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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編2年生
75/123

伝えないといけない事

「ええ。何年だって待っている……わ」


「美乃梨お嬢様、どうしましたか?何か、あるんですか?」


私は話している途中に卒業式の後、響彼くんと話した事を思い出した。


「えっと、どう話したら良いのか分からない。京翠、ちょっと来てくれる?」


私は京翠を連れて少し離れた。


『私と煌の寿命の事って話した方が良いのかしら?』


『そうですね。改めて、響彼様から皆様に報告はあるでしょうけど、篤季には美乃梨様からお伝えした方が良いと思います。』


そして貴翠と篤季の所に行った。


「貴翠、篤季。私と煌は今のままでは18歳になる頃に死んでしまうらしいの。」


「は、い?」


「……私は、以前、薫様が開かれた会議の時から存じておりました。」


「そうなの。千秋達にも伝えた方が良いのかしら?」


「伝えないおつもり何ですか……!?」


「伝えないつもりと言うか、響彼くんが後から皆んなに伝えるらしいから、態々私から伝えなくても。」


私がそう言うと、篤季が言った。


「美乃梨お嬢様から伝えてあげて下さい!」


「あ、篤季。大丈夫?」


篤季は涙を拭いながら頷いた。


「大丈夫です。それよりも景達には美乃梨お嬢様から伝えて下さい。」


「分かったわ。でも、流石に今日は伝えない。折角の聡兄様達の結婚式だったんだから。篤季も変な事言ってごめんね。」


「……変な事では、っ僕は後から聞かされるよりずっと良かったです。景達もそうだと思います。早くしないと帰ってしまいますよ。時間が経てば経つほど言い辛くなると思います。」


「確かにそうかもしれないわ。……分かった。千秋達を私の部屋に連れて行くからシャルルにお茶の用意を伝えてくれる?」


私がそう聞くと、貴翠と京翠は首を振った。


「私達が呼んで参りますので、美乃梨様はお先にお部屋に向かって下さい。」


「?ありがとう。」


そして、貴翠、京翠、篤季は千秋達を呼びに行ってくれた。私は部屋に向かい、シャルルにお茶を頼んだ。


「美乃梨様。大丈夫ですか?」


「えっ?何のこと?」


「いえ。少し怖い顔をしていらしたので。」


私は安心させるように微笑んだ後、言った。


「大丈夫よ。伝えると決めたのは私自信だから。」


「そうですか。美乃梨様、もし言い辛くなったら私に頼って下さって構いませんからね?」


「ええ。その時はそうさせて貰うわ。」


そして千秋達を連れて、3人は戻って来た。

急に連れて来られた景くんと千秋と真央くんは、何が何だか分からないというような表情をしていた。


「美乃梨ちゃん。急にどうしたの?」


「赤い目をした篤季に急に呼ばれたんだけど?」


「何かあったのか?」


私は意を決して3人に顔を向けた。


「今から話す事は結構重い話だし、折角の明るい空気が全部消えちゃうけど、それでも聞きたい?もし嫌なら言わないから。」


私がそう言うと、少し長い沈黙が訪れた。


「……俺は聞きたい。美乃梨が何を抱えているのか知りたい。」


「僕も聞きたい。美乃梨ちゃんには、友達として頼って欲しいから。」


「うん、そうだね。僕も、今聞かないと後悔する気がするから聞きたい。」


「分かった。えっと、私ね、色々あってこのままだと5年後の18歳になる頃に死を迎えるらしいの。」


「「「…………」」」


(そうだよね、どうな反応をしたら良いか分からないよね。)


