゃんとメッセージのやり取りをしているみたいなのよね。」


「らしいっスね。泉が(まさ)兄のお下がりのスマホを貰ってからよく稔の話を聞くので。まあ、泉が嬉しそうなので良いッスけど。」


瀧くんが少し投げやりにそう言うと、ユーリちゃんが言った。


「瀧くんは本当に泉ちゃん大好きだよね〜!でも泉ちゃんもそろそろ嫌がるんじゃない?」


「そうっスね。この間、母さんにお使い頼まれてたので俺も着いて行くって言ったのに『子供扱いしないでよ!』って怒られたばかりです。」


「やっぱり。瀧くん折角モテるのに。ねえ、みのりん聞いてよ!瀧くん毎年バレンタイン凄いんだよ〜。1人じゃ食べきれないくらいのチョコ貰って、しかも全部本命だからラブレターか告白されながら。まあ、みのりん達に比べたら少ないけど。」


ユーリちゃんの言葉に瀧くんはげっそりした顔で言った。


「別にモテたくてモテてるわけじゃないっス。俺、甘いのそんなに好きじゃないのに……毎年バレンタイン明けは胸焼けしてます。」


「そんな事言いながら、ちゃんと全部自分で食べるし、ラブレターの返事もチョコのお返しもしてあげてるもんね。」


瀧くんは根が真面目らしく、苦手なチョコも本命だからと自分1人で食べるらしい。


「瀧、むっちゃ真面目やな。俺、バレンタインに貰ったチョコ食べ切れんかったから友達と一緒に食べたのに。」


「ねえ、みのりん。どうして私の周りはこんなにモテまくってるのに私は誰にも告白されないの?私も誰かに告白されてみたい……」


ユーリちゃんは机に突っ伏しながらそう言った。



―爽夜目線―

 昼休みが始まり、千秋達と弁当を食べようと思ってたが、美乃梨を心配して俺と和真だけになった。和真は弁当を食べながらずっと秋月の方を見ていた。

原因は、急に出て来た恋敵だと思う。昼休み始まりのチャイムの後直ぐに来たのは瀧と秋月の従兄弟らしい。


「で、和真はどっちが気に入らないんだ?」


「従兄弟の方は良いんだけど、扱いが弟みたいだし。凪の弟の方は……」


「瀧な。まあ、小学校の頃から瀧と秋月って仲良いイメージあるしな。」


和真はしばらく瀧と秋月を交互に見ていた。が、美乃梨が来て状況が変わった。


「ふふ、ありがとう。そう言えば、ユーリちゃんと瀧くんってそんなに仲良よかったの?」


「うん!私、雅美と仲良いからね。それに、柄灯くんより瀧くんの方が先に仲良くなったんだよね。」


何も知らずに呑気に話している美乃梨達。


「優里さんとは同じ放送委員でしたし、それに、優里さんは俺の憧れの人なんで!俺、優里さんの事、凄え好きっス。」


瀧がそう言った途端、和真がガタリと音を立てて席を立ち上がった。直ぐにハッと我に返ったようで席についた。


「もし仮に瀧が秋月の事を好きだとしても、さっきのは誰が聞いても恋愛感情の好きじゃねえだろ。どんだけ焦ってんだよ。」


と俺は和真をからかってみた。

すると予想外なことに和真は悔しそうな顔で言った。


「んなの、分かんねえだろ。もしかしたら今ので秋月が瀧の事を意識し出したかもしれねえし。」


「そんなに気にしてんならさっさと告れよ。」


だが、和真の心配は取り越し苦労だったようだ。


「私も瀧くんの事好きだよ〜。

令也と違って優しい弟って感じがするし。」


秋月はサラッとそう言った。


「弟だってよ。意識はしてねえと思うぞ。」


俺の言葉を聞いているのか聞いていないのか、

和真は「ああ」とだけ答えた。


「別にモテたくてモテてるわけじゃないっス。俺、甘いのそんなに好きじゃないのに……毎年バレンタイン明けは胸焼けしてます。」


瀧のその言葉に、教室に居る男子の大半が瀧の方を見ただろう。それなりに大きい声で話していたのに、サラッととんでもねえ事を言った。


(瀧、その発言は皮肉だと思われるぞ。)


俺は心の中で瀧を諫めた。


「そんな事言いながら、ちゃんと全部自分で食べるし、ラブレターの返事もチョコのお返しもしてあげてるもんね。」


秋月の無意識?フォローのお陰か瀧へ向けられていた視線の多くは遠のいた。


そして、秋月は和真をからかう道具を出してくれた。


「ねえ、みのりん。どうして私の周りはこんなにモテまくってるのに私は誰にも告白されないの?私も誰かに告白されてみたい……」


「だそうだ。誰かに告白されたいんだとよ。今なら失敗しても意識されると思うぞ?早くしないと誰かに先越されるかもな?秋月、髪切ってから少しずつモテ始めてるし。」


「え?」


「え?ってお前、知らなかったのか?お前の前では言い辛いけどさ、正直去年の秋月ってまだ小学生らしかったんだよ。でも、髪切ってから大人っぽくなったとか言われてる。まあ雰囲気変わったからな。」