私は気まずさから少し目を逸らした。


「あ、でも絶対ってわけじゃなくて、回避する方法もあるみたい。でも……契約って言っていたのに勝手に無かった事にして良いのかな?」


「美乃梨!回避する方法って何なんだ?」


「確か、魔力の性質を変える?とかだった気がする。少し情報量が多過ぎて響彼くんが何を言っていたのか覚えられてないから。京翠と煌は覚えてると思うけど。」


「煌?」


真央くんがそう言った。

そう言えばこの事をまだ伝えていなかった。


「私と煌は前世、同じ人間だったそうなの。何でも有名な魔法使いだったらしいわ。煌と私が時空魔法を魔力に刻んでいるのも偶然ではなく必然的なもの何だって。」


「美乃梨ちゃんはどうしてそんなに平気そうなの?」


「平気と言うか……どうしようも無いから。死を回避するのだって成功するとは限らない。だから、今は笑っていたいって思うだけ。」


すると、貴翠が言った。


「美乃梨様。美乃梨様の前世についてですが、響彼様から名前を聞きました。デア・エミリアと言うそうです。勿論知っていますよね?」


「えっ、デア・エミリア……!?」


千秋達も驚いた顔をしている。

デア・エミリアは伝説の魔法使い。

特に、魔法使いなら殆ど全員が小さい頃に憧れる人。


「私、小さい頃からデア・エミリアに関して書かれている書物を何度も何度も読み返して憧れてたのよ。」


「そうでしたね。まだ英語が読めない頃の美乃梨様が和訳されていないデア・エミリアの本を持って来ては単語を教わりながら、英語の勉強をなさっていましたからね。」


「その憧れの人が私の前世!?」


「はい。そうですね。その時に、薫様が仰って居たのですけれど、デア・エミリアはご先祖様達の娘という噂があるそうですよ。」


「そうなんだ……、っ!?」


私がそう答えた時、頭の中に映画のワンシーンの様に情報が流れて来た。そう、家族会議をしていた時に架が話していたように。


中性的な顔立ちで目鼻立ちははっきりしている人が2人。私の見ている目線は低く、下から見上げている。片方の人は黒髪黒眼なのでアジア系なのだろう。そして7、8歳くらいに見える少年。これは私が見た景色?笑顔が溢れる温かい家庭。急に懐かしさが私の心を埋め尽くした。


「……乃梨様!美乃梨様!大丈夫ですか!?」


「え?」


「美乃梨様が突然黙られて、5分ほど呼びかけても中々気付いて下さらなかったので。」


「ごめんね。今、この間架が言っていた事と同じような事が起こって。」


「架様が?……誰かの記憶が流れてくると言っていた事ですか?」


「ええ。」


「美乃梨様、本当に大丈夫ですか?」


貴翠にそう言われた時、頬にツーと温かいものが流れた。


「少し、懐かしくなったの。多分、これは私の前世の記憶、何だと思う。これがデア・エミリアの見た景色なら少し分かった事がある。」


「何ですか?」


「デア・エミリアには兄が居たの。名前は、そう、フェリクス・イニティウム。噂は本当よ。2人ともご先祖様の実子。兄の方は今も生きていると思うわ。」


「そう何ですか。もしかしたら今後、会えるかもしれませんね。」


貴翠はそう言いながら微笑んだ。こういう時の貴翠は何かを隠している。デア・エミリアに関わる何かについて。でもきっと、私の事を思って、聞いても教えてくれない。だから私は……


「ありがとう、貴翠。」


「!……どう致しまして。」


貴翠は少し目を見開いた後、ふっと微笑んだ。


「皆んなに、一つだけお願いがあるんだけど……聞いてくれる?」


「ああ。」

「うん。」

「はい。」


「私、皆んなと旅行に行ってみたい。日帰りでいいから子供だけで。車もいつもみたいに京駕さんに運転して貰うんじゃなくて、自分達で電車とかバスに乗って旅行に行ってみたいの!」


「別に良いぞ?」


「そうだね。楽しそうだし。」


「うん。僕も行きたいと思ってた。」


皆んな賛成してくれた。

すると、京翠が不安そうな顔で言って来た。


「美乃梨様、私はその子供だけの旅行に含まれていますか?」


「確かに、京翠はもう成人するわね。でも、京翠を誘わないわけないじゃない。」


私がそう言うと、真央くんが言った。


「じゃあ明日は?」


「明日!?いくら何でも、急すぎない?皆んな空いてる日じゃないと。」


「でも、明日なら京翠さんはまだ成人してないし、多分これから忙しくなるから、早めにしないと。因みに僕は明日空いてるよ?」


「俺も空いてるぞ。」


「僕も。元々明日は何もする事がない日だったから旅行に行けるなら行きたい。」


「僕ももちろん空いてます!」


「私は美乃梨様のボディーガードですので、空いていなくても美乃梨様にお供致しますよ。」


「私もです。プライベートとして行くか仕事として行くかの違いであってついて行くことに変わりありませんから。」


と言うように話はどんどん進んで行った。

でも、そんなのお父様が許すわけない。そう思ってお父様の部屋へ行くと……


「楽しんできなさい。」


「えっ、良いんですか!?」


「美乃梨の我が儘が聞けるなら本望だからな。それに京翠達が付いてくれているのであろう?なら良い。七倉蓮介の件に関しても少しこちらの決め付けもあったそうだからな。ただし、知らない奴に話しかけられてもついて行ってはならないからな?」


「はい。」


部屋に戻ると、各々両親に確認を取り終わり、全員無事了承されたという事だった。


「行き先はどうする?」


「俺はどこでも。」


「僕も。それよりも発案者の美乃梨ちゃんは希望とかあるの?」


「桜が綺麗な所が良いわ。」


「なら、ここから1時間半くらいの所に桜の名所があるって。カヌーを漕ぎながら桜を見れるんだって。」


「凄い!楽しそう!」


「じゃあここに決定で良い?」


「うん!」


「じゃあ明日の朝7時に恋咲家集合で良い?」


「ああ。」

「うん。」


そしてとんとん拍子で日帰り旅行が決まった。

帰る前に、煌達も誘って良いかを聞けば皆んな頷いてくれたので、後で煌達も誘おうと思う。


「じゃあ、僕達はもう帰るね。」


「また明日、美乃梨ちゃん。」


「美乃梨、何かあったらいつでも頼れよ?」


「うん。ありがとう。3人とも、また明日。」


3人を見送った後、煌の部屋に向かった。

ノックをすると、ルカが扉を開けてくれた。

珍しい事に、煌の部屋に稔と架も居た。


「煌の部屋に3人揃っているなんて珍しいわね。」


「姉さん。煌から色々聞きました。」


「僕達も頼って欲しいです。」


「稔にも架にも色々頼っているわよ。私は煌と稔と架が元気なだけで私も元気になれるんだから。それより急なんだけど、明日日帰り旅行に行くことになったの。煌達も来ないかしら?」


「「「行きたいです。」」」


「じゃあ皆にもそう伝えておくわね。」


「あの、姉さん。一つ聞きたいことがあるんですけど良いですか?」


「?ええ。大丈夫よ。」


すると架は言った。


「先程、また頭に映画のワンシーンのような映像が流れて来ました。僕だけでは無かったようで、煌と稔にも同じ現象が起こったそうです。姉さんはありませんでしたか?」


「……あったわ。多分、前世の記憶が流れて来た。」


「煌と同じですね。僕と稔は煌と違って一瞬しか見えなかったんです。」


「私と煌が1人の魔法使いの生まれ変わりというのは聞いたわね?」


「はい。」


「煌達は一卵性の三つ子だから魔力的に凄く近いでしょう?多分、記憶の混同が起こっているの。兄弟でも親子でも魔力が近い人には偶に起こる事だと本に載っていたわ。」


「そうなんですね。教えてくれてありがとうございます。」


「いえ、どう致しまして。」


そして煌の部屋を後にして、自分の部屋に戻った。

明日の旅行が決まり、シャルルは嬉々として準備をしてくれている。


「美乃梨様、この服はどうでしょうか?動きやすそうで、美乃梨様にもよくお似合いになると思います。」


そう言いながらシャルルは何着もの服を出してくるので、ファッションショーのような状態になってしまった。カヌーに乗るので、比較的動きやすいシンプルな服装を選ぶと、シャルルは少し残念そうにした後、


「ヘアメイクには力を入れますね!」


と言った。

私は、ありがとうと言いながら微笑んだ。


「美乃梨様、慧星達がそろそろ帰るそうですよ。」


「そうなの?お見送りに行くわ。」


慧星くん達のお見送りに行くと、お父様とお母様と煌達が居た。


「美乃梨お姉様、あまりお話出来なくて残念でした。次会えるのは煌達の誕生日パーティーですよね?その時は一緒にお茶会をしてくれませんか?」


「ええ。楽しみにしているわ。そう言えば涼都くんは今日は来ていないのね?」


「ええ。岬は今日は休みなので嬉しそうに友達に会いに行くと言っていました。」


「そうなのね。」


茉莉花ちゃんはそう言うと、煌達と話し始めた。

すると、慧星くんが私の腕を引いて耳元で言った。


『千秋くんと良い感じになれたか?』


『良い感じって……慧星くん、仕組んでたの!?』


『仕組むなんて人聞きの悪い。千秋くんがチラッと見えたから何となく美乃梨がどのくらい愛されてるか気になってな。その反応なら安心だ。兄心としては色々引っかかりやすい妹が心配でな。』