和真はサーと青くなった。


「秋月の事好きって言った奴は?」


「去年秋月と違うクラスだった奴が大半だな。本当に早く告った方がいいと思うぞ、和真。」


「分かってる。でも、まだ心の準備が……」


(面倒臭せぇ)


「再来月には宿泊合宿もあるわけだし、イベントでの告白は成功しやすいらしいって美乃梨が言ってた。」


「そうか。ありがとな、爽夜。」


素直に感謝されるのはむず痒い。特に、和真みたいな素直過ぎる奴には、たまに惑わされる。


「お、おう。頑張れよ。」



 お昼休みが終わり、新入生歓迎会がある為、私達は体育館へと向かった。その中に部活紹介も含まれており、バスケ部は3年生が部活紹介をする事になっている。


校歌を歌ったり、クイズをしたりして楽しんだ後、部活紹介が始まった。この学校の部活は種類が豊富なので1つの部活に3分程しか時間が与えられていない。

バスケ部は男子キャプテンの原田(はらだ)晃太(こうた)先輩と女子キャプテンである光奈先輩がバスケ部の説明をし、残りのメンバーは音楽に合わせてドリブルをついている。


全ての部活紹介が終わり、


《では、この後は各自体験したいと思う部活動の場所に向かって下さい。各部活動の部長は体験を希望する新入生を体験場所に案内して下さい。》


と言う放送が流れ、私はいつもバスケ部で使う体育館の後ろ半分のコートに移動した。


「美乃梨お嬢様、新入生、沢山来てくれると良いですね!」


「そうね。篤季、チラシ配り頑張っていたものね。」


私が篤季とそう話していると、透くんが言った。


「いや、多分凄え人数来ると思うぞ?」


私と篤季と隣で話を聞いていた千秋は皆揃って首を傾げた。

すると、爽夜くんが透くんに同調して頷きながら言った。


「いや、チラシ配ったメンバーを考えろよ。真央先輩だろ?それに千秋と美乃梨、篤季だって顔整ってるんだからさ、来ねえわけねえだろ!」


「そうか?」


千秋はまだ納得していないようだ。


「何がそうか?だよ!確かに千秋の周りは美形ばっかだから見慣れてんのかも知れねえけど、普通はそんなに美形が集まる事なんてねえんだよ。俺はもう慣れたけど。」


爽夜くんの言葉に、千秋はそうなのか、と感心したような顔をした。そして直ぐにキャプテン達が新入生達を連れてやって来た。


「まず、未経験者と経験者に別れてもらうから、美乃梨と透と篤季は未経験者側、千秋と爽夜は経験者側の方の体験を手伝ってくれ。」


爽夜くんや透くんの言葉通り、集まって来た人数はそれなりに多かった。そして、その内の三分の二以上は未経験者だったので、部員の半数以上が未経験者側に割り振られた。


まず、3、4人ずつグループを作って貰って、1グループに1人の部員がつくことになっている。私は、自分が担当になったグループの子達に自己紹介をした。


「2年4組の恋咲美乃梨です。まずは中学生用のバスケットボールを持ってみて下さい。こっちの6号球が女子バスケのボールのサイズで、こっちの7号球が男子バスケのボールのサイズです。」


新入生の子達はボールを持つと少し上に投げてみたり、バウンドをつかせてみたりした。


「小学校の頃のよりも大きいし重いです。」


「そうよね。じゃあ次はハンドリングをします。」


ハンドリングの見本を見せた後、皆んなにもやって貰う。

遅くても少し詰まっても、皆んな一度も落とさずにハンドリングを終えた。


「次は、このグループだけじゃなくて、他のグループとも一緒にパス練習をします。」


私は篤季と透くんに声を掛けた。

そしてハンドリング同様パスも見本を見せた後、体験して貰った。


体験後、新入生の皆んなに感想を聞いた。


「凄く楽しかったです!」


「ボールが思ったよりも重くて疲れました。」


「あまり上手く出来なかったけど、入部して、もっと上手くなりたいです!」


それぞれ楽しんでくれていたみたいでほっと安堵した。


「皆、是非バスケ部に来てね。」


そして経験者側の体験も終わったようで新入生達は体育館を出て行った。


「美乃梨、透、篤季!未経験者(そっち)側はどうだった?」


「皆楽しそうだったよ。爽夜くん達の方は?」


「いや、もう凄え焦った。瀧に関してはそれなりに強いのは知ってたんだけど、令也!あいつ凄え強え。」


爽夜くんは興奮したようにそう言った。

すると透くんが、爽夜くんの後ろに居た千秋に問いかけた。


「千秋はどうだったんだ?」


「想像以上に強かった。俺達も油断していたら直ぐに追い抜かれる。」


少し弾んだ声が、余程楽しかったという事を物語っていた。


「マジか。今日って練習無いよな?千秋、一緒に残って練習しようぜ!」


「ああ。勿論だ。」


そして皆んなで最終下校まで自主練習をした。


「新入生、入ってくんの楽しみだな。」


爽夜くんが練習終わりにそう言った。


「そうだね。女子の方は人数が足りてないから出来れば多めに入って来て欲しいかな。」


私は明日を待ち遠しく感じながらそう返した。

次回の投稿もお楽しみに!

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