『引っかかりやすくなんてない。でも、ありがとう。慧星くん。』


そして飛鷹さんと向日葵さんと柏木さんにも挨拶をした。


「またね、茉莉花ちゃん、慧星くん。」


「美乃梨お姉様〜!」


「またな、美乃梨。ほら茉莉花、帰るぞー。」


慧星くん達が帰った頃には、もう少し日が落ちかかっていた。明日に向けて早めに夕食やお風呂を済ませ、寝る事にした。


「美乃梨様、お休みなさいませ。」


「お休み、シャルル。」



 サー、サー、と木々が囁く声が聞こえてくる。ゴロゴロと雷鳴が聞こえ、少女は耳を塞ぎしゃがみ込む。


『ここ、どこなの?お父様!お母様!シャルル!本堂さん!皆どこに居るの!』


辺りには誰も居ない。

少女は1人で歩き続ける。

自然と足が進んだその場所は、少し小高い丘があり、頂点には金色に輝く木が立っていた。


『きれいな魔力……』


少女はすっかり見惚れてしまい立ち止まった。

少しずつ木に近づいてみると自身の魔力が膨らみ始めた。少女1人ではどうする事も出来ず、焦りと不安から、少女は泣き出してしまった。


『おや、可愛らしいお嬢さんですね。魔力の膨張ですか。よっぽどこの魔力と相性が良いのですね。その魔力、私に預けてみませんか?』


少女はコクリと頷いた。

すると話しかけて来た青年は少女の手を取り、魔力を吸い込んだ。


『これでもう、大丈夫ですよ。』


少女は潤んだ瞳で青年を見上げた。

青年の髪は金色で瞳は蒼に染まっていた。

そして何より、この世のものとは思えない程、美しい顔をしていた。


『ありがとうございます、えっと、お兄さん?』


『私の事は、そうだな……リクとでも呼んでくれ。君の名前は?』


青年はリクと名乗った。


『リクさん。先ほどはありがとうございました。わたしの名まえは恋咲美乃梨と言います。4さいです。』


『そうか、美乃梨か。どうしてこんな所に居るんだ?保護者はどうした?』


青年は心配そうに少女を見つめた。

少女は悲しそうに目を伏せ、言った。


『分からないのです。さっきまで本堂さんと使い魔のシャルルと一緒に魔法の練習をしていただけなのに、急にさっきみたいに魔力があふれ出して気付いたらここに来ていたんです。』


青年は焦ったように少女に聞いた。


『君は何年生まれだ?』


『2009年生まれです。』


『よく聞いてくれ。今は2003年だ。美乃梨、君は10年前に遡っている。……恋咲家、そうか。時空魔法を得意とする者が多い家系だったな。』


青年から見ると、少女は4歳とは思えない程に冷静だった。


『リクさん。私、魔法の練習を初めてまだ2回目なんです。まだ全然あつかえません。私が魔力をぼうそうさせてしまったという事ですか?』


『多分ね。君は珍しいタイプだと思うから。』


『私、みんなにしんぱいかけちゃった。シャルルも本堂さんもきっとしんぱいしてる。あやまらないと。』


青年はまだ4歳の少女が、しかも知っている人が誰も居ないこの場所で、自分の心配よりも他人を気遣う姿を見て、感動を覚えた。


『美乃梨、魔法の練習は私が付き合ってやろう。魔法が使えるようになるまでは私と世界中を旅してみないか?』


『旅?』


『ああ。題して、〜美乃梨のスキルアップ旅〜だ。気に入ったか?』


『は、はい。』


世界各国を回り、魔法使いについて色々な事を教えてくれた。例えば、魔法使いの隠語や誕生秘話などを。そして、青年と少女は日本に戻って来た。その頃には少女は無事、魔法を使えるようになっていた。青年は最後に少女を連れてある所へ連れて行った。


『ここって……!』


『そうだ。10年前の恋咲家だ。安心しなさい。私達には隠蔽魔法を掛けてある。結界に関しても避けられるので気付かれる事は無いだろう。』


青年は少女に家の案内を促した。

少女も10年前の自分の家に興味を持ち、彼方此方を観て回った。


『あ、もしかしてあれがお父様かしら?ふふ、響彼くんも小さい。律ちゃんは、まだ産まれていないのね。あ、匠さんが居る!あの抱っこされてる子が聡お兄様ね!』


しばらくの散策の後、恋咲家を後にして、2人は出会った場所に向かった。


『美乃梨、楽しかったか?』


『ええ!でも、リクさんと過ごせたことがいちばん楽しかったです!』


『そうか。美乃梨、1人で帰れるな?』


『ええ。』


少女が時空魔法を使い、未来に戻る直前、青年は彼女の頭に軽く手を置き記憶の隠蔽を行った。


『美乃梨、またな。』


その後、少女は無事帰還した。

次回は旅行です。

お楽しみに

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